2022.07.19

【コラム】売上目標は無意味!?

その売上目標に根拠はありますか?

会社を成長させ、社長の夢・目標を実現するためには経営計画の策定は必要不可欠です。ただ何となく日々過ごしているだけでは大きな目標を達成する事は出来ません。目指す場所を決め、そしてそこに到達する手段を検討しそれを実行する事で目標達成に近づいていきます。しかし、実際には経営計画書を策定している中小企業は驚くほど少ないというのが実態です。

つまり多くの会社が目標を持たずに成り行き経営を行っているという事です。それでうまく行く方が難しいというのは当然で実際約7割の中小企業は赤字経営に陥っているというのが今の日本の現実です。経営計画が無いという事自体が大きな問題ですが、本日の論点はそこではなく、経営計画を仮に作っていたとしてもその経営計画に根拠が無ければ意味が無いという事です。

経営計画を策定する際に売上目標を最初に立て、その売上に基づいてそれ以外の数字を作っていくという計画を見ることが良くあります。または、経営計画は作っていないまでも売上計画(売上目標)は立てているという会社もあるのではないでしょうか?果たしてその売上に根拠はありますでしょうか?

根拠のない売上目標、売上計画の達成可能性は非常に低いです。良くあるパターンとしては前期の10%アップみたいな形で前期100だったから今期の売上目標は110だ、という具合で毎期右肩上がりで売上が増加していく計画、ただエクセルの計算式を引っ張っただけという計画を策定しているケースも多いです。しかしこの前期比10%増の計画、仮に達成するとどうなるのでしょうか?一番重要ともいえる一定売上目標を達成したらどうなるのか?という事が抜け落ちているケースが非常に多いです。

達成したから何があるという事でもない目標など達成できるでしょうか?稀に達成できる方もいますがほとんどの場合は達成できず絵に描いた餅で終わるのです。そうではなく目標を達成するとどうなるのか、という結果を明確にする必要があります。そのためには売上目標の数字より先に決めることがあります。というより必要な売上というのは通常最後に決まるのが正しい順序になります。

例えば、5年後の理想の姿を実現する為に必要な利益それが決まっているのであれば、まず必要利益が最初に決まりそこからの逆算で必要な限界利益(粗利益)が決まり、更にそこからの逆算で必要な売上高が決まる。という形で必要な利益が決まっているから必要な売上高も分かるのです。現状資金繰りがマイナスになっている会社が資金繰りをプラスにするという目標を立てる場合でも同じです。売上目標を先に決めてしまっては必要なキャッシュを確保するためにその後の数字を適当に調整していく事になってしまい、仮に売上目標を達成したとしてもホントの目標であった資金繰りをプラスにするという所は実現しなかった。なんてことも普通に起こります。

このような目標の立て方をすると、到底実現できないような必要売上高が算出されることがあります。ですが、それはそれでいいのです。目標を達成する為に必要な売上高として現実離れした数字が出てきたという事であれば成り行きでは確実に実現できないことを目標としていたという事が分かるはずです。それだけでも1歩前進ですし、そうなった場合に目標を下方修正するのか、それともその数字を達成するための手段を考えて実行に移すのか。こういったことを検討するのが本当の経営ではないでしょうか?

でも、だけど、だって、しかし、と出来ない理由を考えるのは簡単ですが、その事には何の価値もありません。そうではなく一見達成不可能に見える目標であったとしてもどうすれば実現できるのか?それを考える事で道は開けていくのです。もちろん1発で全てがうまく行くなんてことは有りません。あらゆるパターンを試し、失敗を繰り返しながら目標達成を実現する。そんな思考で経営に取り組んでいきたいですね。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。