2023.04.07
粉飾決算してる決算書はここを見れば分かる!粉飾決算でいじられやすい勘定科目5選
今回は、粉飾決算について、会計のプロである公認会計士の立場からご説明していきます。
目次
そもそも粉飾決算って?
粉飾決算とは、「決算書をお飾りする」「お化粧する」ということです。決算書の数字をいじって、本当は赤字なのに黒字に見るなど業績をよく見せることです。
企業が粉飾決算をする理由
上場企業は株式市場で株が売買され、業績が悪化すると株価が下がります。すると会社の時価総額も下がり、資金調達もしづらくなっていきます。
しかし業績をよく見せれば株価も上がり資金調達もしやすくなるわけです。
銀行に粉飾決算がバレたらどうなる?
上場企業は株式市場の信頼性を確保するために監査法人の監査が入り、粉飾などが行われていないかどうかの確認がされます。
上場企業ではなくても、銀行から借り入れがあるような会社やこれから借り入れをもっとしていきたい会社の場合、 銀行は主に会社の決算書を見てお金を貸せるか貸せないか、いくらまで貸せるのかを判断をします。
そのため、決算書の数字をよく見せれば、 資金調達できると思って粉飾するようなケースがあるわけです。
上場企業の粉飾決算は度々問題になり、逮捕され実刑判決が出たケースもあります。
中小企業の粉飾は、何のためにやるのでしょうか。多くは、銀行を騙してお金を借りようとして粉飾を行うケースです。これが問題ないわけがありません。さらに、粉飾で数字をいじる場所なんてどの会社も似たり寄ったりで、ほとんどの場合、銀行にバレていると思ってください。
粉飾決算をしてお金を借りたところで、傷口が広がるだけです。被害が増えるだけです。それであれば早めに店じまいをするということも、1つの方法かもしれません。
粉飾がバレると最悪の場合、期限の利益の喪失と言って、 銀行が今まで貸していたお金を一括返済しなければならない可能性もあります。
銀行との関係性で信頼してもらえるかどうかというのは企業においては重要なポイントです。粉飾決算している決算書は稚拙なやり方をしていることが多いのですぐにわかります。
次は粉飾決算でいじられやすい数字、勘定科目5選というのをお伝えしていきます。
粉飾決算してる決算書はここを見れば分かる!~粉飾決算でいじられやすい勘定科目5選~
その1 現金
現金残高が多い会社があります。 預金残高はいくら多くても通帳を見ればわかるので、そこをいじるということはほぼありません。しかし、現金は実物を見なければいくらあるかどうかがわからないのでいじられやすいです。そのため、現金の残高が全然合ってないという会社があります。
これは、経費で支払ってるものを帳簿につけず、現金は出ているが帳簿上の現金は減っていないということが起こっているのです。これが積み重なり、あり得ない現金の残高になっている決算書は注意が必要です。
その2 売掛金
架空の売上計上のパターンです。売上計上を水増して、利益を押し上げるというパターンで、当然、回収されることがないわけです。したがって、帳簿に残り続けるということでもあるため要注意です。
その3 在庫
帳簿上で在庫を増やせばその分原価が減るので、結果として利益が増えることになります。利益が増える前の年より明らかに在庫が多すぎる、利益率が異様に上がってるなどがあれば、いじっている可能性があるので要注意です。
その4 減価償却費
減価償却費は償却できる限度額が決まっています。減らす分には会計上、別に問題はありません。つまり、本来償却すべき額を減らせばその分経費が減るので利益が増えるわけです。
しかし償却すべきものを償却していないと、銀行によっては相手にされないケースもあります。銀行側は実態に引き直して決算書を見ているため、全く意味がないのでやめましょう。
その5 役員貸付金
いわゆる使途不明金です。役員貸付金をはじめとした相手先が役員となっている勘定科目、これは調整に使われることが多いので注意が必要です。これは銀行側がすぐにいじってるとわかるので、きちんと処理するようにしましょう。
役員貸付金を解消したいけれど、多額にありすぎてどうにもならないという会社は1度、状況を確認した方がいいと思いますのでご相談ください。解決への糸口を見つけますので、早急に手を打つことをおすすめします。
以上、公認会計士から見た粉飾の手法5選をお伝えしました。銀行との信頼関係を壊さない為にも、粉飾決算という危険な行動は直ぐにやめることをおすすめします。
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