2022.08.09

【コラム】金さえあればうまく行くってホント?

今うまく行っていない原因は金が無いから?

普段から経営者の方と話をする機会が多いのですが、中にはうまく行っている会社もあればうまく行っていない会社もあります。その違いを生み出しているものの1つの要素として、自責思考と他責思考という考え方のパターンがあります。自責思考は全ての原因は自分にあると考え自分を変える事で経営改善を行い常に会社の未来を良くしていくような経営者の考え方。他責思考とは全ての原因を自分以外の外に求めうまく行っていないのは人のせい、景気のせい、業界のせい、元請のせい、従業員のせいと全てが他人の責任で考えるため、自分で改善できる事は無く打てる手を考えもしないという経営者の思考パターンの事で、この思考ではなかなか会社を良くしていく事は出来ません。

今日はその他責思考の1つの類型として、金さえあれば会社は良くなるんです。という考え方があります。これも非常に危険な発想です。言い換えると今うまく行っていないのは金が無いせいだという事なのですが、金が無いのは誰のせいでしょうか。コロナ融資で必要以上に沢山借金をして潤沢な資金を持っていたにもかかわらずそれを全て溶かしてしまったのは誰でしょうか。そういったところの振り返りや窮境原因の分析も正しく行わずに金があればうまく行くと本気で思ってしまっているのです。

しかし事業投資は金さえあればうまく行くなんてことはなく一時的には失敗をしてもそれを経験として積み上げ次に生かしていく、そんな姿勢が求められています。金さえあれば、銀行が金を貸してくれさえすれば、あといくらあれば…というのでは発想がギャンブラーと同じです。パチンコ屋さんであと千円あれば出るんです、と言っている人と大差ありません。もしホントに金さえあれば事業を成功させる能力があるのであれば金が無い状態にそもそもなっていないはずです。

当然金があれば延命する事は出来るので、倒産するタイミングを遅らせるという事は可能ですが本質的なところに気が付かなければ、新しい金を投入したとしてもその金を全部溶かして終了という事になりかねません。やはり、今がうまく行っていない、資金繰りに窮しているという状態なのであれば他責思考を抜け出し、失敗した事実を認め、その責任は全て自分にあり、その失敗を糧にして今度はうまく行くという計画を明確な根拠を持って作成する。そういったことが出来ないとなかなか金融機関の支援を受けるのも難しくなります。

そもそも金を使ってはいけない

ここまでの話の大前提として、まず新規事業を始める際などはスモールスタートが基本です。まずはリサーチやテストかーけティングなどを徹底的に行い軌道修正を繰り返し、今ならいけるとなった段階で金を使うのです。いきなり金を使ってしまえばそれだけ失敗確立が上がってしまいます。金さえあればうまく行くという考え方の場合、頭の中に既に金の使い先があるという事です。入ってきた金をすぐに使う気満々で今度はうまく行くと信じてやまないのです。ですが、何度も言うように特に金に余裕が無いのであればなるべく金を使わずに出来る施策を考えて実行する。金が無いから出来ない、という発想ではなく、金を使わず出来る方法はないか、という事を常に考えるHOW思考で経営を行っていただきたいなと思います。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。