倒産リスクが高まる運送業界の現状

1-1. 運送業界を取り巻く外部環境

アフターコロナとなった今も、依然として多くの業界で倒産リスクが高まっており、運送業界も例外ではありません。

東京商工リサーチの調査によれば、2023年1月~6月の上半期で特に目立ったのは物価高による倒産で、前年同期90件のおよそ3.3倍の300件まで増加しました。

2023年は半年で、7年ぶりに200件以上となった2022年の年間倒産件数285件を超えています。

業種別の倒産件数は、道路貨物運送業が最も多く、前年同期の29件から約1.7倍の46件でした。

これまでも、運送業界では人手・後継者不足による倒産は数多くありました。しかし、最近は、コロナ禍で配送ニーズが増加したにもかかわらず、物価高の倒産が増加している傾向です。

実際、燃料費が高止まりであることに加え、資材や原材料、食料など各分野で価格の上昇が相次ぎ、水道代や電気代などのインフラ料金や人件費も高騰しています。

これらの外的要因が大きく影響し、運送業の倒産リスクが高まっているのです。

参考:東京商工リサーチ

1-2. 物流業界で話題の「2024年問題」とは?

物流業界で話題のいわゆる「2024年問題」も、倒産リスクの原因になると懸念されています。

「2024年問題」とは、物流・建設・医療業界で例外的に認められていた、時間外労働における上限規制の猶予期間満了によって発生する諸問題のことです。

物流業界は、慢性的な人手不足やドライバーの高齢化などで長時間労働が恒常化しており、2019年施行の「働き方改革関連法」でも、一般企業とは異なる特性から特別条項の適用が認められていました。

2020年に実施された厚生労働省の調査でも、トラック運送業の所定内実労働時間数は、大型・中小型トラックのいずれも全産業平均の165時間を上回る176時間でした。

超過実労働時間数になると、大型は35時間、中小型は31時間で、全産業の平均10時間を優に上回っています。

しかし、2024年4月以降は物流業界にも同法が適用され、時間外労働は年間960時間以内に制限されます。同法の規定を違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられるため、注意が必要です。

今後、「2024年問題」が物流業界に及ぼす影響としては、以下の3つが考えられます。

1.利益の減少
ドライバーの労働時間が制限されれば1日の業務量が減るため、企業の利益も減少します。これまで残業代として支払っていた人件費は削減できるものの、営業所の賃料などの固定費は維持されるため、企業全体の利益が減少する可能性は高くなるでしょう。

2.ドライバーの流出
ドライバーのなかには、残業を含めた収入で生計を立てている人も少なくありません。特に住宅や車のローンを抱える人や子育て中の人は、残業代が減ると必要な生活費を得られなくなります。転職によるドライバーの流出も、想定しておくべきでしょう。

3.運賃値上げ交渉
ドライバーなどの労働時間短縮による利益の減少を抑えるためには、荷主への運賃の値上げ交渉を検討せざるを得ません。しかし、荷主が自社の負担を憂慮して値上げを認めず、競合他社に乗り換えるリスクもあり、交渉が難航するケースも出てくるでしょう。

運送業で倒産ラッシュが考えられる要因

2-1. 燃料費高騰を中心とした物価高

運送業が倒産ラッシュとなる要因の1つは、ここ数年にわたる燃料費の高騰を中心とした物価高です。

2022年は、燃料に限らず物価の値上げラッシュが相次ぎ、一般消費者にとっても厳しい1年でした。天候不良による農作物の不作やコロナ禍によるマスク不足、半導体不足による家電製品の品薄なども物価高に大きく影響しました。

また、少子高齢化の日本とは反対に世界的には人口が増加しており、必要な資源や食材が人口増加による供給量に追いつかず、水面下で物価の高騰を引き起こしています。

しかし、運送業の倒産ラッシュを引き起こす最も大きな要因は、燃料費などエネルギー価格の高止まりです。

コロナ禍で落ち込んでいた需要が世界的に回復していることに加え、エネルギー大国ロシアに対するウクライナ侵攻の制裁や円安の進行も燃料費の高騰を加速させ、原油のほとんどを輸入に頼っている日本では頭を抱える問題となっています。

「燃料価格が1円上昇すると物流業界全体で年間150億円の負担が増える」といわれていますから、その影響力は非常に大きいでしょう。

2-2. 低すぎる利益率

運送業の倒産ラッシュを引き起こす2つ目の要因は、低すぎる利益率です。

2021年に発表された全日本トラック協会の経営分析でも、運送業の営業損益は前年度より0.5ポイント悪化したマイナス0.9%という低い数字に留まっています。

このような状況では、従業員に十分な賃金を支払うことができず、長時間労働を強いられるうえに薄給では、せっかくドライバーを雇用してもすぐに辞めてしまうでしょう。

さらに、「競合他社に仕事を取られる」リスクを憂慮し、荷主に値上げ交渉を切り出せない企業も多いようです。

その結果、仕事はあるにも関わらず、荷物を運ぶ量が増えるほど出費がかさんで売上利益は減少し、経営状況を悪化させるという「負のスパイラル」に陥りやすくなっています。

2-3. 人手不足問題

運送業の人手不足問題も、倒産ラッシュの要因の1つです。

少子高齢化による人手不足は各業界で問題になっていますが、なかでも運送業は若い世代に敬遠される傾向にあります。

2022年に国土交通省が実施した「トラック事業の現状等について」の調査でも、運送業で働く人の45.2%が40~54歳であるのに対し、29歳以下は全体の10.1%に過ぎません。

運送業では、重量のある荷物の運搬や長時間の運転など業務による体力面での負担が大きいため、若年層を含む新たな人材の確保が難しく、人手不足は常態化しています。

今後は、国土交通省の推奨する、関係者の連携による働きやすい環境作りや生産性の向上を目指す「ホワイト物流」への取り組みも検討すべきでしょう。

運送業の未来は?  倒産リスクからの脱出計画

3-1. 運送業界全体で価格を上げる

倒産リスクから脱出するには、運送業界全体における価格の引き上げも1つの施策になります。

各分野で物価高騰が長引くなか、運送業の主な原価は、人件費・燃料費・車両費の3つであるにもかかわらず、価格転嫁が進んでいません。

2023年に中小企業庁が発表した価格転嫁状況の業種別ランキングでも、トラック運送業の転嫁率19.4%の第26位で、前年より順位を1つ上げたものの、コスト増に対する添加率は29.6%から19.4%に低下しています。

特に、大企業が親事業者である下請中小企業の場合は立場も弱く、価格交渉や価格転嫁は容易ではありません。

実際、競合他社への乗り換えリスクを回避するため、ギリギリまで値下げする「安値競争」の渦中にあるという企業も少なくないでしょう。

しかし、その結果、サービスの質やドライバーの倫理観が低下すれば、業界全体の信頼の失墜にもつながります。

今後は、一定の強制力を持つペナルティや罰則の適用なども視野に入れながら、運送業界全体で価格の見直しや適正価格の設定を推進すべきでしょう。

3-2. 配送効率の見直し 

配送効率の見直しも、結果的にコストの削減につながる重要な対策の1つです。ここでは、すぐに始められる配送効率を高める4つの方法をご紹介します。

1.配送回数を上げる
一見、コストの削減と矛盾するようにも思われますが、売上は配送回数と比例します。配送する際のルートや交通状況を正しく把握すれば、配送回数を上げることも可能です。稼働人数やエリアごとの配置人数を変更して、稼働数を上げてもよいでしょう。

2.物流拠点の集約
複数の拠点があると配送先に最短距離で移動できますが、賃料や人件費、トラックの稼働台数を増加させる原因にもなります。仕入れ先との距離や配送までのリードタイムの短縮など、優先順位を明確にして拠点の集約を検討しましょう。

3.現場作業の見直し
現場の業務フローを振り返り、支障のない作業を省くのも効果があります。倉庫の導線を考慮したレイアウトの変更や、ロケーションの管理を徹底するのもよいでしょう。作業手順の簡略化や時間の短縮は、人手減らしにもつながります。

4.管理システムの導入
物流管理のシステム化も配送効率を高める1つの方法です。ハンディスキャナーの使用は検品の正確性を高め、データ化によって在庫状況も随時確認できます。また、配送ルートやピッキングに最適な導線を自動計算すれば、手間やコストの削減も可能です。

国土交通省では、2016年に「物流総合効率法」を改正し、物流業の効率化を目的とする各種支援活動の対象を拡大しています。いくつかの認定基準はありますが、税制面で優遇措置を受けられますので、問い合わせてみるのもよいでしょう。

まとめ

コロナ禍はひと段落したものの、コロナ融資の元本返済や燃料費の高騰に加え「2024年問題」もあり、運送業の経営は今後も厳しいと予測されます。自社の倒産リスクを回避するためには、事前の対策が重要です。

事業者は、倒産リスクを高める3つの要因「物価高・低い利益率・人手不足」を正しく理解し、運送業全体の適正価格の設定や徹底したコストの見直し、配送効率の改善を図りましょう。

建設業界における倒産ラッシュの実情

1-1. 建設業界の倒産率:統計データと傾向

2022年、建設業では14年ぶりに倒産件数が増加しました。その原因は、ここ数年のコロナ禍による給湯器や木材など住宅機の品薄で、建築資材の価格が急騰したことです。

「3の倍数の月」に倒産件数が増加するといわれる建設業ですが、2023年6月の倒産件数は、東京商工リサーチが発表した産業別の企業倒産件数によると、前年同月比で約34%増の150件でした。

今後は、2023年7月~2024年4月にかけてコロナ融資の元本返済が集中するため、夏場にかけて倒産の相次ぐ可能性が高いと指摘されています。

2023年の工種別件数は未公表ですが、2021年には工務店など元請の木造建築工事業の割合が85.3%(150件)と最も多く、2022年もゼネコンやハウスメーカーなど、元請となる総合工事業や電気・空調工事など設備工事業の倒産が増えています。

これらの経緯から、件数自体は塗装や解体など下請となる職別工事業が多いものの、ここ数年は、仕入れや資材を渡して工事する「材支給」の形態も多いなか、資材の価格高騰の影響を一番最初に受ける元請の倒産件数が増加する傾向にあります。

これは、「力の弱い下請の倒産が多い」といわれる他業界とは異なる、建設業に見られる倒産の特徴といえるでしょう。
参考:東京商工リサーチ

1-2. 建設業の特性と資金繰りの課題

建設業の特性は、大きく分けて3つあります。

まず、顕著なものとしては、多くの建設工事は完了後の支払いとなるため、工事の受注から入金までの期間が非常に長いことです。一般的に、工事の発注から入金までの期間は平均で3ヶ月半といわれており、半年以上かかるケースも珍しくありません。

2つ目の特性は、他業界にくらべて手形取引が多いことでしょう。また、大企業よりも下請や孫請など、中小業者の間で交わされることが多いのも建設業の特性といえます。

手形取引は、発注元が支払時期を先送りにできるため、受け取り側は入金まで手持ちの資金でやりくりしなければなりません。特に、得意先との融通手形の場合は、先方が不渡りとなった場合に買い戻しと自社の決済とで二重の支出となるため、注意が必要です。

先行投資が必要なことも、建設業の特性といえます。先述の通り、建設業では売上が入金されるまでに約3月半を要します。その間、建設資材などの材料費・人件費・外注費・足場や仮事務所の設置費・重機の調達費などを先に支払わなければなりません。
建設業では、この3つの特性によって資金繰りが難しくなり、さらには、これらが原因で銀行からの融資を受けづらいことも資金繰りの課題となっています。

資金繰り問題がもたらす建設業の倒産

2-1. 遅延決済と資金繰り悪化の構造的問題

建設業の倒産の主な原因は、遅延決済と資金繰り悪化との相互関係にあります。

工務店など元請の場合、入金サイクルは、契約時・中間時・引き渡し時の3段階に分割されます。工事期間が長ければ現金の回収は遅くなり、現場件数が多ければ、先行投資にかかる経費もかさみます。

工事の規模によっては、完成するまでに1年以上かかるものもあり、天候不良や工事の不具合によってさらに遅れるケースも少なくありません。一方、材料費や設備費、産廃処理費など、けっして少額とはいえない経費は工事の完成前に支払う必要があります。

このように、建設業には、先行投資による経費の前払いと工事代金の回収までに時間がかかる遅延決済が、資金繰りを悪化させるという構造的な問題があるのです。

2-2. 資金繰り危機と倒産リスクの具体的なケーススタディ

資金繰りの危機と倒産リスクについて、具体的なケースに基づいて考えてみましょう。たとえば、工務店Aのような場合です。

<工務店A>
・工期3ヶ月を見込んで1,000万円の案件を受注
・材料費・設備費などの先行投資に700万円を支払う
・天候不良のため、工事が1ヶ月遅延
・4ヶ月後に完成

本ケースでは、予定より1月遅れの4ヶ月後に工事が完成し、入金は納品して約2ヶ月後ですから、先行投資の支払いから入金までに6ヶ月のタイムラグが発生します。

このように予算と実績とが大きくブレた場合は、先払いとなる工事原価の700万円の支払いにより資金繰りが難しくなり、売上や利益があるにもかかわらず黒字倒産となります。

さらに、元請および給排水や電気工事などの協力会社ともに資金繰りが厳しい場合は、連鎖倒産のリスクも高まるため、注意が必要です。

建設業の資金繰り改善と倒産防止の戦略

3-1. 事業者が取るべき資金繰り改善策

倒産防止の戦略として、建設業の事業者が取るべき資金繰り改善策は、大きく分けて2つあります。

1.資金繰り予定表を作る
まず、数ヶ月先まで見越した資金繰り予定表表を作成することです。

案件によっては、工事に6ヶ月~1年かかるものもあり、入金は工事完了から2ヶ月先です。資金繰り表に基づいて入金スケジュールを管理すれば、どれくらいの運転資金をいつまでに準備すればよいかを明確化できます。

特に、複数の工事で支払いが重なるような場合、短期計画では支払えなくなるリスクも伴います。資金繰り表を作成するだけでなく、都度見直しを行い、将来のキャッシュフローを正確に把握しておくのも重要なポイントです。

2.実行予算を立てる
黒字倒産を防ぐためにも、実行予算をしっかり立てましょう。

建設業では、原価を管理できずに赤字案件を受注するケースも多く、見積りを出した段階で、利益を過信するのは非常に危険です。材料費や外注費などの経費に、利益を上乗せするだけでは充分ではありません。

また、現場のミスや予算との大幅なズレは会社にとって大きな損害となり、資金繰りを悪化させる原因になりますので、注意が必要です。

数ヶ月を要する工事であればなおさら、工期や人件費などを考慮に入れ、着手する前に自社の在庫を確認し、ムダをなくすことを意識して実行予算を立てるべきでしょう。

3-2. 業界改革と政策の動向は?倒産防止への取り組み

今後の建設業における業界改革と政策の動向としては、いわゆる「2024年問題」があります。

建設業では、少子高齢化社会の人口減少により、長期にわたる人材不足と時間外労働の常態化が大きな課題となっています。

2019年に施行された「働き方改革関連法」も、このような建設業の実情を考慮し、「36協定」の締結と所轄労働基準監督署長への届出があれば特別条項の適用が認められ、時間外労働に猶予期間が設けられていました。

<特別条項の適用(2024年3月まで)>
1.年間720時間(月平均60時間)
2.年間720時間の範囲内で下記条件を満たす場合
・2~6ヶ月で平均80時間以内
・休日労働を含み、月100時間以内
・月45時間の超過は、年6回以内

しかし、この猶予期間は2024年4月に終了し、建設業も原則として、時間外労働は月45時間以内、年360時間以内の規制が適用されます。

今後は、同法に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万以上の罰金が科せられるため、注意が必要です。なお、災害からの復旧・復興事業については引き続き例外事項が適用されます。

<例外事項(2024年4月以降)>
対象:災害からの復旧・復興事業
下記条項のみ適用
・月45時間の超過は、年6回以内

2024年4月以降、時間外労働が規制されれば1人あたりの仕事量も減少するため、建設業の人手不足はさらに深刻化するリスクがあります。

ここ数年の資材の価格高騰による元請の倒産増加に加え、従業員4人以下の零細企業が約7割といわれる日本の建設業では、2024年には下請・孫請企業の倒産が増加すると懸念されています。

このような厳しい状況で、建設業の事業者が倒産防止のために取り組むべき施策は、下記の5つです。

1.赤字になるような工事を受注しない
売上が大きくなるほど、人件費や材料費もかさみます。工事原価をしっかり管理し、見積もりの段階で、利益率の低いまたは赤字になるような工事の受注は避けるべきでしょう。

2.代金を早く回収できる工事を受注する
最近は、建設業でも工事の進捗状況によって、入金される形態や前払い案件も増えてきています。特に、下請や孫請の場合は、一部だけでも早く入金してもらえるよう交渉し、早期回収できる工事を増やしていきましょう。

3.現場ごとの管理をしっかり行う
資金繰りを確認しながら、現場ごとにどのくらいの利益が出るのかを管理することも大切です。原価には、仕入れや外注費に加えて人件費も含まれます。全てを含めて利益が出ていないようなら、見積り・工程の見直しや改善が必要です。

4.さまざまな資金調達方法を確保しておく
資金調達の方法を複数確保しておくのも重要なポイントです。工事の規模によって、入金サイクルも異なります。小規模・中規模・大規模の工事をうまく使い分けて受注することで資金繰りの悪化を回避しましょう。

また、手形取引以外の資金調達方法も確保しておくべきです。昨今は、売掛金を現金化できるファクタリングや数日で手続きが完了するオンライン融資もあります。実績の浅い企業の場合は、政府が100%出資する日本政策金融金庫の活用も検討するとよいでしょう。

5.IT技術による情報収集を怠らない
一見、資金繰りとは無関係のように思われますが、倒産ラッシュを防ぐには、ITツールを活用して業務の効率化を図り、常に最新の情報を収集するという事業者の姿勢も大切です。

今回は、資金繰りで今困っているという会社の最後の救済策についてお話ししていきたいと思います。以前こちらのコラムでは、コロナ融資を満額使っているような会社はもう銀行からお金を借りることができませんよ、という話をしました。

じゃあ、資金繰りが苦しくなってしまってどんどんお金が減っている会社は、もう倒産するしかないのか?実は1つだけ、生き残れるかもしれない方法がまだ残されています。本当に最後の救済策。国の施策としてもうこれ以上は出てこないでしょうという、本当に最後の救済策です。

資本性劣後ローンを知っていますか?

その救済策は何なのか?それは資本性劣後ローンです。資本性劣後ローンとは、コロナ対策の融資制度の1つです。

「いや、もう銀行からお金を借りることができないのでは?」というツッコミが来そうですけれども、実はこの1つだけ、資本性劣後ローンという融資制度の道が残されているのです。

しかし、普通に資本性劣後ローンで貸してくださいと言っても、無理です。一定の条件を満たすことができれば、資金調達できる可能性がまだあるということです。

資本性劣後ローンの条件

資本性劣後ローンの条件等について詳しく説明していきます。

いま経営が非常に厳しくて、将来的にも短期間で回復するのは難しい。今年1年でプラスに持っていくのは厳しそう、資金調達しないと持たない、資金調達さえできれば回復できるけど今ある資金だけではちょっと厳しい。

そういった状態にある会社に関しては、「この制度を使って絶対に資金調達してください、できなければ本当に終わりです」と国が言っています。資本性劣後ローンとは、そういう融資制度だと思っていただけるといいと思います。

この資本性劣後ローンという融資制度は、基本的には日本政策金融公庫と商工中金がメインの制度です。この融資を使える条件としては、まず大前提として「コロナの影響を受けて業績が悪化している」という事実が必要です。これは絶対条件です。

令和2年3月期以前の決算書とそれ以降の決算書を比較して、コロナの影響を受けて明らかに状況が悪くなっていることを明確に説明できる必要があります。

コロナ前からすでに業績が悪かった、営業赤字でした、という会社は資本性劣後ローンは無理だと思っていただいていいと思います。

「コロナの影響を受けている」という条件をクリアすることができれば、今債務超過状態で、普通に言ったら、銀行の融資なんて絶対受けられませんという会社でも、資金調達できる可能性があります。

この条件をクリアした上で、実現する可能性が高く根拠のある経営計画を策定して、民間金融機関による支援を受けられる体制を作ることも必要です。

日本政策金融公庫や商工中金から資本性劣後ローンで融資を受けるという前提があった上で、民間金融機関も助けてくれるという意思確認、これができている必要があります。いわゆる協調同意と言われるものを民間金融機関から取っておく必要があります。

協調融資ではなく、協調同意です。これを取る必要があるということです。協調融資ではないので金額や期間を一定に合わせる必要はありませんが、「一緒に支援します」という同意を確認できている必要があります。この融資制度を使うにあたっての1番のハードルは、根拠のある経営計画を作る、協調同意を取り付ける、この2つだと思います。

資本性劣後ローンとはどういう融資?

この資本性劣後ローンとはどういう融資なのかを解説していきたいと思います。

劣っているという字が入っているので「なんか嫌」「うちの会社は劣っていないけれど」と思われる方もいるかもしれませんが、別に「会社が劣っているから劣後ローン」ということではありません。

この劣後というのは、その劣後ローンを受けた会社が倒産した場合に、倒産した会社にお金を貸していたり、債権を持っていたりする債権者が、その倒産した会社の残っている財産の分配を受ける権利。つまり、配当を受ける権利の順位が劣っているという意味です。

例えば、3つの金融機関から借金をしている会社が倒産したとします。

そのうち1社は劣後ローンで貸していました、という場合には、残りの2社の金融機関が先に財務や財産の分配を受けて、その後、まだ残ったお金があれば資本性劣後ローンの回収ができます。ローンを受けた会社が劣っているわけではありません。

そのため、既存の債権者にとっては自分の取り分が減ることはないので、むしろ既存のお金を貸している金融機関にとってもメリットがあります。今の状態のままだったら回収できそうもないけれど、そのお金が入ってくれば再建するかもしれないということで、既存の金融機関にもメリットがあるという制度です。

融資の期間とメリット、デメリット

資本性劣後ローンの融資期間には5年1ヶ月、7年、10年、15年、20年というパターンがあり、融資期間中は元本返済がありません。

つまり、毎月利息を払う必要はありますが、その期間中は元本返済が一切ない。利率も当初の3年間は0.5%と非常に低いです。

4年目以降は前年の業績で変わってきます。赤字だったら0.5%で、黒字だった場合でもこの融資の借りている期間によって2.6%から2.95%という金利が適用されます。

この2.6%という金利を「高いからやらない」はもう論外だと思います。そもそも「銀行からもうお金を借りれないような会社が元本返済のないローンで資金調達できる」と、普通に考えたらあり得ないようなことが起こると考えたら、この金利はとても安いと思います。

借りなければ死ぬ、という状態の会社ですから、借りないという選択肢はないでしょう。金融機関に対する交際費だと思ってください。

元本返済がないため、資金繰りがとても良くなります。入ってきたお金は基本的には全額使えるということになり、そのお金を使ってこの融資期間内に事業再生をしていくことになります。

それができるということを示した経営計画書を作れるなら、資本性劣後ローンで資金調達できる可能性があるということです。逆に言うと「事業計画すら作れないような会社はもう助けません」、そう言われていると思ってもいいです。

そのため、生き残りたいのであれば、そこに対応していくしかないということです。

この資本性劣後ローンは元本返済がないということ以外にもメリットがあります。資本性という名の通り、この融資はローンなので借金なのですが、金融機関の評価上では自己資本として見てくれます。

どういうことかというと、例えば資産金額の合計が2億円、負債が3億円の会社があったとします。つまり、資産よりも負債の方が多い。マイナス1億円ということで、1億円の債務超過という状態です。

この会社が、資本性劣後ローンで2億円調達した。そうすると負債の部に、2億円の資本性劣後ローンというお金が入ってきますが、資産にもお金がプラス2億円入ってくることになります。

マイナス1億円だった自己資本に2億円入ってきて、これを資本としてみなすことができます。つまり、銀行がこの会社を評価するときの自己資産は4億円です。資本性劣後ローンの銀行が会社を評価するときに自己資本として見てくれるということなのです。

そうすると、銀行の評価書で実質破綻先として見られていた会社を正常先として見てくれて、他の金融機関も追加で融資してくれる、という可能性が見えてきます。

次に、資本性劣後ローンのデメリットについてもお話しします。

個人的にはほぼデメリットはないと思っていますが、融資のハードルが非常に高く、簡単には借りられないという点です。

この融資を受けたら、四半期ごとに銀行に対して報告義務があります。今の状況を報告していかなければならない。そのため、経理体制を構築していくということも必要になってくると思います。

しかし、経理体制の構築ができていなかったから会社が悪くなっていた場合もありますので、経理体制の構築は、むしろ率先してやるべきことです。

経理体制を構築しないで会社を良くしていくことはできないので、資本性劣後ローンでそれをやらなきゃいけないというのは、むしろ会社にとってはプラスになるんじゃないかと思います。

儲かっている会社で、経理体制ができていない、という会社はほとんどありません。ということで、資本性劣後ローンは、実際にはデメリットがほとんどない制度だと思います。

返済期日が来たらどうなる?

さきほど5年1ヶ月、7年、10年、15年、20年という融資期間があるとお伝えしましたが、返済期日が来たらどうなるのでしょうか。

資本性劣後ローンの契約上では、その期限が来た時に全額返済するということになっています。

「さすがに厳しい。10年借りても、10年後に一気に2億円返せと言われたら無理では?」と思われるかもしれません。

実際には、10年経って期限が来た時に、またそこから交渉という流れになると思います。分割で返済していくのか、少し返して一部を分割にするなど、どうなるかはわかりませんが「2億円で返したら倒産する」という状態で2億円取り上げられることは実際には起こらないはずです。

そこを気にして挑戦しないというのはもったいないので、やはり挑戦する価値がある制度かなと思います。

今後会社が厳しい状態になると見込まれているのであれば、ぜひこの資本性劣後ローンを獲得して会社を立て直して頂きたいなと思います。

しかし、繰り返しになりますが、相当レベルの高い計画書を作れなければ取れません。もしも「この融資でお金を調達したいけど、やり方がわからない」という場合は、早めにご相談ください。

すぐに行動を!

実は、2021年の年末に期間限定で無料財務診断を行ったことがあります。

この時期にご相談いただいた会社は、財務状態の良い会社が多くありました。意識が高く、行動が早い経営者の方の会社は、経営者がどんどん行動していくという傾向があるので、結果もついてきて良い状態になってきます。

募集を見てすぐに相談してきてくれるという行動を起こすような方は、やっぱりうまくいっていることが多いんだな、というのはその時実感しました。

資本性劣後ローンも同様です。やはり時間とお金というのは制約が必ずあるので、もう手遅れになってしまっているという場合や、どうにもできない場合はあります。ほんとにもうだめだというギリギリになる前に、早めの段階でご相談頂ければと思います。

例えば、顧問料3万円の会計事務所に「その顧問料の範囲内でこの融資を通してくれ、計画書を作ってくれ」というのは絶対にできません。なぜなら非常に時間がかかるからです。

弊社も、この計画書をその料金設定の範囲内で作ることは絶対にできないですし、安い単価で仕事をたくさん受けている状態になると、忙しくなるので対応する時間はないでしょう。

特に年明けの時期は、会計事務所は繁忙期に入ってきます。夜中でも従業員が働いている不夜城状態になっていることが多いので、追加で何十時間も何百時間もかかるような経営計画書を作るのは無理です。

1番危険だと感じるのは、「資本性劣後ローンというのあるって聞いたけれど、計画書を作ってくれない?」とお客さんに言われた時にです。

プライドが高い会計事務所の場合は、知らないと言えないので「作りますよ」と受けてしまう。そして、散々待たされた挙げ句に「やっぱりできません」と逃げられてしまうというパターンです。

このパターンが1番危険なので、お願いするとしても「本当にできるのか」ということを、最初の段階で確認しておいた方がいいと思います。後で蓋を開けたら何もやっていなかったということは往々にしてあるので、気を付けた方がいいと思います。

「じゃあ御社はどうなのか?」と思われる方もいると思うんですけども、弊社は日本で1番この資本性劣後ローンを通している方がいます。

1人で40件ぐらいやっている融資の鬼のような方がいるのですが、その方から直接資本性劣後ローンの手法を学んで、この融資に関するノウハウはかなり持っています。

この資本性劣後ローンは、少しずつですが話題になり始めています。最後の救済手段なので、今、経営が厳しくなった会社がこの制度に注目し始めているためかなり話題になると思います。

すぐに依頼が殺到して受けきれなくなるという状況が目に見えているので、相談はお早めに頂ければと思います。

この記事では、コロナ後に倒産してしまう会社とそれを防ぐための対策について詳しく解説します。コロナ収束後には業績回復が期待されており、「コロナ前に戻れば大丈夫!」と考えている経営者の方も多いと思います。
しかし、その考え方はとても危険です。実際にはコロナ前以上の努力をしなければ生き残っていけません。
多くの会社がコロナ融資やコロナ関係の補助金を利用してきましたが、それらの資金を使い切ってしまったため売上を上げて返済しなければならない状況にあるからです。
今回はコロナ後の経営方法について、具体的な事例をもとに売上を増やすために必要な利益や顧客獲得の方法について説明します。

コロナ前より大変な理由

コロナ融資や補助金を利用した会社は多いですが、その資金を足りないお金を補うために使った会社が非常に多いです。つまり融資を受けて消費してしまったのです。
通常は銀行から融資を受けると、そのお金を使って利益を生み出して、利益の中から返済していきます。

コロナ融資は足りないお金に使い切ってしまった…
利益を生み出していない…
この場合返済が始まったらどうなるでしょうか?

返済猶予期間も終わりつつあります。利益から税金を差し引いた後に返済に充てるお金が必要であり、利益を増やすことが求められています。

ラーメン屋さんの例

ラーメン屋さんを例に使って、コロナ前の業績から倒産を回避するための具体的な手法を説明します。

売上3億円 粗利60% 固定費1億8千万円
客単価 1,000円
コロナ融資:1億円借金10年返済
必要利益: 約1,430万円
必要売上: 約2,383万円
必要人数: 約23,830人
      月1,985人
1日(25日稼働)  79人
1時間(8時間営業)10人

前提条件として、コロナ前の売上が3億円であり、粗利が1億8000万円であるとします。固定費は1億8万円です。これによると、売上と粗利がトントンであり、最終的な利益は0となります。客単価は1,000円です。

コロナ融資として1億円を借りた場合、返済には年間で1,000万円の元本返済額が必要です。コロナが終息して売上が元の3億円に戻ったらどうなるでしょうか。元に戻っても、売上と粗利はトントンなので利益は0です。
その状態で、返済に充てる利益が必要となってくるのです。

返済に充てるために必要な利益は、税金を差し引いた後に1,000万円残る必要があります。したがって、税引き前で約1,430万円の利益を出さなければなりません。

利益を増やすためには売上を増やす必要があります。売上を増やすためには、現在の売上から約2,383万円増やさなければなりません。具体的には、年間で約2万3830人の新規顧客を獲得する必要があります。1日あたり約80人の新規顧客を獲得する必要があるんです。

これをやってようやくキャッシュがプラマイゼロになるという状態です。

これが出来なかったら赤字になりキャッシュがマイナスになっていきます。つまり、出来るか出来ないかではなくやるしかありません。
会社が返済をしていくためにいくら利益を出す必要があるのか、いくら売上を上げなきゃいけないのか、この点をしっかり把握していかないと生き残ることは難しいと思います。

倒産前の対策

いくら利益が必要か把握する


生き残るためには、資金繰りのマイナスを避けるために必要な利益を把握することが重要です。多くの会社が資金繰りに不安を抱えていますが、それは数字をしっかり把握していない(先がどうなるかわからない)からです。
利益がいくら不足しているのか把握すれば、売上を増やすための対策を考えることができます。

不安を解消するためには、利益の確保が必要です。そのためには、売上を増やすための具体的なアクションを考える必要があります。多くの会社がこのポイントを理解しておらず、本当にもったいない状況です。ですので、生き残るためには利益の確保を最優先に考え、売上増加のための戦略を立てる必要があります。

収益構造の理解の重要性

収益構造の理解は、会社の成功において重要な要素です。多くの企業が収益構造を理解していない現状があります。

ここで社長に質問です。
「100円の売上が上がったら粗利はいくら残りますか?」

すぐに答えが出ましたか?これが分かっていない会社が非常に多いです。

収益構造の理解とは、売上に対してどれだけの粗利が残るのか、
また固定費(売上に関係なく発生する費用)がどれだけあるのかを把握することです。

これがわかれば粗利で固定費をまかない、それ以上出た利益は会社に残ることがわかります。自社の粗利率や固定費を把握して初めて、正しい目標を立てることが出来るんです。

PDCAサイクルの活用

粗利率や固定費、そして売上目標を把握した後にやることはPDCAを回すことです。PDCAサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の4つのステップからなる管理手法です。

PDCAサイクルを活用する際には以下の注意点があります。

コロナ後の成功事例

コロナ禍で打撃を受けた企業でも、PDCAサイクルを活用し改善を続けることで成功を収めた例があります。

あるポケットWiFiの会社は、海外旅行需要の減少により売上がゼロに近い状態になりました。このまま売上ゼロが続くと、会社は長くは持ちません。
しかし、会社は新たな事業としてPCR検査事業に参入し、結果的に利益を上げることに成功しました。
新規事業なので最初から成功したわけではありません。失敗と改善を繰り返し最終的に上手くいかせました。
この成功例からわかるように、PDCAサイクルを回し、継続的に改善を行う姿勢が重要だということがわかります。

まとめ

コロナが終われば何とかなると思って、ただ耐えているだけでは生き残れない可能性があります。自社の数字、現状を正確に把握することが重要です。
そして生き残るためには、PDCAサイクルを回して経営を改善し続けることが必要です。

会社の生存と成長は経営者次第であり、自らの責任にかかっています。突然の売上の減少に対しても、自ら改善策を見つけて行動するか、国が何とかしてくれるだろうと動かないでいるかで、会社の未来が決まると言えます。経営者は明確な行動を選び、着実に経営改善を進めるてください。

今回は、 コロナ融資を使っている経営者の方や、財務担当者の方に、注意喚起の意味も込めて、解説していきます。もう銀行も国も助けてくれないという話です。

中小企業は銀行から折り返し融資が受けられない!?

ちょっとゾッとするお話です。2020年にコロナが始まり、政府主導で、活動自粛や経済を止める施策を行ってきました。約2年の間、中小企業は国から各種支援がありました。

持続化給付金や家賃支援給付金、 雇用調整助成金、事業再構築補助金などです。このような施策であったり、コロナ融資として手厚い支援を受けてきました。

ただ、もう気づいてる方も多いと思いますが、潮目は変わってきています。もうこれまでのように簡単に融資が出ることはありません。 貸し剥がしまではまだ起こってないですが、貸し渋りというのは起こっています。

困っていても貸してくれないという事態が、すでに起こり始めているのです。 この方針は緩まるかというと、どんどん加速していくことになります。儲かっていて資金も潤沢である会社は借りることができます。しかし、お金に困ってるような会社はもう貸してもらえない可能性が高いという話です。

皆さんどう思われますか。これ以上銀行から1円も借金できなかったとしても、事業継続ができますか。 銀行から新規融資を引っ張ってこれなくてもお金は足りるでしょうか。以前は、不足したら銀行の折り返し融資と言って新しいお金を出してくれていたので、回っていました。

そうやって回っている会社も多いのではないかと思うのですが、もう折り返し融資が出ないと体感してる会社もあるでしょう。そもそも、融資の必要なお金とは何なのかという話です。

融資に必要なお金は「投資」か「運転資金」

基本的に融資は、「投資」か「運転資金」のどちらかです。


「投資」は、新規事業や新規設備、新規の機械や車両など。新規の投資が必要な場面は、事業投資であれば当然銀行がその事業の計画を見て、大丈夫そうなら融資をしてくれる。これは、事業資金や設備などの投資に対してお金を貸してくれるものです。

もう一つは「運転資金」です。運転資金の定義はここではお話しませんが、要は会社が一時的に立て替えるようなお金です。

日々の経費の支払いや人件費の支払いではありません。いわゆる正常運転資金と呼ばれるものです。これに関しては、銀行から借りて調達するというのは問題ないのですが、実際には足りないから借りてるという会社は本当に多いのではないでしょうか。

足りないお金を借りてしまうと、返すのが大変です。 投資であれば、借りてきたお金を使ってそれ以上に稼いで、稼いだ分で返すということが可能です。

しかし、足りないから借りるということは、不足資金に補填されているので、「その借りてきたお金はどうやって返すのか」という話になります。

基本的に、不足資金を借りるということ自体が間違っているのですが、コロナ前はそういう会社が非常に多くありました。コロナ期間中も、コロナ融資で不足資金を借りていた会社が非常に多くありました。

 例えば、コンビニで考えていただくとわかりやすいと思いますが、コンビニは常に店いっぱいに在庫を抱えてます。雑誌や、食料品、お酒、タバコなどが、仮に1店舗に1,000万円分の在庫があるとします。

実際には、もっと少ないと思いますが、1店舗に1,000万円の在庫があり、この商品があることによって、お客さんが来てそれを買っていきます。

その1,000万円の在庫は、全部売れて終わりではなく、売れたらまた仕入れます。1,000万円分ぐらい必要なのであれば、常に同じぐらいの在庫を抱えているわけです。そうしないと、お客さんが来ませんから、5年、10年経とうが、コンビニは多くの在庫を抱えているわけです。

その1,000万という金額は、常に出してる状態で、先にお金を払ってものを仕入れています。 つまり、常に先にお金が出ていっている状態です。常に一定額、ずっと必要で立て替えることになるお金、これを運転資金と呼びます。

元本返済のないタイプの借入で調達しないと、返済が進んでいくにつれ、運転資金は足りなくなります。折り返し融資でまた借金をして返して、また借金をして返す。

このようなギザギザの状態で、借りている会社が多くありました。本来、一定の返済がないタイプの借入で賄うのが正しい借り方です。

設備投資は、普通に返済のあるタイプで借ります。例えば機械装置を使って、10年間使えるとします。10年間の返済を組んで借金し、機械の価値が落ちていくのと同じように、借金の額も返済して減っていきます。投資した資産と、借入金が、同じように価値が出ているという状況です。

しかし、運転資金も同じように、返済のあるタイプの借入で賄ってる会社が実際には多いです。返済が進んできて、お金が足りなくなったら、折り返し融資という形で、新しい借金をする。こんな形で成り立ってた会社が、これまで多かったのです。

定期的に借金してる会社は財務構造の見直しが必要

今後に関しては、会社が儲かっていてお金に余裕がある場合と、財務状態や財政状態が悪くない場合以外は、この折り返し融資は出なくなる可能性があります。

足りないから借りるというのは、正直難しいという状態になっています。そもそもこういう形で運転資金を調達してたとしても、状況が良ければ不足しません。要は良い状態の会社であれば、不足して折り返し融資を受ける必要性がないわけです。 

足りなくなってるという時点で、あまり良い状態とは言えない。相当運転資金の数が多額に必要ということであれば、最初は必要かもしれません。ある程度内部留保をたくさん積んできて、現預金を集めていけば、運転資金は自己資金で賄えたりするようになってるはずです。

実際には、そうなってる場合は少ないのですが、正しく成長していけば、無借金でいけるような状態になっていくはずです。しかし実際には銀行からの融資でなんとか成り立っているという状態の会社、中小企業は特に多いわけです。

定期的に借金してる会社は結構多いです。毎年毎年、新規融資を受けていたり、2年おきに新規で融資を受けていたり。運転資金が足りなくなったら借りるということが、同じようなスパンであれば、まだ問題ないかなと思います。

このスパンがどんどん短くなっているという場合は注意が必要です。 これは、うまく回っておらず、そもそも資金が回ってない可能性が非常に高いということです。

元々2年おきだったのが、1年おきになり、10ヶ月おきになり、8ヶ月おきになり、気がついたら半年しか経っていないのに、またお金を借りるという状態になります。

こういう状態になると、危険信号です。そもそも投資をしないのにお金を借りるということ自体が、あまりいい状態とは言えません。このように、運転資金を間違った形で借りてしまっているのがお金が足りない原因です。

単純に、お金がもう回っていないという可能性も結構ありますので、自社の財務構造がどうなってるのかを見直しておきましょう。売り上げが10億円あろうが20億円であろうが、回ってない会社はたくさんあります。

数字を見ていないと、見た目の売上が10億になっていると、資金が実際には全然回っていなくても回ってないということに気づかないケースもあります。これは本当に注意が必要です。

売り上げの額は重要じゃありません。キャッシュ、資金繰りが回っているかどうかを見る必要があるのです。もしも社長ご自身で見られるのであれば、必ず確認してください。

「決算書は見たことがない」という状態であれば、1度本当に見直しておいた方がいいと思いますので、お問い合わせください。

コロナ融資を満額使っている会社は要注意!

「コロナ融資借りていると、なぜもう借りられないの?」という話についてです。これは、銀行の融資をざっくり分けると、プロパーと保証協会付きという2種類があります。

何が違うかというと、プロパーは銀行がリスクを負っています。そのため、会社が倒産して返済できなくなると、銀行が損をします。銀行が貸し倒れを負担することになるのです。1億円貸して返ってこない場合、銀行が1億円損するという形です。

保証協会付き融資は、もしも貸した会社が倒産しても、保証協会が代わりに代理弁済して銀行に返してくれるというものです。銀行はリスクを負ってないということです。

銀行がリスクを取らない保証協会付き融資が出るのであれば、銀行は会社が倒産しても別に構わない。仮に倒産したとしても銀行としては損しないので、保証協会付きの融資の方が当然受けやすいでしょう。

どちらの借金がハードルが高いかというのを考えていただくと、プロパーの方が銀行がリスクを負うことになるため、ハードルが高くなります。

コロナ融資はというと、保証協会付きの融資になります。コロナ融資を満額使うなどして保証協会の枠を使い切ってる場合、追加で融資を受けるためには、プロパーで受けるしかありません。

ハードルの低い保証協会付きの融資をもう借りられない会社が、プロパーで借りられるかというと無理でしょう。 つまり、コロナ融資を満額使っているような会社は、もう借りられない可能性が非常に高いということです。

今後、今年来年と倒産する会社がどんどん増えていくでしょう。先にご説明したとおり、保証協会付きの融資であれば、保証協会に代理弁済してもらえますので、銀行はあまりダメージを負いません。

プロパーの融資を出してる会社が倒産してしまうと、銀行はダメージを受けます。すると、銀行の業績は当然悪化するわけです。銀行も営利企業なので、当然業績が悪化するのはよろしくありません。

現在、銀行がどういう動きをしてるかというと、保証協会付きのコロナ融資を出せる会社にどんどん出しています。そして、貸していたプロパーの融資を回収するということを行っているのです。 

本来は、保証協会付きの融資を引っ張りプロパーの融資を返済するということは、救済振り替えと言って禁止されています。

しかし、例えばコロナ融資で3年間据え置き、元本返済が3年間ないような融資を引っ張ってきて、 プロパーの約定ベースで毎月毎月の返済が進んでいけば、結果的に救済振替えと同じことが行われているわけです。

コロナ融資で借りてきたお金を使って返済してるような形になります。つまり、プロパーをコロナ融資で返済してるという状態が実際には起こっている。銀行からすると、ずっと回収してるという状態が起こっているわけです。

これにはいろいろ事情もあります。銀行には、BIS規制というものがあり、銀行の自己資本比率が8%以下になると、国際的に活動することができなくなるような規制です。

お金を貸してる会社がどんどん倒産して貸し倒れが起こり、万が一自己資本比率8%に引っかかってしまうと、銀行が倒産してしまう話になります。あまりにも業績が悪い会社には、お金は貸せないという事情もあるわけです。

実際には倒産しなかったとしても、状況が悪い会社にお金を貸すと、引当金というものを積まなければなりません。要は決算書の内容が悪い赤字の会社にお金を貸した瞬間に、将来この貸したお金が貸し倒れる見込みで、銀行は引当金を経費に入れておかなければなりません。

貸した瞬間に銀行の業績が悪化してしまうので、そういう会社には貸せないということになります。そういう意味もあって、悪い状態にある会社というのは、本当に今後どんどん借りられなくなっていくわけです。

おそらく現時点では、決算書の数字、 PL(損益計算書)の数字や自己資本比率が悪い状態であっても、コロナ融資で借金して手元のキャッシュが潤沢にある状態の会社はまだ多いかもしれません。

しかし、今潤沢にある手元のキャッシュが、毎月減っていくような状態だとすると、その資金が尽きた時点で終了になってしまいます。

 財務体質、経営体質の改善を行いましょう

今は余裕だとしても、余裕があるうちにどうやって生き残っていくのか、 財務体質、経営体質の改善に早急に着手することが必要です。

多分大丈夫だろうという曖昧な状態であれば、本当に大丈夫なのかを確認してください。資金繰り予定表を作れば、キャッシュがプラスかマイナスかは一目瞭然に分かります。

どこでマイナスになってるかがこれを見ればすぐわかりますから、資金繰表だけは作ってください。作り方がわからないという方は、ホームページからご相談いただければと思います。

まずは自社の状況を皆さんが確認してみてください。

今回は、トヨタやレクサスの業績が絶好調である理由と、ここに潜む大きな問題点について解説します。実は、中小企業の経営者にとってとても大きな問題で、他人事ではない可能性がありますのでぜひ最後までコラムをお読みください。

トヨタの過去最高利益にはコロナ融資が関係している

まず、実際にトヨタがどういう状況だったのかを説明しましょう。

トヨタ自動車は2022年3月期通期連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)は、営業収益31兆3795億円、営業利益2兆9956億円と増収増益。コロナ禍前に遡っても、過去最高の営業収益、営業利益となりました。

コロナ禍で外出が減っている、若い人の車離れなどの話や、環境問題に配慮した電気自動車も出てきた、自動運転も現実味を帯びてきた……などの状況を踏まえると、皆さんの感覚的には「あまり良くない」「この先も厳しい」と考えているのではないかと思います。

しかし実際は、2022年トヨタはなんと過去最高利益を叩き出しています。皆さんはこれを見てどう思うでしょうか。

「え、なぜ?」「円安だからかな」ぐらいしか思いつかないのではないでしょうか。確かに円安の影響もありますが、国内需要が絶好調です。特にレクサスなどがとても伸びています。この国内需要の理由の一つには、経営者が会社の資金でレクサスやベンツなどの高級車を買っている、という背景があります。

コロナ融資などの利息や返済が当面かからない融資を、使う目的もないのにとりあえず借りるだけ借り、レクサスなど普段買わないような高級車を購入しているのです。税金対策として高級車を買えば、その分で一定程度の減価償却ができますから、税金も減らせるという意図もあります。

このような高級車の購入は、数字がわかっている社長であれば、100%絶対にやらないでしょう。そうではなく税金を払えばお金は残ります。無駄なお金を使う必要はありません。

しかし、政府が実施したコロナ融資は、経営者の知識不足により無駄遣いをされ、中小企業支援など本来使うべきところに届いていないのが現状です。

「税金を払うこと=悪いこと」?

以前「BS」貸借対照表について説明しましたが、もう1回おさらいしましょう。左側は資産の部、右側は負債の部と純資産の部です。

借金はいずれ返すものです。もし必要以上にお金を借りたとしても、「使い道がないので、とりあえず危ないから現金のまま手元に置いてます」という会社であれば、これをそのまま返済に充てれば会社は回ると思います。

しかし、コロナ融資で借金をして入ってきたお金がどんな形に置き換わってるかというと、高級車になっています。高級車に置き換えてしまったら、どうやって借金を返すのでしょうか?

これは以前にも話しましたが、借金で豪遊するのはいいことでしょうか、悪いことでしょうか。家庭に置き換えて考えていただくと、例えば「奥さんが消費者金融でお金を借りてきて、500万円の美顔器を買ってきた」という話しを聞いたら、否定的な意見を持つのではないでしょうか。

儲かっていてお金に余裕がある状態でしたらかまいませんが、借金でやることではありません。会社の資金も同じことです。なぜ借金で無駄遣いをするんですか?という話ですね。

もう1つ、「PL」損益計算書について説明します。

PLを単純化すると、売上があり、費用が下がる。その差額に残ったものが、最終的な利益です。例えば、売上が100出て、そこに税金が30%かかったとしましょう。税金が30%かかり、売上の70%が残る。この70%が、税金を払った後に残った最終的な利益=自己資本として積み上がり、借金の返済にも充てられます。

しかし、世間の常識的には、税金を払うこと=悪いことのように捉えられています。

現金を減らして得することがあるのでしょうか?税金を払っても何のリターンもないし、無駄だから払いたくないと思うのはわかります。しかし、税金を減らして得することは何一つありません。残るお金がもっと減るだけです。

売上を100、税金を30%払い、最終的な利益が70%残る。この100の売上をキャバクラに行って使えば、税金は0%ですが、残るお金も0円になってしまいます。最終的な利益=自己資本が1円も入ってこないので借金を返せないという状況になるのです。

それぐらい恐ろしいことなんですが、なぜか税金を減らすことに頑張る会社が多くあります。そして、「どうにかして今年も対策が間に合った」「どうにか税金0でいけた」というやりとりをしているのです。

重要なのは「税金を払わない」ではなく、「利益を出す」こと

しかし、重要なのは税額ではなく、残るお金ではないでしょうか。税額が1,000万円と1億円という、単なる税額だけの比較はできません。

1億円税金払うということは、おそらく2億円ぐらいは利益として残るはずなので、お金は2億円増えるわけです。税額が高くても、その方が良いのではないでしょうか。

毎年毎年税金が0円なら、いつまでたっても自己資本が増えずに、他人資本、いわゆる借金だらけという状態です。自己資本が5%しかなく、他人資本が95%という状態のままで利益を積み上げなければ、一生借金だらけのままです。

他人資本とはいずれは出て行くお金なので、会社が持ってる資産の95%はいずれ払わなければいけないお金です。その状態で、資金繰りが楽になるはずはありません。

なぜ利益を出さないんでしょうか?利益を積み上げないとお金が貯まらないのに、税金を払わないためにずっと貧乏でいるのでしょうか。社長は「税金を払わない人になりたい」「お金持ちになりたい」の二択のどちらでしょうか。

お金はあった方がいいと思います。税額をたくさん払ったとしても、手元に残るお金がたくさんあった方が、楽しいことも投資のビジネス投資も、やりたいことができるようになります。お金がたくさんあることによって、救える人も増えるわけです。その方がいいのではないでしょうか。

会社を強くして、その上で贅沢をしましょう

利益が出ていなければ誰も救えず、社会貢献もできません。日本の会社はこういった社会貢献などの側面に弱い傾向にありますが、今は、結構若い人もこういう部分をとても見ています。

昨今、SDGsの取り組みが浸透してきています。若い人はこういう部分に注目していて、どの会社から物を買うかを考えた時に「環境に配慮しているか」などを見ています。

それをしようと思ったら、お金を稼がないと対応ができなくなるわけです。生き残っていくためにはお金が必要なのです。節税や貧乏になってる場合ではありません。

たくさん稼いで儲かってあふれたお金で贅沢したり、役員報酬をたくさん増やして自分のお金を増やす分には、何の文句もありません。役員報酬は費用に入ります。これを払っても会社に残るお金が増えるぐらい利益が出ているのであれば、役員報酬を増やしてもいいわけです。

しかし、自己資本率が低くて借金だらけという会社や、新規の融資がストップしたら倒産してしまう状態の会社が多くあります。そのような状態なのに借金をして無駄遣いをするのは正気の沙汰じゃありません。

会社を強くして、その上で贅沢したいならしましょう。しかし借金ですることではないですよね、ということです。会社が大丈夫なのかというのは、一度きちんと見直した方がいいと思います。

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2020年の新型コロナウイルス感染拡大から3年が経ちました。

最近は人の流れも戻り、景気が若干戻ってきたように感じます。

ですが、経営者の皆さんは安心してはいけません。
「売上がコロナ前に戻れば大丈夫!」なんて考えていると1年後、2年後に倒産することになりかねません。

なぜ売上が戻っても倒産するのか?明確な理由をお伝えします!

⏩もくじ
00:00 オープニング
01:15 仲間を募集中です!
02:26 倒産企業が増加しています
03:37 コロナ前の中小企業は7割赤字だった
06:35 借金で借金を返す会社が非常に多かった
08:10 コロナ前に戻っても大丈夫じゃない理由

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経営者のみなさん、年間合計の経常収支は絶対に黒字にしてください。

赤字の経営収支では、銀行に「年間を通して赤字になる事業を続ける意味があるのか?」と思われてしまいます。今回は資金繰りに不安を抱えている経営者に向けて、不安の解消方法をお伝えします。

資金繰りに不安を抱えている経営者の魔法のツールとは?

資金繰りに対する不安の解消方法はというと、簡単です。資金繰り表を作ってください。

そもそも、不安とはどこから来るのかわかりますか。実際に資金繰り表をきちんと理解して作成している会社はほぼありません。そのため、先のことがわからず不安になっているのです。

もし、きちんと資金繰り予定表を作っていて「来月はもう100%お金が足りなくなります」とわかっていたら、不安にはならないでしょう。

「来月1000万払わなければならないのに、手持ちが100円しかない」といった場合でも、その先がどうなるかがわかっているわけです。

もっとわかりやすい例をご紹介します。アメリカに向かっている飛行機に乗っていて、「燃料が足らずハワイの手前ぐらいで墜落します」と言われたとしましょう。その100%落ちる飛行機に乗って「不安だな」と思いますか。

機長から「この飛行機はもう燃料がないので、あと30秒後に墜落します」というアナウンスがあれば、不安だなとは思いません。その先がどうなるかわかっているから、「それを回避するためにどうする?」しか考えることはありません。

これは、資金繰りも一緒です。先にどうなるかがわかっていれば、不安ではありません。その不安を解消するツールが資金繰り表です。

何にも難しいことはありません。作るのに手間はかかるかもしれませんが、先が見えない不安を解消できるのであれば、その程度の手間は安いものでしょう。

今回は、この資金繰り表の作り方、その注意点、特に銀行を意識した場合に注意すべきことについてお伝えしていきます。

資金繰り表の基本と作成時のポイント

資金繰り表を作っている会社はあまりありませんが、銀行融資を考えた時にこれがあると非常に喜ばれます。なぜ、資金繰り表があると銀行は喜ぶのでしょうか。

答えは、銀行は会社にお金を貸す時に「貸したお金がきちんと返ってくるか」を1番気にしているからです。資金繰り表を作っておけば説得力を持って示すことができ、貸しても大丈夫だと判断されるわけです。そのため、根拠のある経営計画書と資金繰り表をセットで出せば最強です。

しかし、資金繰り表を作成している会社はほとんどありません。資金繰り表の作り方を学び、不安を解消しましょう。では、資金繰り表とは具体的にどんなものなのでしょうか。中身はとても単純です。要は、お金がいつ、いくら入り、いくら出て、いくら残るのかを表しています。お金の流れを表しているだけです。実際に詳細を見ていきましょう。

「前月繰り越し」は、月初の減預金の残高が載っています。

経常収入

「経常収入」は、いついくらお金が入ってくるのか、ということを表しています。経常収入の注意点は、キャッシュベースなのでPL上の売り上げとはタイミングがズレてしまう点です。

例えば、今月売り上げたものが来月入るという状態であれば、売り上げは今月経ちますが、資金繰り表には来月経常収入として入ります。売掛金や受け取り手形が現金化されるタイミングで、経常収入として入るわけです。

経常支出

「経常支出」は仕入れ、人件費、水道光熱費、家賃、通常営業活動を行う上で必要な資質です。PL上の損益計算処理上の項目で言うと、売上原価、販管費などがここに入ります。

これもキャッシュベースでお金が出ていくタイミングで、経常支出として入ってくるということです。そのため、これもPLとはタイミングがずれる可能性はあります。もし、経費が翌月払いということであれば、景気計上PL今月したものが、来月の「経常支出」に出てきます。

経常収支

「経常収支」は、通常の事業活動で、キャッシュベースでの黒字・赤字を表していくところです。特に銀行を意識した場合に注意する点は、年間合計の「経常収支」は必ず黒字にしてください。

完月ベースで見たときに、赤字が出るのは良くありません。全ての月が黒字になるのが理想ですが、どこか1ヶ月が赤字になってしまうといったことはどこの会社でも起こり得ます。

支払いのタイミングなどもあり、単月ベースだと赤字が出るのは仕方ないことでしょう。

しかし、年間合計の経常収支の赤字は絶対に避けてください。「年間を通して赤字になる事業をやる意味はあるのか?」という話になってくるので、ここは絶対に黒字を死守していただきたいと思います。

投資収支

「投資収支」は、例えば、車・土地建物・機械装置などの固定資産の購入・売却がここに入ります。固定資産を購入してお金が出ていく時は支出に、車などを売却してお金が入ってきた時には収入になるということです。基本的には、投資収支はマイナスになることがほとんどです。経常収支でお金を稼ぎ、投資収支でお金を使う投資に回す、というお金の流れはあるべきです。

財務収支

最後は「財務収支」です。これはほぼ借金の出し入れです。お金を新規で借りてくればプラス収入になり、借金の元本返済額は支出になります。ここはプラス、マイナスどちらでもかまいません。

設備投資をして新規で借り入れをした場合はプラスになり、新規の借金の借り入れがなく返済だけが進んでいる状態ならマイナスになります。新規の投資がないということであれば、通常ここはマイナスになります。

合計収支

そして、「経常収支」「投資収支」「財務収支」の3つを合計した「合計収支」が下から2行目で出てきます。これは、その月キャッシュベースで、プラスだったのかマイナスだったのかを表しています。

現預金残高

1番下は、月末の「現預金残高」です。ここでも注意点があります。資金繰り予定表を理解していない人が作ると、この1番下の次月繰り越し高がマイナスの資金繰り表を銀行に提出してしまうことがありますが、悪い印象を与えてしまうため気を付けましょう。

次月繰り越し高が、マイナスになってはいけない意味はわかるでしょうか。これは、経常収支が年間でマイナスになるよりも悪いです。

次月繰り越し高がマイナスになっている=資金ショートしている、つまり倒産していることになってしまいます。ここは全ての月が絶対にプラスにならないといけません。

もしマイナスになってしまうのであれば、そうならないために、事前に対策をする必要があります。この対策を事前に打てるようにするために、資金繰り予定表が必要ということです。

資金繰り予定表があれば最悪の状況が避けられる

資金繰り予定表をきちんと作っておけば、早い段階で資金ショートしそうなタイミングが察知できるようになり、最悪の状況を避けられる可能性があるわけです。しかし、しっかりと管理をしていないと、気づいた時には手遅れという可能性もあります。

これまでは、手遅れになった時に銀行が何度か貸してくれて生き延びることも普通にありましたが、今後はもう手遅れになっても銀行は助けてくれないので、ピンチに陥ることがないように手当てをしていきましょう。

もし、今きちんと管理できているのか不安に思っているのであれば、すぐにご連絡ください。未来がわかれば、不安は解消できます。

「あなたの会社は6ヶ月後に倒産します」という結果になるかもしれませんが、それが6か月前にわかっていれば、対策はできます。そうすれば生き残れる可能性もあるわけです。

しかし、全然数字を見ずに「なんとなく大丈夫だろう」と現実逃避をしていて、5ヶ月後いよいよ危ないという時に相談をされても、もう手遅れになってしまいます。

全ての会社が必ず改善できる可能性はあると思います。しかし、経営のやり方を変えなければ何も変わりません。そのため、会社を継続存続していきたい、会社をどんどん拡大していきたい、大きくしていきたい、従業員や家族、その従業員の家族を守っていきたいんだという社長のご連絡をお待ちしております。

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多くの会社が資金繰りで苦しんでいます。その大きな原因である借金返済。

この借金返済をすぐにしなくて済む方法があるのをご存知ですか?

今年の1月にコロナ融資の借換保証制度が新たに創設されました。

知らない方が多いこの制度、やらない手はありません。

コロナ融資の返済が始まるとキツイ方は今すぐ挑戦してください!

⏩もくじ
00:00 オープニング
01:21 黒字なのにお金が増えない原因
05:12 コロナ融資の返済が本格的に始まっている
06:50 リスケする以外に元本返済する方法
07:54 借換保証制度の2つの要件
09:20 3月は銀行の決算時期!審査が緩くなりがち

■中小企業庁 コロナ借換保証について
民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。 (meti.go.jp)

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コロナ、戦争、物価上昇、様々なリスクにさらされ中小企業は非常に厳しい状態になっています。

そして大幅な物価上昇の影響で世間的には賃上げモード… 。

経営者として従業員の給与を上げてあげたい。
しかし色々な経費の値段が上がっている中で人件費もさらに上げるのは至難の技です。

実際問題、アフターコロナで8割~9割の中小企業が赤字と言われています

今回の動画では、この不安定な世の中を生き抜くために中小企業が絶対にやらなければならない大事なことをお伝えします!

⏩もくじ
00:00 オープニング
01:01 中小企業は非常に厳しい状態
02:31 会社経営を維持するには
03:04 ■コスト削減 なんでもかんでも減らしてOK?
05:30 ■コスト削減 Amazonで1円でも安く仕入れた方がいい?
07:56 ■売上を増やす 
08:34 持論:従業員をクビにできるシステムがあった方がいい

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