2025.11.15
【コラム】資金調達の5つの方法とは|選ぶ際に役立つ特徴や目的を徹底比較
資金調達は、今後の企業の発展にも大きく影響するため、どの方法を選択するかは非常に重要です。また、資金調達には、いくつかの方法があります。
それぞれの特徴を比較しながら理解を深めれば、目的に応じて最適な調達法を選択できるでしょう。今回は、そんな資金調達を選ぶ際に役立つ特徴や目的を徹底的に比較しながら解説します。
目次
1:資金調達とは?
資金調達とは、企業が事業の維持・存続または事業拡大・成長のために必要な資本を増やすことです。「調達」という言葉から、真っ先に金融機関からの借入を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には、返済不要の資金調達の方法もあります。それぞれの特徴を踏まえたうえで、自社の目的に適した方法を選びましょう。
2:資金調達の5つの方法
代表的な資金調達の方法は、主に次の5つです。
1.アセットファイナンス
2.エクイティファイナンス
3.デッドファイナンス
4.自己資金
5.補助金・助成金
この章では、まずこれらの方法に関する概要を説明しましょう。
2-1:アセットファイナンス
アセットファイナンスは、企業が自社の保有資産を活用して資金を得る手法です。
日本語では、「資産活用型資金調達」と表現されます。ちなみに、「アセット(asset)」とは資産のことです。
自社の保有資産を活用して資金を調達するため、借入のように返済する必要がありません。このアセットファイナンスの代表的な手法は、次の4つです。
| 手法 | 内容 |
| ファクタリング | 早期に売掛金を現金化し、返済不要で資金を得る |
| 固定資産の売却 | 自社の保有する不動産・設備などを売却して現金を確保する |
| M&A(事業譲渡) | 他社に会社や事業を譲渡して資金を得る |
| 割引手形 | 運転資金に充てるため、期日前に受取手形を現金化する |
これらの手法は、いずれも自社の資産を売却・譲渡して資金を調達するため、原則として負債計上は生じません。
ただし、手形割引や売り手に償還請求権が残るリコース型ファクタリングのように、買い戻し等の義務を伴う形態の場合は、実質的に負債として扱われるケースもあります。
このうち、ファクタリングや割引手形は、売掛金や受取手形などの流動資産によって比較的早く現金化できるため、短期の資金繰りに有効です。
一方、固定資産の売却やM&Aは、事業・設備・不動産などの長期的な保有資産を対象とします。これらは、譲渡先企業の経営方針や実態を把握するデューデリジェンス手続きもあるため、売却までに時間が必要です。従って、中長期的な資金体質の改善や事業の再構築に活用するとよいでしょう。
2-2:エクイティファイナンス
エクイティファイナンスとは、出資(equity)による資金調達法です。アセットファイナンスと同様に、原則として返済の必要はありません。違いは、不動産や売掛金などの資産がなくても活用できるところにあります。
このエクイティファイナンスの代表的な手法は、主に次の3つです。
| 手法 | 内容 |
| ベンチャーキャピタル | 投資ファンドが企業の株式を取得して出資する |
| エンジェル投資 | 個人投資家が創業初期の企業に自己資金を出資する |
| 公募増資 | 上場企業が新株を公募で発行し、広く投資家から資金を集める |
いずれも返済は不要ですが、出資によって株主が増えるため、決議権の希薄化や経営関与などの可能性があります。
ベンチャーキャピタルは、投資審査や条件交渉、株主間契約が前提です。また、投資家の回収は上場・売却などで数年を要するため、自社商材が市場に浸透する段階〜成長加速期を迎えた企業に適しています。
また、エンジェル投資は決断こそ早いものの、出資は株主参加となるため、回収も製品開発から市場の受容までに数年かかるでしょう。従って、これから市場に出ていく企業に適した調達方法といえます。
公募増資は、有価証券届出書・審査・引受など上場規制の対応が必要です。調達後も資本で体質強化を図りやすいため、成熟・安定期を迎えた企業に適しています。
2-3:デッドファイナンス
デッドファイナンスは、借入による資金調達の手法です。「デッド(debt)」は借入を意味し、原則として売却資産がなくても実行できます。
このデッドファイナンスの代表的な手法は、大きく分けて次の3つです。
| 手法 | 内容 |
| 政府系機関からの融資 | ・日本政策金融公庫や信用保証協会など・公的支援制度により低金利 |
| 金融機関からの融資 | ・銀行や信用金庫など民間の金融機関・運転資金や設備資金など幅広い目的で利用 |
| 社債の発行 | ・投資家に自社の社債(会社債)を発行・返済期限と利息が定められ、企業には一定の信用力が必要 |
政府系機関からの融資は、据置・長めの返済期間が設定され、創業初期・成長期・安定期の企業まで幅広く適用できます。ただし、無担保枠には金額や条件の上限があり、制度融資は信用保証協会の保証付きが中心です。
また、金融機関からの融資は、運転資金・当座貸越・設備資金まで幅広い用途に適用できます。多くの中小企業に適していますが、創業・大口・長期の案件や返済原資となるキャッシュフローが弱い場合は、経営者保証や物的担保を求められる可能性も想定しておきましょう。
社債の発行は、募集・引受の手続きや開示を必要とし、返済期限が比較的長い中長期向けの資金調達方法です。また、一括償還・定期利払が前提となるため、一定の信用力を有する安定期〜成熟期の企業に向いています。
ただし、投資家保護の観点から、コベナンツなどの財務制限条項や担保・保証が条件となるケースもあり、注意が必要です。
2-4:自己資金
自己資金は、自社または経営者自身の保有する資金を活用する調達方法です。たとえば、内部留保や手元の現預金、事業の余剰キャッシュなどがこれに該当します。
出資や借入を受けるエクイティファイナンスやデッドファイナンスとは異なり、自己資金での調達は、返済や希薄化のリスクがありません。また、自社で完結し、迅速に意思決定できるのも特徴です。
一方で、外部資金にくらべて調達額に限度があり、手元の資金が薄くなるため、資金繰りを圧迫する可能性があります。資金繰り表で必要額に上限を設定しておくと安全です。
2-5:補助金・助成金
補助金・助成金は、公的機関から交付される返済不要の資金を活用する手法です。国や自治体では、各政策目的に沿って新事業の開発や設備投資、人材育成などに取り組む企業を支援しています。
これらの補助金や助成金は、自己資金と同様、返済義務や株式の希薄化のない点が大きなメリットです。ただし、書類提出や審査・業績報告が必要で、申請から交付までに時間を要します。
また、補助金は、原則として後払いの仕組みが多く、自己資金で事業費の一部を立て替えるケースも少なくありません。入念にスケジュールと資金繰りの見通しを立てたうえで申請しましょう。
3:資金調達の【特徴】を徹底比較!
この章では、先に述べた5つの資金調達方法の【特徴】を比較しながら説明します。
3-1:アセットファイナンス
アセットファイナンスは、ファクタリング・固定資産の売却・M&A・割引手形によって保有資産を資金化・現金化します。
手続きは比較的早く即時性があるものの、手数料・割引料はやや高めの傾向です。条件によっては買い戻し・償還などの義務も発生するため、契約時は条項をきちんと確認しましょう。
3-2:エクイティファイナンス
エクイティファイナンスは、ベンチャーキャピタル・エンジェル投資・公募増資などの投資家の出資を受けて調達し、返済の負担がないのが特徴です。ただし、株式の希薄化やガバナンス対応で条件交渉や審査が厳格になるため、実行には時間を要します。
従って、急な資金調達には向いていません。設備投資や採用計画など、自社の中長期の施策に合わせ、条件のすり合わせを早めに検討しましょう。
3-3:デッドファイナンス
デッドファイナンスは、政府機関・公的機関からの借入や社債の発行で資金を調達するため、返済義務と利息負担があります。
借入の際は、企業の信用力や担保・保証を求められる一方で用途が広く、調達設計が柔軟なのが特徴です。このデッドファイナンスは定期的な利息の支払いがあるため、資金繰りに直結します。また、借入期間が長くなると、利息が高くなる点にも注意しましょう。
3-4:自己資金
自己資金は、自社の内部留保や手元資金を活用するため使途の自由度が高く、審査を必要としません。経営者の判断で即時に実行できるうえ、手数料負担が小さいのも特徴です。
財務の健全性を保ちやすい反面、企業規模によって調達額に限界が生じます。物価高騰が続く昨今、多くの中小企業にとって、自己資金のみでの資金調達は簡単ではないでしょう。
3-5:補助金・助成金
公的機関からの補助金・助成金は、返済不要で自己負担を抑えられるのが大きな特徴です。ただし、用途によって活用できる制度が異なり、特に自治体の実施は地域も限定されます。
また、予算枠に達すると制度が打ち切りになるケースもあり、年間を通じて実施しているとも限りません。制度や募集時期の告知は公式サイトが中心となるため、公募情報の調査や事前確認が重要です。
4:資金調達の【目的】を徹底比較!
この章では、資金調達の【目的】について比較しましょう。
4-1:スタートアップ企業
スタートアップ企業の売上が安定しない初期段階は、返済負担のないエクイティファイナンスが有効です。また、出資する投資家を起業時に確保することで、プロダクトの開発や市場進出に集中でき、成長期の資金調達にもつながります。
なお、スタートアップ企業の資金調達は、エクイティファイナンスに自己資金や補助金と組み合わせれば、さらにリスクを分散できるでしょう。
4-2:事業拡大
事業拡大には、成長の度合いに合わせ、柔軟に対応できるデッドファイナンスを選択すべきでしょう。
借入による調達は、返済義務こそあるものの、資本構成を保ったまま速やかに運転資金や設備投資に活用できます。自社に信用力があれば、社債の発行や複数の金融機関と連携させ、資金調達の幅をさらに拡大できるでしょう。
4-3:事業存続
資金繰りの悪化や業績不振のなか、事業存続の目的で一時的に資金を確保したい企業には、アセットファイナンスが適切です。自社の保有資産を売却・譲渡して現金化するアセットファイナンスは、再建計画やリストラ資金の確保にも役立ちます。
ただし、信用力の低下している企業は、資産の品質や買い手の有無を含め査定や審査も厳格で、期間も長引く傾向です。売却価格のディスカウントが大きくなる可能性も、考慮したほうがよいでしょう。
4-4:企業・事業の買収
企業や事業を買収する場合は、デッドファイナンスで買収資金を確保し、対象資産を担保にするのが現実的です。買収前後の資金繰りの改善や負債の圧縮には、アセットファイナンスを併用するのもよいでしょう。
また、統合や成長投資の局面で自己資本に厚みを持たせるため、エクイティファイナンスで増資を図るのも経営戦略として一案です。新たな投資家やパートナーが見つかれば、経営支援や販路の拡大につながります。
まとめ
自社をさらに発展させるためには、特徴や目的で各資金調達法を比較しながら検討し、最適な手法を選択する必要があります。また、状況や企業の成長段階に合わせ、これらの手法を併用するのも選択肢のひとつです。
今回ご紹介した特徴や目的を参考に、自社にとって適切なタイミングで資金を調達し、資金繰りのリスクも考慮しながら、持続的な成長を目指しましょう。



