2023.11.15
【コラム】中小企業の倒産理由は?!黒字経営で生存するためにできる事とは?
日本企業の99.7%は、中小企業です。
しかし、業種ごとに違いはあるものの、昨今の物価高など厳しい状況のなか、中小企業の数は減少傾向にあります。
実際、2023年度上半期の中小企業の倒産件数は、前年より34.7%増の4,208件で、前年を2年連続で上回り、4年ぶりに4,000件を超えました。
本記事では、そんな中小企業の倒産理由と倒産しないための対策についてくわしく解説します。
目次
1. 中小企業が倒産する主な理由5つ
中小企業が倒産する主な理由は、大きく分けて5つあります。
1-1. 販売不振
最も多い理由は、売上高が減少して収益が減少する、いわゆる販売不振です。
売上高が減少する速度には、緩慢と急激の2種類があります。
緩やかに減少している場合は、キャッシュフローや決算書など、然るべき経営指標を活用して早急に対策を打たなければなりません。
一方、急激に減少している企業の場合は、迅速に経営状況を判断して事業を抜本的に見直す必要があります。
いずれにせよ、自社の売上高を定期的にチェックし、販売不振の傾向にある場合は早めに対策を講じることが重要です。
1-2. 既往のしわよせ
2つ目の倒産理由は、既往のしわよせです。
業績が悪化している現状を看過し、特に対策を講ずることなく過去の資産を少しずつ使い続ければ、やがて倒産に陥るでしょう。
本来、右肩下がりになっている売上を見れば、経営状態の悪化を把握できます。
しかし、特に小規模の場合は、社長自ら日々の業務に忙殺され、自社の売上高や利益を追える資料もなく、キャッシュフローの動向を把握できていない企業も少なくありません。
資産の食いつぶしは、限界値に達した時点ですさまじい勢いで倒産に至ります。
内部留保やキャッシュに減少兆候が見られる企業は、可及的速やかに対策を立てましょう。
1-3. 連鎖倒産
3つ目の理由は、建設業や製造業によく見られる連鎖倒産です。
取引先や販売先が数社に限定されている企業は、メインの取引先が倒産すると売掛金を回収できなくなり、自社の資金繰りが苦しくなって倒産に陥ります。
連鎖倒産を回避する目的で定められた中小企業倒産防止共済法に基づく「経営セーフティ共済」もありますので、加入しておくという選択肢もあります。
また、取引先が限定されている企業は、今後に向けて次の3つのことを心がけましょう。
1.取引先の倒産予兆を察知する
2.販売先・仕入先を分散させる
3.早めに資金を回収する
共倒れにならないよう、役員や従業員の退職状況や支払い延期の要請などを含め、常にメインとなる取引先の状況を把握し、リスクをコントロールすることが重要です。
1-4. 過小資本
過小資本も、中小企業が倒産する理由のひとつです。
これまで企業設立時の資本金は、1,000万円以上で株式会社、300万円で有限会社という最低資本金制度が設けられていましたが、2006年に撤廃されました。
廃止の理由は、起業する際の障害になるとの見方もあり、債権者の保護機能として実効性がないとの意見が多かったためです。
しかし、裏を返せば資本金が1円でも起業できることになったため、最近は資本金が少なくて倒産する事例も存在します。
また、節税対策として事業で得た利益を社外に流出させ、自己資本率の低い状態で運営している企業も少なくありません。
過小資本による中小企業の倒産は、近年では減少傾向にあるものの、内部留保によって自社の体力を十分に蓄えておくべきでしょう。
1-5. 放漫経営
中小企業の倒産理由には、経営者のずさんな管理や経営または会社の私物化などによる放漫経営もあります。
トップの独断がまかり通るような社風の企業は、従業員の立てた経営計画がトップの鶴の一声で覆るケースも珍しくありません。
特に、同族経営による中小企業の場合は、経営層が公然と会社を私物化し、親族以外の従業員が頭を抱えることもあるようです。
このような放漫経営は慢性化しやすいため、気づいた時には手の施しようがなく、倒産に陥ります。
思い当たる節のある経営者は、「いつも自分が正しい」というワンマン意識を捨て、従業員の声に耳を傾ける姿勢を心がけるべきです。
また、同族経営の場合は、互いに倫理観と責任感を強く持ち、血縁関係が放漫経営を引き起こさないようコーポレイトガバナンスを確立しておきましょう。
2.倒産しないようにするためには?
中小企業が倒産しないようにするためには、次の3つの対策が考えられます。
2-1. 資金繰り計画の作成
1つ目の対策は、資金繰り計画の作成です。
資金繰り計画を作成する際は、形式的であるか否かを問わず、今後を見込んで自社の資金の出入りを予測する必要があります。
ちなみに、この資金繰り計画は企業の「お金の出入り」を主体に作成するものですで、必ずしも損益と一致するとは限りません。
中小企業では、社長自ら経営以外の業務を兼務する場合もあり、計画的な資金繰りを作成していない企業も多いようです。
しかし、適切な経営判断を下すためにも資金の流れを可視化し、自社の倒産リスクを低減すべきでしょう。
資金繰り計画をきちんと作成していれば、設備投資の目的で金融機関などから借り入れる際も数字の根拠に説得力があるため、信用を得やすいというメリットもあります。
申し入れ先から「机上の空論」として融資を断られることのないよう、急ごしらえではなく、将来的な自社の状況をしっかり見据えた資金繰り計画を作成しましょう。
2-2. 事業の整理
変化の著しい現代社会において経営不振に陥った企業は、事業の整理も検討しなければなりません。
具体的には、リストラや関連会社の売却・不振事業の撤廃などの経営再建策によって、収益の向上を図ることになるでしょう。
経営が厳しい状態で、これといった対策も取らずに事業を継続している企業は、適切な処理をおこなう費用を捻出できない状況に陥りやすく、倒産のリスクも高まります。
初期段階に事業の選択や集約、人員整理による資金繰りの改善や新たな資金調達ができれば、本来の経営軌道に戻せる可能性は十分あるでしょう。
経営者として、手遅れになる前に自社の経営状況を俯瞰し、冷静かつ適切な手段によって事業を整理することが重要です。
2-3. 無駄の削減
3つ目の対策は、ムダの削減です。
中小企業は、売上高の経費率から見て、コストの占める比率が大きいといわれています。
決算書に記載する勘定項目には材料費・購入費・設備導入費など複数の項目がありますが、日常業務を振り返ると、各項目でコストが発生しているケースも珍しくありません。
たとえば、次の4つに該当する職場のムダはないでしょうか。
1.仕様を確認せずに作った製品の出戻り
2.不要不急の仕入れによる在庫の積み上げ
3.念のため大量にコピーした書類の保管
4.議論のない長時間の会議による時間の消費
このような日常業務のムダは、積み重ねると大きなコストになります。
企業も家庭と同じで、水道光熱費や賃借料、人件費や事務用消耗費などを年度予算で対比し、身近な経費から削減に努めるべきです。
また、ムダの削減は、経費やコストだけでは十分ではありません。
作業のムダにも目を向けて、次の4つの対策を検討しましょう。
1.自動化による重複作業の回避
2.マニュアル作成による作業の均一化
3.コミュニケーション・ツールによる情報の共有
4.ナレッジ共有による職場全体のスキルの向上
すべてのムダを一度に排除するのは難しいかもしれませんが、すぐに始められるところから段階的に進めていきましょう。
3.事態が悪化している状態で、事業再建を試みる場合
事業が悪化している状態の企業は、早急に事業の再建を試みることで倒産を回避できます。
一般的に用いられる手法は、次の2つです。
1.法的処理
2.債務整理
3-1. 法的処理をして債務を減らす
収益の向上が難しくなった企業は、法的処理によって債務を減らす選択肢もあります。
法的整理として取れる手続きは、再生型と清算型の2種類です。
3-1-1:再生型
再生型は、会社を存続させながら債務を整理して会社の経営を立て直す方法で、民事再生または会社更生のいずれかの手続きになります。
1.民事再生
民事再生法に基づいて企業の債務の総額を大幅に減額し、猶予のある返済スケジュールを立て、民事再生計画に則って減額語の債務を債権者に計画的に弁済する手続きです。一般的に、経営層は継続して事業の再建を図ります。
2.会社更生
会社更生法に基づき、担保となる債権も含め、企業における債務の減額・返済スケジュールを延長する手続です。本手続では、経営に関する権限は経営層から管財人に移行されます。
3-1-2:清算型
清算型は、企業の総資産を金銭化して債権者に配当する手続きで、破産手続と特別清算の2つの方法があります。
1.破産手続
破産法に基づき、破産管財人が企業の所有する財産の換価・処分および債権者への配当をおこなう手続きです。企業の債務を全額免除して会社を清算し、法人格を消滅させます。
2.特別清算
株式会社に限定される手続で、債権額の3分の2以上を所有する債権者の同意などを要件とします。流れは破産手続と同様ですが、裁判所を介さず企業自体でおこなうため、簡易に進められるのが特徴です。
3-2. 債務を整理する
2つ目の方法は債務整理で、任意整理ともよばれています。
任意整理は、法的な手続ではなく、企業が各債権者または債権者全体との話し合いによって弁済額・弁済手段を了承してもらい、整理するものです。
但し、債権者が少なく企業に協力的であることに加え、税金や社会保険料などを全額支払う能力があることを要件とします。
また、債権者が、債権放棄額を損金算入できない旨を了承していなければなりません。
さらに、債権者全員の合意を得る必要があり、金融機関から拒否される可能性もあるため、債務整理を採択できる企業はかなり限定されるでしょう。
4.まとめ
2024年問題もあり、特に製造業・建設業・運送業を担う中小企業は、今後も予断を許さない状況です。
今後、販売不振などで経営の悪化が続く場合は、債務を減らして経営を立て直さなければなりません。
判断のタイミングが遅ければ、裁判所の手続きにより、経営層の移行や法人格の消滅など最悪の事態も考えられます。
そうならないためにも、事業の整理や職場におけるムダの削減を考慮に入れつつ、適切な経営判断を下せるよう中期的な資金繰り計画を策定しましょう。
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