2022.05.27

【コラム】正しい資金調達方法とは

資金調達に種類なんてあるの?

ほとんどの場合は間接金融と言って金融機関からの借入、つまり借金によって資金調達を行うこととなる。上場企業などのように市場で株を売って資金調達を行ういわゆる直接金融で調達する事はほとんどない。

では金融機関からの借り入れを行う際に経営者が意識している事は何だろうか?恐らく多くの場合金利が何%か?保証協会付きなのかプロパーなのか、連帯保証はいるのか?担保はいるのかなどの条件面を気にされているのではないだろうか。

実は金利などの条件面よりも大事な借入の種類についてはあまり意識されていないことが多い。ほとんどの場合毎月の約定弁済がある証書貸付のみでの資金調達を行っていて会社の財務内容に応じた適正な資金調達が出来ているというケースは財務コンサルなどの専門家が入っているケースを除きほとんど見たことがない。

だが、会社を継続・存続し続けていくためには、この資金調達方法が会社の資金繰りに多大なる影響を与えるという事を知り、適正な資金調達方法とはどういう事かを理解しておくことが非常に重要になる。ここを抑えておかなければどんなに営業を頑張って売上を伸ばしても資金繰り問題で苦しみ続ける事になりかねない。

具体的な資金調達方法

では資金調達方法にはどのような種類があるのか?

  • 証書貸付
  • 手形貸付
  • 当座貸越
  • 手形割引

と大きく分けて4種類ありそれぞれ用途が違うので用途に応じて使い分ける必要がある。資金調達が必要になる場面として運転資金と設備資金があるが前回のコラムでも記載した通り運転資金は返済をしない。というのが正しい資金調達方法となる。上記の4つのうち返済をしない借入はどれか、というと手形貸付、と当座貸越がそれにあたる。

手形貸付

手形貸付とは半年や1年などの期間が決まっていて、満期日に一括返済する借入方法である。「返済するじゃねーか?」という心の声が聞こえてきそうだが、借入金である以上は最終的には当然返済をすることになる。だが、運転資金名目で使う場合には短期継続融資と言ってこの手形貸付を満期が来たら手形を書き換えて更新し、利息だけを支払い続けるという形で実質的に返済をしない前提で借入をするという事となる。

当座貸越

当座貸越は会社が一定の枠を持っていてその枠の範囲内で必要な時にその枠の範囲内で借入をすることが出来て、必要が無くなったら返済をすればいいというかなり融通が利く借入方法だ。運転資金については通常必要となる運転資金については短期継続資金で資金調達し、大きな取引が発生した場合など突発的に大きな金額の資金需要があった際に当座貸越で調達する。という形が最もバランスが取れた調達方法であると考えられる。

当座貸越の枠の範囲内であれば自由に借り入れが出来るという状態になるので、枠を設定するためには当然金融機関の審査があるため会社の決算内容などの状態が悪ければ当座貸越の枠を得る事は出来ない。これは他の借入方法にも共通することであり会社の決算内容が悪く将来性もあるかどうかわからない、という状態では適正資金調達を行うことも困難になる。

会社の財政状態を安定させ強く潰れない会社に成長するためにはこのような財務の知識を持つことはもちろんの事根本的な会社の経営状態(収益力や稼ぐ力)も良くしていかなければならない。経営者が数字に弱い会社は総じて悪い状態であることが多く、経営者が数字に強い会社は資金も潤沢でうまく行っていることが多い。特に後者は顕著で私がこれまで会ってきた本当に資金が潤沢でうまく行っている会社の経営者は例外なく全員数字に強かった。

そのような経営者の方でも話を聞いてみるとほとんどの方が1度や2度財務面でも失敗をしていてそこでの経験や気づきから数字を学び今の状態を築き上げている。本当に難しい話などは無くやるかやらないか、ただ1点そこだけの違いで20年後30年後の姿は全く違うものになることは間違いない。どちらがいいかは明白。是非理想の未来をつかみ取りに行きましょう。


【YouTubeショート動画】 
お金にまつわる情報やトリビアを発信中!
https://youtube.com/playlist?list=PLxXnJwi3Fej_IdpJXB2wvfvB_hyNjzPxR

この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。