2022.06.14

【コラム】 財務の重要性

会社が倒産する理由

皆さんが財務という言葉を聞いて思い浮かべることは何でしょうか?多くの中小企業経営者達さんが小難しそうであったり苦手意識を持っていたり、経理や税理士に任せてるから自分には関係ない。そんなイメージを持たれているのではないでしょうか。

財務という言葉には私は2つの意味があると考えています。1つは財務会計、所謂制度会計の事で、会社法や企業会計原則等に基づいて全ての会社行わなければならない会計帳簿の作成や決算処理を行うのに必要な会計の事です。こちらももの凄く大事なものなんですが、それ以上に重要なのが“財務”という2文字で表される言葉です。

財務とは端的に言うと資金繰りの管理の事ですがどこからお金を調達してどう運用するのかを決める事、つまり会社の未来を決定する事でまさに会社経営そのもので本来は絶対に社長がやらなければならない仕事です。にもかかわらず財務に明るい経営者は驚くほど少ないのが中小企業の現状です。

企業経営とは金を集めてきて、その金を運用して利益を出す事であり、経営者の仕事は金を集める事と使い道を決める事です。これが出来ていないという事であれば経営者としての役目を果たしていないと言っても過言ではありません。財務というものは決して経理や税理士に任せておけばいいという性質のものではないのです。

会社を経営するうえで最も大切な事は何か?

経営者の皆様にお伺いしたいのですが、会社を経営するうえで最も重要だと思う事はなんでしょうか?売上を増やす事でしょうか?利益を増やす事でしょうか?従業員を幸せにすることでしょうか?社会に素晴らしい価値を提供することでしょうか?

上記に記載したことも勿論とても大事な事ですが、会社経営するうえで最も重要な事に関しては私の中で明確な答えが1つあります。それは会社を継続・存続し続ける事です。多くの起業家、経営者の皆様が様々な目的を持たれていると思いますがその目的を果たすためにはまずもって会社が継続・存続し続けている必要があります。会社が生き残り続けていく事はその先の目的を達成するための前提条件です。

どんなに素晴らしい理念や目的を持っていたとしても会社が倒産してしまっては何も実現する事は出来ません。ですので、皆様の夢・目標を実現する為にまずは会社を継続・存続し生き残り続ける事がまずは一番重要な事になります。

では逆に会社が継続・存続できない状態、生き残り続けられない状態とはどういう事か?それは会社が倒産してしまう。という事です。会社が倒産してしまっては当然経営者の夢・目標を実現する事は出来ないのです。

では何故会社は倒産してしまうのか?

会社が倒産する原因、それは多くの場合資金ショートです。つまり金が無くなると会社は倒産してしまうのです。会社に金が無くなってしまえば、従業員の給与、仕入れ先への仕入れ代金の支払い、銀行への借入金の返済などあらゆる支払が出来なくなり結果として事業継続が出来なくなってしまい倒産という事になってしまうのです。

会社が倒産するとどうなるのか、中小企業は多くの場合経営者が会社の借金の連帯保証人になっているため、会社が倒産すると社長個人で会社の借金を背負うこととなりほとんどの場合は自己破産という事になります。自己破産をしてしまうと多くの方が周りからいなくなり最悪の場合一家離散という事にもなりかねません。

そんな事にならない為に会社の金は常にプラスになるようにしておかなければならないのです。注意が必要なのは金(キャッシュ)ベースで黒字にしなければならないという事です。どういうことか?と言うと会計上、損益計算書上の損益が黒字であったとしても金が無くなれば倒産してしまうのです。

会計上黒字なら金があるはずだろ!と思われた方、その考えは危険です。財務の事まるで分ってませんと言っているのと同じです。会計上利益を出していく事はもちろん重要なのですが、それが出来ているから必ずしも金が残るとは限らないのです。

実際東京商工リサーチによると、倒産企業の約5割は黒字企業、つまり黒字倒産であるというデータもあります。つまり利益を出せばそれでいいかと言うとそれだけではないのです。実際私が決算書を見させていただいた会計上は黒字という状態にある多くの会社が資金繰りはマイナスという状態に陥っていました。

その状態でそのまま経営を続けていくといずれ金が無くなって倒産、つまり黒字倒産という事になってしまうのです。実際皆様の経営はどうでしょうか?売上は増えてるのに、会計上利益が出て税金沢山取られているのに、なんか金が増えてる気がしない。そんな風に思われている方もいるのではないでしょうか。

その理由は財務について理解すれば明確にわかりますし、改善し、会社に金を残す事も当然出来るようになり資金繰りの不安もなくなり、本当にやりたい事、夢や目標の実現に近づけていく事が出来るようになります。財務について考えようともしない、なんとなく重要そうだけど勉強したくないから気付かないフリをし続けている。そんな状態では遅かれ早かれ経営が行き詰まる事は間違いありません。

いやいや、これまで10年20年それでもやってきたから大丈夫、そんな風におっしゃる方もいらっしゃいますが、これまでとこれからは違います。これまで何故財務、数字を見ずにやってこれたのか?それは銀行が金を貸してくれたから。という会社がかなり多いのが現実です。ですが今後はそうはいきません。多くの会社がコロナ融資を利用して借金が膨れ上がりとてもこれまでのようなやり方で返済できる状態ではなくなってしまっています。

そのような会社に銀行が今後も融資をし続けてくれるのか?答えはNoです。国の方針としてもう今後はただ金を出して延命するだけのような支援はしない。と言い切っているのです。なので借金ではなく本当の意味で、本質的な資金繰り改善を行わなければ生き残り続けていく事は出来ません。 本質的な改善は知識が無ければ出来ません、知識があっても改善するという意思を持っていなければ出来ないですし、意志があっても行動しなければ改善する事はありません。コロナ融資の返済は待ったなしでスタートしていきます。手許の金が本当になくなってしまい、今月、来月の支払いが出来ません、という状態からの改善はかなり困難です。まだ多少資金的余裕があるけど将来どうなるかわからない、という事であればそれは既に倒産への秒読みが始まっている状態ですので早めに改善に取り組んでいただければと思います。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。