2022.08.16

【コラム】税額は少ないほどいい!?

企業財務の基礎中の基礎

今日は基本に立ち返って改めて企業財務の基礎的な話をしていきたいと思います。
企業財務とかよくわからない、数字は苦手だから税理士に任せてる。
そんな方こそ是非最後まで見ていただきたいと思います。

ちょっとでも財務の事を勉強したことがある方や数字に強い方、普段からちゃんと決算書を読んでいる方にとっては常識中の常識ですが、納税をしなければ会社の資金繰りが良くなることは無く、毎年節税をし続け納税を避け続けてきた会社はどれだけ売上を増やそうが、規模を拡大しようが資金繰りで苦しみ続ける事になります。この苦しみは規模が拡大すればするほど大きくなっていきます。借金も右肩上がりで増え続けいずれ銀行からの協力が得られなくなり資金ショートするという道を辿ることになります。

数字が読める人からすれば至極当たり前の話ではあるのですが、数字から目を背け続けている方からすると、そんなはずはない、税金さえ払わなければ金は残るはずだ、税金を払わない裏技があるはずだ、と心の底から信じているのです。金が無いから税金を払いたくても払えない、金に余裕が出来たら払うと完全に的外れな事を本気で思っていたりします。こういった発想から抜け出せなければホントに一生金の問題で苦しむことになってしまいます。金が無いから税金が払えないのではなく、税金を払わないから金が無いのです。意味わからないと思いましたか?もしそうなら危険な兆候です。

これは卵が先か鶏が先かという話ではありません。100%納税が先です。毎年毎年納税し続ける事で少しずつ会社の資金繰りは良くなっていきます。もちろんこれは気持ちの問題やマインド・メンタルなんかの話ではなく明確な理屈があります。法人の税金の計算は細かい話を抜きにすれば小学校レベルの算数の話なのです。つまり、税引前の利益(課税所得)に対して約30%の法人税等の税金が発生し、残りの約70%が会社に残る金となる。つまり内部留保として積み上がっていく事になります。

会社に残る金、内部留保を積み上げれば積み上げるほど会社に残る金が増えていくのでどんどん資金繰りが楽になっていきます。税引前の利益(課税所得)の約30%が税金として持って行かれ、約70%が会社に残るという点からも既に明らかではありますが、別の視点からも見ていきましょう。

改めて貸借対照表(B/S)について理解する

貸借対照表は大きく分けると3つのブロックで構成されています。貸借対照表の右側は負債の部と純資産の部の2つで構成されていて会社の資金の調達方法を表しています。純資産の部は自分で調達した金で自己資本と呼ばれ、ここがホントの意味での会社の資産になります。これに対して負債の部は他人から調達してきた金で他人資本と呼ばれ、他人資本はいずれ払う金、返す金、つまり将来的に出ていってしまう金という事です。そして貸借対照表の左側は資産の部で構成されていて、調達してきた金の運用方法を表しています。

資産の部にどれだけの資産があったとしてもその調達方法が負債なのか純資産なのかで全く意味合いが異なります。いくら手許に金が沢山あったとしてもその調達源泉が全て他人資本、つまり借金という事ではいずれ全て返さなければならないものなので資金繰りが楽になることはありません。逆に調達源泉のほとんどが自己資本であれば出ていく金が少なくなるため、資金繰りは劇的に良くなります。つまり、資金繰りを良くするためには総資本に占める自己資本の割合を高めていく事が資金繰りの改善に繋がります。

では自己資本の割合はどうすれば高めることが出来るのか?答えは単純利益をたくさん出す事です。税金を支払った後で残る利益、つまり税引前の利益(課税所得)から約30%の法人税等を支払った後に残る約70%部分の会社に残る利益、これが自己資本として積み上がっていく事になります。毎年毎年利益を出し続け納税し続ける事で自己資本が潤沢になり資金繰りで苦労する事の無い強い財務状態の会社へと成長していきます。財務の基礎中の基礎、税金の考え方については必ず押さえておきましょう。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。