2022.06.24

【コラム】資金繰り表の重要性

会社の将来に不安を感じる理由とは?

コロナの影響がいまだ続いていたり、戦争の影響があったりと会社の将来に不安を感じている経営者の方も多いと思います。長い間会社を経営していくとどうしても不測の事態が起こったり外的要因で一時的に業績が悪化してしまったりという事は起こってしまいます。

ですが、そう言った不測の事態が起こっても会社を継続・存続させ続け、従業員やその家族の生活を守っていく事が経営者には求められておりその為に必死に頑張っている事と思います。自分の力だけではどうにもできない不可抗力のような事も時には起こりますが、予め備えておくことで会社が傾いたり最悪倒産してしまうという事を防ぐ事、被害を最小限に抑える事も可能な部分もあります。

自分の力ではどうにもできない部分についてはいくら考えても仕方ないですが、経営者として出来る事については当然対策をしておくことが求められます。今日はコントロール可能な対策として資金繰りの話をしていきます。

会社を経営していくうえで最も重要な事は何でしょうか?多くの経営者の皆様がそれぞれ様々な目的を持って経営をされていると思いますが、全ての会社に共通して最も重要な事としてまずは会社を継続・存続する事、つまり会社を潰さない事です。会社が倒産してしまっては社長の夢や目標、理念も何も実現する事は出来ません。そのため会社を潰さない事というのは前提条件ともいえるぐらい重要な事なのです。

不測の事態が起こっても会社を潰さない為には現預金を潤沢に持っておくこと、これに尽きると思います。弊社の関与先には良くまずは固定費6か月分のキャッシュを手許に置いておくことを目指しましょうという話をしています。理想は固定費2年分のキャッシュを確保する事。この状態を実現できれば仮に不測の事態が起こって売上が1年間完全にゼロになってしまったとしても会社は倒産しないですみます。

上場企業などではあまり現預金を大きくし過ぎるともっと効率よく稼げ、と株主に文句を言われてしまう可能性もありますが、中小企業経営においては現預金を潤沢にすることが会社を守ることに直結するのです。上場企業においても例えば日本一平均年収が高いと言われていて時価総額が上昇し続けているキーエンスなども非常に現預金が潤沢になっておりかなり財務的にも強い会社と言えます。強く潰れない会社へと成長していくために現預金の残高を増やすという事を意識して経営していますでしょうか。

そんな事出来るならしてるわ!という声も聞こえてきそうですが実際どうでしょうか?多くの中小企業が事実として真逆の行動をしてしまっている状況と言えます。中小企業の中で現預金が潤沢にあり資金繰り不安が全くありませんという状況の会社は恐らく1割もないのではないでしょうか?

つまりほとんどの会社は資金繰りに苦しんでいる、多くの会社が常識だと思って行っている事は実は間違っているという事なのです。その代表的な例として節税があります。節税はすればするほど会社の資金繰りは確実に悪くなっていきます。節税をすると金が無くなる理由の詳細は以前のコラムをご参照ください。

一般的な常識とは真逆の行動を取っているごく一部の企業だけが金の不安のない強い財務基盤を持った会社になっていると言えます。逆に多くの会社は将来の資金繰りに不安を抱えているのではないでしょうか?

そもそも不安はどこから来るのか?

何故資金繰りに不安を感じるのか?それは将来の資金繰りがどのように推移するのかが分からないからです。それが明確になっていれば不安などありません。6か月後に100万円足りなくなるという事が分かっているのであればそこに対して対策を打ちマイナスにならないようにする。やるべきことが明確になります。ですが半年後1年後の資金繰りがどうなっていくかが分からない、という事であればそりゃ不安だよねと言う話になります。

そんなこと言っても将来の資金繰りなんてわからないし、という方もいるかもしれませんが経営者がそんな状態では従業員も不安になります。うちの会社大丈夫だろうか、という状態と不安が無い状態では仕事に取り組む姿勢も変わってくると思います。実際会社の決算書を持ってきてうちの会社ヤバイですよね、転職活動した方がいいですよね、と経理の方から相談を頂いたこともあります。経営者としてそんな状態は絶対に避けたいですよね。うちの会社は大丈夫、従業員との関係性も出来ている思われている場合でもそう思っているのは経営者だけ、かもしれません。

では、どうすれば将来の資金繰りが分かるようになるのか?それは資金繰り予定表を作成することです。中小企業にとっては資金繰り表は最も重要な帳票と言っても過言ではないぐらい重要なものですが実際に作成している会社をほとんど見ません。正直何故資金繰り表を作成しないのか理解に苦しみます。それで資金繰りが不安だと言っているわけですから尚更です。資金繰りがどうなるかわからないから投資したいけど投資出来ない。そんな事を言っている暇があったら資金繰り予定表を作ればいいのです。

実際うまく行っている会社、資金繰りに全く問題なく潤沢な資金を持っている会社は必ずと言っていいほど資金繰り表を作成しています。先日お会いした社長さんも社長自ら1円単位の資金繰り表を3年先まで作成していまして、毎月必ず1日時間を取って更新しているというお話でした。うまく行っているから作ったのではありません。作って管理したからうまく行くようになったのです。今が悪い状態で不安を感じているのであれば今すぐに資金繰り表の作成に着手する事をおススメします。資金繰り表の作成方法はまた別の機会にお話しします。それでは。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。