減価償却費とは固定資産の取得に要した費用の全額をその年の費用とせず耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上する為に使用する勘定科目です。例えば耐用年数10年の建物を1億円で購入した場合、購入金額の1億円は購入時に全額費用になるわけではなく1,000万円ずつ10年に分けて費用計上していく事になります。実はこの減価償却費は財務、資金繰りに与える影響が非常に大きい勘定科目という事をご存じでしょうか。
損益計算書上の損益と会社の金の動きが一致しないという事は財務に詳しい方はもちろんの事、数字が苦手な方でも恐らく気付いている事と思います。”会社に利益が出ているのに金が増えてない気がする”そんな風に考えた事がある方も多いと思います。
皆様お気づきの通り会計上の損益と現預金の増減は必ずしも一致しません、むしろ一致しないことがほとんどです。特に影響が大きい項目が3つありますがそのうちの1つが減価償却費です。減価償却費は会計上は費用になりますので、例えば1,000万円の減価償却費が計上された場合、会計上の利益は1,000万円少なくなります。ですが、減価償却費を計上しても金が出ていくわけではない為、キャッシュフローを考える場合には会計上の利益にプラスする事になります。
具体的な数字を例に説明すると例えば1年間の取引が現金売上1億円、減価償却費1億円しかない会社があったとします。会計上の利益はゼロになりますがキャッシュフローは減価償却費の1億円をプラスして1億円のプラスになります。この結果からも分かるとおり会計上の利益と金の流れ、つまりキャッシュフローは一致しないのです。
会社を継続・存続し続ける事は経営を行っていくうえで最も重要な事ですが、会社を継続・存続し続けるためには会社に金を残すという事が絶対的に必要になります。もちろん毎年利益を積み上げ続ける事も重要ですが、例え会計上黒字であっても会社は金が無くなれば倒産します。減価償却費はキャッシュフローを考える場合にはプラスに作用するものですが、逆にマイナスに作用するものもあります。
会計上の損益と現預金の増減の異なる要因のうち特に影響が大きい項目が3つあると言いましたが残りの2つは運転資金の増減と借入金の返済です。今日は詳細は割愛しますが、運転資金が増加すればキャッシュフローはマイナスになりますし、運転資金が減少するとキャッシュフローはプラスになります。また、借入金の返済については会計上は費用になりませんが、金は出ていきます。減価償却費とは逆の動きをするという事ですね。
現在コロナ融資で必要以上に借入をしている会社が非常に多くなっていますが、借入金はいずれ返済しなければならないものです。コロナ融資の返済がスタートすると途端に資金繰りがマイナスになってしまう、という状態にある会社、つまり倒産予備軍ともいえる状態になってしまっている会社が多く存在しており、実際に今後多くの中小企業が倒産することが予想されています。
そんな事にならないように予め資金繰り予定表を作成し金の流れを把握する事、もしキャッシュフローがマイナスになってしまうことが予想されるのであれば、どうやってプラスに持って行くか、それを検討・実行し、実際にキャシュフローをプラスにしていく事が必要となります。将来の資金繰りに不安を抱えているけどどうすればいいかわからないという方は早めにご相談いただければと思います。
資金繰りの事を考えた場合には減価償却費の金額は金が出ていくわけではないのでどれだけ大きな金額を計上してもキャッシュフローはマイナスにはなりませんが、会計上の利益は当然減ることになります。法人税法上は減価償却費は限度額の範囲内であれば任意償却が認められているので実は少なく計上する事や1円も計上しない事も認められた処理となります。この事を利用して金融機関などに提出する決算書の数字を良く見せるために、減価償却費を計上しない会社があります。
結論から言うと無しです。むしろ絶対にやらないでください。減価償却費を計上しなければその分会計上の利益は増えるので、金融機関に提出する決算書上の利益を少しでも多く見せようと考える会社があります。場合によっては顧問税理士にそのようなアドバイスを貰っているケースなどもありますが、これは完全に逆効果です。全く意味がありません。
金融機関もバカじゃないので減価償却費をちゃんと計上していないなんてことは決算書を見ればすぐにわかります。これは所謂粉飾決算と呼ばれるもので銀行を欺いて金を引き出そうとする詐欺的行為です。銀行の担当者は面と向かって粉飾決算ですよ、とは言いませんが、金を貸せるか否かの判断は減価償却費も加味した実態で判断していますし、この会社が銀行を欺こうとしていると判断されるのでむしろマイナスしかありません。少しでも利益を多く見せたい、という気持ちは理解できますが、数字をいじって多く見せかけるという事ではなく業績改善して本当に利益を増やさなければ意味がありません。
どんな会社でも利益を増やす事は可能です。ですがその為には経営者が数字と向き合い正しい現状把握を行って改善のためのあらゆる打ち手を検討し実行に移していく、それしかありません。そこに裏技はありません。金融機関が頭を下げて借りてください、とお願いしてくるような会社に成長していきたいものですね。
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▼ 決算書ではわからない金の流れ
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“勘定合って銭足らず”という言葉を聞いたことがあるだろうか?これは主にコロナ前の多くの中小企業の状況を表した言葉である。勘定合ってというのは利益が出ているのに、という事、つまり利益が出ているのに金が足りないという会社が数多く存在しているのだ。
実際に東京商工リサーチが出しているデータによると倒産している会社のうち約半数は黒字倒産、つまり会計上利益が出ていたのに倒産していたのだ。では何故倒産してしまったのか?前回のコラムでもその点については触れているが会社は赤字で倒産するわけではない。金が無くなると倒産するのだ。
つまり、会計上は利益が出ている状態なのに資金ショート、つまり金が無くなって倒産しているのだ。
何故利益が出ているのに現預金残高が増えないのか?
この金の流れについて理解できていますか?当然本業で赤字という状態であれば手許の金もどんどん減っていき、黒字であれば増えていくというのは基本的な理解としては間違っていないが、会計上の利益というのは金の流れという事を考えるにあたっての1要素でしかないという事だ。つまりそれが全てではないという事。
ちなみに売上という点で考えると金の流れとは更にかけ離れているので売上が増えてるのに金が増えてない、何故だ?という状況では相当まずい。今すぐ財務について、会社の金の流れについて勉強する必要がある。
では売上が現預金残高の増減と関係ないのは前提としても利益が出ても金が減ってしまうのは何故なのか?
それは、決算書、つまり損益計算書上には出てこない金の出し入れが沢山ある事が要因である。例えば年間100万円の売上があって経費がゼロだった場合税金は無視すると会計上の利益は100万円となるがその売上代金を回収していなければ売掛金が100万円増えただけで現預金の増加はゼロになる。
それらの現預金の増減などを細かく計算している決算書としてキャッシュ・フロー計算書というものがあるがかなり難解で完璧に理解するのは正直難しいし経営者がキャッシュ・フロー計算書の読み方を理解する必要はあまりないと考えている。
実際私自身は公認会計士として上場企業等の決算書を監査する立場として働いていたので当然キャッシュ・フロー計算書についても熟知しているが、それでも人に分かりやすく説明するのは難しいし、自分よりも簡単にキャッシュ・フロー計算書を説明することが出来る人はいない。と公言していた先生の説明を理解している私が聞いても分かりにくい。と思ったぐらいなので恐らくキャッシュ・フロー計算書について素人でも分かるように簡単に説明できる人はこの世に存在していない。
という状況なのでキャッシュ・フロー計算書について完璧に理解するという事はお勧めしないがだからと言って金の流れを理解しなくてよいか、というと当然そんなことは無い。
では、金の流れについて理解する必要がないかというと当然そんなことは無い。なので簡易的に金の流れ(増減)を算定する方法として下記の計算式を自社の決算書に当てはめて計算してみて欲しい。これで大まかな金の流れはわかるはずだ。
経常利益-法人税等+減価償却費-借入金元本返済額
多額の積立型の保険などに加入している場合には下記の計算式で計算する
(当期純利益+減価償却費)-(借入金元本返済額+保険の資産計上額)(現金損益®)
この計算式で何をしているか、というと損益計算書上の利益に金が出ていかない費用である減価償却費をプラスし、金は出ていくけど費用にならないものをマイナスしている。この2つの要素が損益計算書上の利益と金の流れが一致しない要因で、その中でも特に影響の大きい減価償却費と借入金の元本返済額を調整しているという事である。
この計算式さえ押さえておけばひとまず金の流れが全く理解できないという状態は避けられるはずなのでまずはこの計算式で自社の資金繰りの状況を把握してみて欲しい。その結果が大きくマイナスになっているという事であれば改善しなければいずれ資金ショートしてしまう可能性が高いという状態になってしまっている。改善方法についてはまた別の機会にお伝えする。
上記の計算式で大まかな金の流れはわかるようになるがやはり理想としては全ての会社が資金繰り表ぐらいは作成するべきである。最初は作成するのに時間がかかるかもしれないが慣れてしまえば大したことはない。資金繰り表さえあれば金の流れについては完璧にわかるようになる。会社が継続・存続し続ける上で最も重要な金を後回しにする理由はないはずだ。忙しいとかめんどくさいとかそんなことを言っている場合ではないはずだ。優先順位を間違えないように気を付けて欲しい。
もし、数字は苦手だし顧問税理士に任せてるから大丈夫、自分は見ない。というような状態になっているとしたらあまりにも危険だ。経営者には従業員やその家族の生活を支えるという責任を果たす必要もある。会社を経営しているのは顧問税理士ではなく経営者自身であるという事は決して忘れてはいけない。
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コロナで資金が回らない。
コロナのせいだ…。
コロナさえなければ…。
資金繰りが悪化しているのは本当にコロナのせいでしょうか?
ちょっとコロナ前の財務状況を思い出してみてください。
借金で借金を返していませんでしたか?
「金が足りなくなれば銀行が貸してくれる」と高をくくっていませんでしたか?
コロナ以降、新規融資は厳しくなりました。
それでは、今後資金繰りを改善していくにはどうすればいいんでしょうか?
公認会計士が解説します!
⏩もくじ
00:00 オープニング
01:06 中小企業の資金繰りで何がコロナ前から問題だったのか?
04:17 コロナ融資の返済が始まったらどうなるか?
06:47 資金繰りを改善するためにはどうすればいい?
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YouTubeをアップしました!
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