2022.07.26
【コラム】経営者が抱える連帯保証のリスク②
実は連帯保証は外すことが出来る!
前回のコラムで会社の借金に対して経営者が全額連帯保証をするという事は世界的に見ると一般的ではないという話をしました。ですが日本ではこれが一般的となってしまっているというのが実態です。では日本でビジネスをしていく以上このままの状態を続けなければならないのか、というと実はそんなことはありません。実はこの点については国の方でも問題意識を持っており、一定の要件を満たす必要はあるものの経営者の連帯保証はなるべく外していきましょうという方向に少しずつシフトしている。
ではどのようにすれば連帯保証を外すことが出来るのか?という本題に入る前に連帯保証を付け続ける事でどれだけのリスクが生じているのか、という点について改めて確認していきます。経営者が会社の借入金の連帯保証人になっている場合何が問題になるのか?会社が倒産した場合など、会社が借金の返済を出来ない状態になってしまった場合に、連帯保証人である社長がその借金の肩代わりをしなければならない、というのが最も知られているリスクであると考えられる。
多くの経営者がそんなことは知っている、その覚悟を持って事業経営をやってるんだ、という気持ちでいる事と思われる。だがご家族はどうだろうか?家族は関係ない、俺がどうにかするんだ、そんな風に考えられているかもしれない。だが実はそうではない。天涯孤独で家族はいないという方であれば、家族の問題ないのかもしれないが、社長に万が一の事があった時その借金がどうなるのか、考えた事はあるだろうか。
多くの中小企業は社長への依存度が極めて高い、社長がいなくなっても存続していける会社はごくわずかでほとんどの場合は社長がいなくなると同時に廃業していく事になる、もしそのような事が起こってしまい会社にある金で借入金を返済できなかった場合どうなってしまうのか。その借金は連帯保証人である社長の相続人が背負っていく事になるのである。会社に関係ないと思っていた配偶者や子供がその借金の肩代わりをすることになってしまう。
借金を返済できるだけの財産を持っていればいいが、そうでなければ残された家族が自己破産をするか相続放棄をするかという2択を迫られる事になる。相続放棄を選択した場合には借金の返済義務はなくなるがその他の財産の相続も出来なくなるため社長名義の土地や自宅などあらゆるものを手放す事となってしまいいずれにしてもこれまでの生活を維持できなくなってしまう可能性が高い。
そんなことにならない為に、残された家族に大変な思いをさせない為に、仮に今は元気でバリバリ働いているとしてもいつ何時何が起こるかなんてわからないし生存保証など出来ないので保険などで最低限会社の借金を返済できるぐらいの保障は取っておく必要がある。会社を守るための保障の考え方に浮いてはまた別の機会にお伝えするとして、今回の本題である経営者による連帯保証を外すためのポイントについてお伝えします。
連帯保証を外すための3要件とは?
経営者による会社の借金の連帯保証を外していくためには下記の3つの要件を満たしていく事が求められています。
①資産の所有やお金のやり取りに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている事
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力での返済が可能である事
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている事
当たり前と言えば当たり前のことだが、社長個人と会社の金の流れが明確に区分できていないような場合には会社の金が社長個人に流れていってしまう事にも繋がってしまう可能性があり金融機関としては連帯保証を外す事は出来ない。また当然ながら法人単体での返済能力がある事も求められている。そして金融機関に対して適時適切に正しい財務情報の開示をする事、これらが求められているのである。弊社で財務を管理しているクライアントは全てシステムで銀行と繋がっており月次の決算が締まると同時に金融機関に試算表が送られる仕組みとなっているがこういった当たり前のことを当たり前にやれる体制を作ることで連帯保証を外し、より積極的な、アグレッシブな経営を行う事が出来るようになっていく事と思われる。
この連帯保証外しは新規の融資だけではなく既存の融資についても可能となっているが、金融機関側から積極的に外しませんか?という提案をしてくることはまずないため、もし挑戦してみたいという方は上記の要件を満たしたうえで金融機関に掛け合っていただければと思います。
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