多くの経営者が考える「黒字なら会社は安泰」という考え、これが大きな落とし穴となり得るのです。
実は、利益を上げているのに突如として経営危機に陥る「黒字倒産」のリスクがあります。会社が生き残るかどうかは手元に残るお金で全てが決まります。利益があるからと安心してはいけません。黒字であってもこのリスクに気づかずに進行してしまうと、突如として倒産の危機に瀕することも。
そこで、今回は黒字倒産のリスクを避けるための「黒字倒産する会社の兆候と特徴を5選」を解説します。これらのポイントを押さえることで、経営の安定をより一層強固にする手助けとしてください。

黒字倒産とは

黒字倒産は、利益が出ている(計算書上の黒字)にも関わらず、会社が倒産する現象を指します。この状況は一見不思議に思えるかもしれません。多くの人は「黒字ならお金もあるはず」と思うでしょうが、実際には必ずしもそうではありません。

会社が倒産する主な理由は「お金がなくなる」ことです。たとえ赤字であっても、十分な資金があれば倒産のリスクは低くなります。逆に、黒字であっても資金が不足すれば倒産の危機が迫ります。上場企業の中には巨額の赤字を出している会社もありますが、豊富な資金を持っているため、倒産しないケースが多いのです。

実は、コロナ発生前のデータによれば、倒産した会社の約半数が黒字倒産であると言われています。これは驚きの事実であり、経営者としてこのリスクを理解し、利益を出しながらも資金の確保を怠らないように努力することが重要です。

黒字倒産する会社の兆候と特徴

1. 拡大ペースが早すぎる

拡大ペースが急速である場合、売上を増やすために多くの商品やサービスを仕入れることがありますが、この際に十分な資金計画がないと資金繰りが追いつかなくなります。特に原価が発生する業種では、仕入れのタイムラグを考慮しないまま拡大すると資金ショートが起こりやすくなります。

解決策:

2. 与信管理が甘い

取引先や得意先の信用度を十分に調査せずに取引を行うと、売上はあるものの回収できないリスクが生じます。取引先の財務状態や信用度を確認せずに取引を行うと、売上を上げたとしてもお金が回収できずに損失を出す可能性が高まります。

解決策:

3. 得意先が少ない

得意先が限られており、そのうちの1社に依存している場合、その得意先の経営状態や支払い能力の変化によってリスクが高まります。1社への売上の割合が大きいほど、その会社の経営が悪化すると影響を受けやすくなります。

解決策:

4.在庫管理が甘い

在庫は事実上、お金と同じと言えます。多くの在庫を抱えることは、多額の資金を先に出費しているという意味です。そして、この原因として「欲を出して多くの在庫を持ってしまう」という行動が挙げられます。これは、売上のチャンスを逃さないための行動として取られることが多いです。しかし、過度な在庫を持つことは管理コストの増大や資金の無駄遣いとなり、実は利益を圧迫することにつながります。

解決策:

具体的な在庫管理の成功例としてトヨタ自動車が上げられます。彼らは「かんばん方式」という手法を利用し、適正在庫を徹底的に管理しています。これは在庫が一定量を下回ったら自動的に発注される仕組みを持っており、無駄な在庫を持たないよう努力しています。中小企業にもこのような徹底的な在庫管理が必要となります。

5.お金の流れがわかってない

経営者として、決算書や試算表の数字を見るだけでなく、実際のお金の流れを理解することが重要です。たとえ試算表で利益が出ていたとしても、キャッシュフローがマイナスであれば、会社の健全性は保証されません。黒字であることよりも、実際の資金繰りやキャッシュの流れに目を向ける必要があります。

解決策:

まとめ

今回、黒字倒産する会社の特徴5つについて説明しました。多くの会社がこの特徴に該当する可能性があります。問題点を直視し、解決策を模索することが重要です。目を背けがちな部分にも注意を払い、会社の健全性を保つための取り組みを行ってください。
本日のポイントは、「黒字でも、会社の数字と資金の流れをきちんと確認せよ」ということです。

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今回は、多くの方が勘違いしている売上とお金の関係について解説していきます。売上を増やしても、逆にお金が減るということがあるのです。なぜだかわかりますか?

どうすれば会社に残るお金を最大化できるのか、今回の解説を読むとご理解いただけるかと思います。売上が増えたけどお金がなくなった、ではなくしっかりと会社に残るお金を最大化していくという話をしていきます。

会社に残るお金を最大化するためには? 

コロナの影響もあって、資金繰りが厳しいという会社が急速に増えてきています。資金繰りが厳しくなってくると、資金繰りを改善するために、売上をどうにかして増やそうと考えている会社が非常に多くなります。

売上を増やすということ自体は全く間違っていません。売上が増えるというのは会社にとって当然いいことなのですが、お金の管理をしっかりしておかないとまずいですよ、という話です。

売上が増加するとすぐに手元のキャッシュが増加するかというと、そうはなりません。こういう話をすると、「いや、売上じゃなくて大事なのは利益っていう話をするんでしょ」と思われる方も多いと思います。

 それは当然そうなのですが、いくら売上が増えたとしても利益が残らなければ、 手元に残るお金は増えない。

例えば、1,000円で仕入れてきたものを500円で売れば、売上なんていくらでも増やせます。しかし、当然そんなことをしたら、手元のお金がどんどん減っていく。1個売るごとに500円減っていきますという状態です。

それで売上を増やしても、当然キャッシュは減っていく。要は、利益がマイナス500円という状態なので、当然キャッシュは減ります。

そんなことする人はいないと思いますが、極端に言えばそういう話です。1つ1つの取引でしっかりと利益を生み出していくというのは、大前提として当然あるわけです。

建設業は受注するときに注意が必要

今回の利益の話で言うと、特に建設業は注意が必要です。工事を受注するときに、しっかりと実行予算を組んでない会社は意外と多いです。感覚で受けてしまっている。

すると、工事を受注して売上は当然上がりますが、工事を実行した結果、赤字工事でキャッシュとしてはマイナス、全利益もマイナスになる。どんどん手元のキャッシュが減っていくということが本当に多いのです。

とは言え、職人を遊ばせておくわけにはいかないし、赤字になるかもしれない工事も取らなければいけないという話も聞こえてきます。 それは正直、企業努力不足ではないかと思います。

赤字工事は基本的に受ける意味がない、と思っていただいた方がいいです。 そういう認識を持たなければダメだということです。しっかりとすべての工事を黒字にできる体制を作る必要がある。そうでなければ、会社を継続、存続し続けていくことはできないのです。

もちろん、1つ赤字工事を受ける代わりに割のいい工事を受注できるということが確約されているなど、赤字とわかっているけれど戦略的に取るのであればいいかもしれません。

会社の実績を作り、それを元に次の案件を受注していこうなど、戦略的な宣伝広告目的があるのであれば話はまた変わってきます。ただ売上が欲しいためにやるというのは絶対にダメです。

工事を受注するときに精度の高い実行予算を組み、黒字になる金額で見積書を出して受注する。当たり前のことですが、これが重要です。 

この当たり前は、建設業をやってない方からすると、おそらく普通に当たり前と思われるようなことです。しかし、行われていないことが実はとても多いのです。実行予算を組み、しっかりと利益が出るような工事を取ってくるという、当たり前のことをやりましょう。

例えば1,000万円の工事を受注したとします。受注した段階で予算として700万円の原価がかかるから、300万円の利益が出ます。

大体何かイレギュラーなことが起きるので、予定以上に原価が発生してしまい、200万円ぐらい余計にかかったとします。まだ100万円余裕あるから大丈夫という風に考えられる方も結構多くいます。

大体、予定より利益が減っていくというパターンが多いのですが、発想を逆にする必要があります。300万円の利益の予定で予算を組んだのであれば、この300万円の利益をどうにかして400万円に増やせないかということを考えていかないといけません。 

そういう視点で考え、利益を削り出していくのが重要だと思います。 あと注意が必要なのは、身の丈に合わない工事を受注するというのも絶対にNGです。

普段は数百万円の案件なのに、「1億円の案件をやってくれないか」みたいなことを言われると、飛びついてしまう。1億円の売上が1件入って喜ぶ。これはもう絶対ダメです。 

確実にその案件を自分の会社でこなせるという根拠があればいいのですが、とりあえず売上が欲しいから受けるというのは本当にやめた方がいいです。

結局、自分のところの従業員でこなせずキャパオーバーとなり、外注を使いまくって大赤字を出す。要は、1億円の工事を原価1億円以上使ってしまうということです。現場の指揮管理もうまくできずに外注を使いまくり、お金が垂れ流し状態になってミスも多発し、 1個の工事で大赤字を出す。

さらに、その工事に人を入れすぎて、通常受けていた普通に利益が出る数百万の工事を断ってしまい、 もう目も当てられない負のスパイラルに入ってしまう可能性があります。身の丈に合った工事を、しっかり管理できる範囲内でやっていくということが必要だと思います。

原価の管理が重要というのは、言われたら当たり前のことです。しかし、この当たり前を愚直に行う会社が本当に少ないので、そこにお金が埋まっているということです。

そういうことを強く意識していただいて、予算作るのなんかめんどくさいと思っていても、きちんと作成してください。そうしないと利益が残りません、という話です。

 売上を増やしても、お金が減るのはナゼ?

今回の本題は、売上より重要なのは利益、という話ではありません。きちんと利益が出る案件を取ってきて売上を増やしても、お金が減る場合があります。むしろ多くの場合、お金が減るというお話をしていきたいと思っています。

「利益が出る案件しか取らないなら、お金が増える」と思いますか。 確かに売上の回収まですべて完了し、次の取引で何もなければ、当然残るお金は増えます。

実際には、ビジネスというのはずっと続いていくので、売上が上がってお金を回収する前に次の仕入れが発生したりするわけです。回収する前に、どんどんお金が先に出ていってしまうのです。

そもそも、今言ってるのは運転資金の話のことです。

BS(貸借対照表)の運転資金部分だけを抜き出します。売上債権と在庫を合わせたものと、仕入債務の差額が運転資金です。

売上債権とは、売上が上がっても、まだお金として入ってきていない状態のものです。在庫は、物を買ってお金を先に払ってる状態、お金が出ていってる状態のことで、まだキャッシュになっていません。これから売るものです。

売上債権と在庫を合わせたものからマイナスするのが仕入債務。仕入債務とは、在庫を買ったけどまだ払っておらず、お金として出ていってない状態のことです。売上債権と在庫から仕入債務をマイナスした差額が、一時的に建て替えることになるお金の運転資金ということです。

例えばコンビニに行くと、在庫が常にあります。1店舗、例えば1,000万円の在庫が置いてあるとします。

その1000万円の在庫は先に仕入れて、お金を払ってお店に準備し、お客さんが来たら買ってくれてお金になるというビジネスモデルです。売れたらまた仕入れて補充する。

つまり、今の例で言うと、常に運転資金1,000万円が必要という状態であるということ

です。この1,000万円は、先に常に払って、お店に在庫として置いておかなければなりません。

5年経とうが、10年経とうが、1,000万円は常にお店に置いている状態です。在庫がなければお客さんは来なくなるので、在庫を置かなければいけない。常に出ている状態、立替ている状態になっているお金を運転資金といいます。

売上を急拡大すると、キャッシュとしてマイナスになるというのはどういうことでしょうか。例えば、コンビニ1店舗経営したら1,000万円の運転資金が必要で、その1,000万円が出ていってる状態になります。2店舗に拡大したらどうなりますか。

両方とも1,000万円の在庫を置かなければいけないので、2,000万円の運転資金が必要になります。つまり、先出しするお金が2,000万円になる。その分売上も当然増えますが、出ていってるお金、運転資金が2,000万円必要という事実は変わりません。

最終的には回収しますが、常に2,000万円の在庫は先出しで払っておかなければいけない。3店舗、4店舗と増えていけば、当然その必要運転資金は増えていきます。

よって、急激に規模を拡大していくと絶対にキャッシュが足りなくなるのです。例えばコンビニだったら1,000万円かもしれませんが、ホームセンターを経営するとなったら1億円かそれ以上の在庫を用意しなければいけません。

その場合、先出しで払わなければなりません。どこかで急拡大していくと、必ずキャッシュが足りないということが起こるのです。もちろんこの話は業種的に例外もあります。 

例えばコンサル業など、仕入れが発生しないような商売です。原価が発生しなければ、先に払うものはありません。 売上のお金が入ってくるだけということなので、売上が増えれば、それだけお金が増えていきます。

あとはクラウドファンディングなどを使う場合もそうです。物販などでクラウドファンディングを行った場合、先払いでお金をもらうことになります。こういう場合は、運転資金が必要なく、入ってきたお金で仕入れて、 物を作って売るということができます。

しかし、先に仕入れたり作ったりしてから売るという流れが一般的です。そうすると、やっぱり先にお金が出ていってしまうのです。 そういう商売をする場合には、やはりきちんと資金繰りを管理しておかければいけません。売上が伸びてるのに資金ショートを起こすということは、当然ある話です。

強い会社にするために資金繰り管理を徹底的に行いましょう

しっかりと売上が伸びていて、業績が良くなっているという状態であれば、通常は銀行が貸してくれると思いますが、銀行が貸してくれるにしても限度はあります。

根拠のある経営計画や資金繰り予定表を作り、「借りたお金は必ず返せますよ」と銀行に示すことができないと、 借りられないという可能性もあるのです。資金繰り管理はどんな会社でも必ず、徹底的にしっかりとやっていく必要があります。

特にこれから伸ばしていこうという風に考えているのであれば、資金繰り管理は必須です。物販なんかやってる方の場合、例えば今仕入れられれば絶対売れるのに、資金がなくて仕入れるチャンスを逃すみたいなことが結構あります。

手元キャッシュを積み上げておくことは、チャンスを逃さないためにも重要です。手元キャッシュが余裕だから高級車を買うなど、すぐに使う人は、突き抜けるのは絶対無理です。

年収2,000〜3,000万円ぐらいしかないのに高級車を買ってしまうというのは本当にもったいないです。そのお金をまた事業投資に回せば、年に何倍にもなって返ってきます。 

このような発想にならなければ、本当に会社を安定した強い会社にしていくことはできないと思います。ぜひ資金繰り管理を徹底的に行って下さい。