金融検査マニュアルの弊害とは

以前のコラムでも紹介した通り中小企業の主な資金調達方法は金融機関から借入になります。ですので金融機関とうまく付き合っていく事が会社を経営していくうえで非常に重要になりますが、そもそも金融機関がどのように会社を評価し金を貸せるかどうかを判断しているかご存じでしょうか?

最近は事業性評価という言葉を聞くケースも増えてきていますが、本来は会社の事業性、会社の事業内容や成長可能性などを適切に評価することが必要です。つまり会社の将来性を評価して金を貸せるのか貸せないのかを判断する事が求められていますが、実際には将来性よりも過去の決算内容で判断され業績が良ければ借りることが出来ますが、過去の業績が悪い会社は融資を受ける事が出来ないというケースも多くあります。

金融機関に求められている役割は多岐に渡り社会性なども求められていますが、極論を言ってしまえば金融機関にとって最も重要なのは貸した金がちゃんと返って来るのかどうか、という事に尽きます。なので本来であれば過去の決算内容よりも今後会社がどうなっていくのか?という未来の話の方が重要なはずですが、そこを評価する能力が乏しくなっている事も事実です。

金融検査マニュアルの弊害とは?

では何故評価能力が乏しくなってしまったのか。金融機関にとっては貸した金が返って来るかどうか、という事は金融機関自体の存続という意味でも重要で会社の将来性を評価する能力は金融機関にとっても生命線と言っていいほど重要な能力なはずなのですが、その能力の欠如が今問題になっています。

何故か?それは金融検査マニュアルの弊害と言っても過言ではないかもしれません。金融検査マニュアルとは金融庁が金融機関の検査を行う際に用いられているマニュアルの事で、バブル崩壊時に不良債権が増大し金融機関の経営が悪化したことを受け平成11年に公表された。この事によって金融機関が融資を行う際に起業をこの金融検査マニュアルに従って評価しなければならなくなったのだが、この融資審査の方法が主に過去の決算書の内容を元に全国統一ルールで会社のいい悪いを判断するというものであった。

この金融検査マニュアルの導入によって各金融機関の不良債権比率が低下するなど早い段階で一定の効果は得られたのだが2019年12月に廃止されるまでの約20年間近く継続されることとなった。この金融検査マニュアルによる融資審査は会社の財務データ(過去の決算書)に基づいて会社を格付(区分)するというもので、数字を元に機械的に評価が行われることになるので誰が行っても同じ結果が得られるというメリットがある一方で、融資担当者が会社の将来性などについて詳しく分析評価して回収可能性を見極める能力が失われる結果となった。

その結果日本型金融排除と呼ばれる過去の数字を見るとリスクはあるものの将来性があったり地域に取ってなくてはならにような会社であっても、決算書の内容が悪いと融資を受ける事が出来ないといった問題が多く発生することとなった。当然国もこのような状態をいいとは思っておらず、金融機関は中小企業を支援し地域経済に貢献すべきという考えもあって金融検査マニュアルは廃止されるに至ったのである。

しかし20年近くも過去の数字を元に機械的に会社を格付して融資可否の判断を行い続けた結果会社の事業性を評価できるような腕利きバンカーと呼ばれるような銀行マンがほとんどいなくなってしまったのである。

今後は国の方針としても事業性評価、つまり会社の将来性を重視するという方向に舵を切っているため、ちゃんと根拠のある経営計画を策定して会社の将来性について社長自らの口で語れるようになる、といったことが重要になってくると考えられるが、現状はまだまだ金融検査マニュアル時代の名残が強く残っており、事業性評価に対応しつつも決算書の内容を良くしていくという事が合わせて必要になる。

そもそも会社経営を行っていくうえで経営計画すらない、という状態は決して健全ではないのでまずは社長の目指すべきゴールを経営計画に落とし込み、事業性評価に対応しつつも決算書の内容を良くして高い格付け評価を受けられるようにするなど正しい知識と意識を持って経営を行っていく事が会社を継続・存続し生き残っていく上で必要不可欠である。

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