2024.03.07

【コラム】今年はどんな会社が倒産爆増するか分かってますか?借金に人手不足、物価高と企業を追い込む問題が山積みです。

2024年は、多くの業界で倒産が増加すると予想されています。コロナ融資の返済期限、物価の高騰、慢性的な人手不足、後継者不在、そして連鎖倒産という5つの主要な理由が、特定の業種での倒産増加の大きな要因となりそうです。今回は、これらの問題がどの業種にどのように影響を与えるのか、最新のデータを基にランキング形式でご紹介します。

第10位 金融保険業

倒産理由: AIの発達

金融保険業界における倒産の増加が予測されていますが、その理由はコロナ融資などの直接的な経済要因ではなく、技術進化の波にあります。特に、AI(人工知能)の発達が、この業界に大きな変革をもたらしています。金融業や保険業で現在行われている多くの業務は、AIによって代替可能となりつつあります。たとえば、保険の営業や金融機関の窓口業務などがこれに該当します。

これらの業務がAIに置き換わると、人の手で行う必要があった仕事は大幅に減少します。完全に仕事がなくなるわけではありませんが、大多数の業務が不要となり、結果として金融保険業界全体での雇用が減少することになります。既に、銀行窓口の自動化や、保険代理店の数の減少など、この動向は始まっており、金融保険業界で働く人の数は確実に減っていくことでしょう。

第9位 農業、林業、漁業

倒産理由: 後継者不足、人手不足

農業、林業、漁業、そして工業は、自然から直接資源を採取する産業です。これらの産業は、木の伐採、魚の捕獲、岩石の収集など、直接自然と向き合う仕事が特徴です。しかし、これらの産業に共通する最大の課題は、後継者不足と人手不足です。

日本の農業を例にとると、多くの場合、高齢の方が主力となっており、田舎で代々農家を営む家族も少なくありません。しかし、若い世代がこの仕事に魅力を感じず、継ぐ人がいない現状があります。農業だけでなく、林業や漁業も同様の傾向にあり、物理的にも精神的にも厳しい環境が継続されています。これらの産業の安定性を求める人にとって、不確定要素が多く、魅力的に映らないことが、新たな人材が入ってこない大きな理由の一つです。

さらに、これらの産業は天候に左右されるなど、不確定要素が多く存在します。そのため、安定を求める人々にはあまり魅力的な選択肢とはなりません。結果として、現在の従事者が活動を続けられなくなった場合、畑や田んぼが放置される状況が増えています。一部では大規模に利益を出している会社もありますが、全体としては、これらの産業の規模は確実に縮小していく傾向にあります。

第8位 不動産業

倒産理由: ゼロゼロ融資、コロナ融資後倒産、人口減少

不動産業界は、仲介、賃貸、売買など、多様なビジネスモデルを持っていますが、これらすべてのセグメントで共通する課題があります。それは、不動産取引の多くが金融機関からの借入れに依存していることです。手元のキャッシュで物件を購入する人は少なく、ほとんどの場合、借入れによって購入を行っています。

特に売買をメインに行っている会社では、不動産を購入する人がいなければ事業が成立しません。富裕層のように不動産を積極的に取引できる人々との取引が可能な場合は問題ありませんが、そうでない場合、融資に頼った物件購入が困難になり、顧客が減少しています。これにより、不動産業界全体で仕事が減少し、倒産が増える傾向にあります。

さらに、日本の人口減少に伴い、一般住宅の供給過剰が進んでいます。供給過多の状態で新たに物件が建設されても、入居者が見つからず、空き物件が増加する状況が発生しています。これにより、不動産業界全体の市場が縮小し、業界全体としての売上が減少する傾向にあります。

第7位 情報通信業

倒産理由: 人手不足

情報通信業界とは、電話会社、携帯会社、ファックスサービスを提供する会社など、多岐にわたる業種を含んでいます。この業界では、規模の大きな企業に市場が集約されつつある傾向があります。かつては、テレアポを駆使して営業を展開し、成果を上げていた中小の情報通信企業も多かったのですが、近年では人手不足の問題が顕著になりつつあります。人が集まりにくくなっている現状では、仕事を取ることが難しく、結果として経営が困難になっている企業が増えています。

消費者側にとっては、サービスが不足することなく提供されているため、直接的な不便を感じることはありません。これは、大手企業が市場を支配しており、彼らがサービス提供を継続できているためです。このような状況下では、小規模な企業が競争で生き残るのが非常に難しい業界となっています。

第6位 小売業

倒産理由: 物価の高騰

小売業界は現在、物価の高騰による影響を深刻に受けています。生活必需品から娯楽商品に至るまで、幅広い商品の価格が上昇し、かつて賑わいを見せたショッピングエリアでも、この傾向は明らかです。特に、給与が停滞している中、消費者の購買力は徐々に落ち込んでおり、以前のように気軽に買い物を楽しむことが難しくなっています。このような状況は、小売業の売上減少を引き起こし、利益率の低下を招いています。結果として、経営維持が難しくなり、多くの小売店が倒産の憂き目にあっています。

消費者の節約志向は、小売業のプロモーションや販売戦略にも変化を求めています。しかしながら、物価上昇の圧力のもとでは、価格競争による集客も限界があります。さらに、オンラインショッピングの普及により、実店舗の小売業はデジタル競争にも巻き込まれています。この複合的な問題は、小売業にとって一層の挑戦を意味しており、生き残りをかけた戦略の見直しが急務となっています。

第5位 卸売業

倒産理由: 物価の高騰

卸売業においても、物価高による影響が顕著です。この状況は、業界全体に大きな影響を与えており、特に仕入れ価格の上昇が、業界の大きな悩みの種となっています。商品の単価を仕入れ価格の上昇に応じて上げることができれば対応可能かもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。消費者の購買力が停滞しているため、価格を上げることによる需要の落ち込みが危惧されるのです。

加えて、卸売業は本質的に利幅が薄いビジネスモデルであるため、仕入れ価格のわずかな上昇でも業界にとって大きな打撃となります。物価の上昇が利益を圧迫し、経営状況を一層厳しくしています。そして、給料の停滞により、一般消費者の購買力が落ち込むと、卸売業者が取り扱う商品の需要が減少します。その結果、売上が落ち込み、倒産に至る企業が後を絶ちません。

第4位 運輸業、運送業

倒産理由: 物価の高騰、人手不足

運輸業や運送業は現在、複数の厳しい課題に直面しています。中でも、2024年問題と物価の高騰は、業界を直撃している主要な問題です。特に、原油価格の上昇は運送業にとって避けられないコスト増加の要因となり、これにより経営の圧迫が進んでいます。更に、人手不足も深刻な状況であり、自動運転技術の導入が法律的な制約で難しい現状では、運送業界は運転手の確保に苦労しています。

原油価格の高騰と給料の上昇を背景に、利益を確保することが難しくなっており、これが業界全体の倒産増加に繋がっています。顧客からの圧力もあり、運賃を容易に上げることができない状況です。大手企業が市場を支配する中、中小企業は独自の戦略を見つけ、ニッチな市場での生き残りを目指す必要があります。

第3位 製造業

倒産理由: 物価の高騰、人手不足

製造業界も物価の高騰による倒産が顕著になっています。この背景には、物価の高騰だけでなく、人手不足など複合的な要因が絡み合っています。かつての経済成長期には、「作れば売れる」という状況でしたが、現代は市場に物が溢れ、単に製品を作るだけでは売れなくなっています。

消費者の購買力も問題です。経済的な制約から、消費者は生活に必須ではない商品の購入を控える傾向にあります。このため、特に生活必需品以外を扱う製造業は厳しい状況に立たされています。さらに、100円ショップなどで高品質な商品が安価で提供される現代では、品質の高い商品を安く提供する大手企業との競争が激しくなっています。

中小製造業者は、このような環境下で生き残るために、単に低価格で製品を提供するだけではなく、品質の向上や付加価値の提供が必須となります。例えば、独自の技術開発や消費者のニーズに応えるカスタマイズサービスなど、大手にはない独自性を前面に出すことで、市場に新たな価値を提供する必要があります。

第2位 建設業

倒産理由: 物価の高騰、人手不足、後継者不足、コロナ融資、連鎖倒産

建設業界は、複数の要因が絡み合い、倒産が増加している状況にあります。特に物価の高騰、人手不足、そして後継者不足が業界全体を圧迫しています。これに加え、原油価格の上昇は、建設業のコストをさらに押し上げる主要な要因です。建設業では、多くの作業が職人に依存しており、自社で対応できない工事は外注することが多いのですが、これが連鎖倒産のリスクを高めています。

例えば、ある建設会社が外注業者に工事を依頼したものの、その外注業者が支払いを受ける前に倒産してしまうというケースです。このような事態は、外注業者だけでなく発注元の建設会社にも大きなダメージを与え、経済的な回収が困難になります。また、コロナ融資を含む融資依存の経営が、倒産のリスクをさらに高めています。

建設業の多くは小規模ながらも、数字を見ずに感覚的な経営を行っている会社が少なくありません。これらの会社は、赤字工事の受注を避けることなく、仕事を続けるためだけに赤字を抱え込むことがあります。例えば、1,000万円で受注した工事が、実際には1,300万円のコストがかかってしまい、赤字になるにも関わらず、職人を稼働させるために仕事を受けてしまうケースです。これは、経営の基本である黒字を目指す姿勢とは正反対の行動であり、長期的に見れば企業の存続を脅かす結果となります。

コロナ融資などの政策により、一時的に資金が流入した企業も、返済の現実に直面するとさらなる経営の難局に陥ります。特に、本来であれば厳しい経営状況にあるにも関わらず、融資によってその事実から目を背けている企業は、結果的に倒産のリスクを高めてしまいます。

建設業で生き残るためには、赤字工事の受注を避け、コスト管理を徹底し、経営数字に基づいた合理的な判断が求められます。また、技術革新や効率化によってコストを削減し、質の高いサービスを提供することで、競争力を保持することが重要です。建設業界においては、持続可能な経営を実現するために、経営の基本に立ち返り、常に黒字を目指すことが絶対条件となります。

第1位 サービス業

倒産理由: 人手不足

サービス業界は2023年に続き、人手不足が大きな問題となっています。特に労働集約型の業態では、人材が不足するとサービス提供が困難になります。例えば、コンビニエンスストアでは、自動レジの導入が進んでいますが、これは効率化を図る一方で、人材不足への対応策とも言えます。

サービス業の特徴として、顧客に直接価値を提供する業務が多く、人材がその価値提供の中心を担っています。コンサルティング業界を見ても、一人のコンサルタントが担当できる企業数には限りがあり、顧客が増えると新たな人材を採用する必要が出てきます。しかし、現在は優秀な人材を確保することが非常に難しくなっており、特に優秀な人材に対しては完全な売り手市場となっています。

サービス業で利益を上げるためには、提供するサービスの単価を上げる必要がありますが、能力が低い人材に高単価の仕事を任せることは難しいです。このため、業界全体として、利益を出しづらい状況にあり、規模を縮小するか、経営が困難になる企業が増えています。

加えて、固定費の増加はサービス業にとって別の大きなリスクです。例えば、レンタルオフィスや人件費などの固定費が増えると、それを賄うための収入が不足すると経営はさらに厳しくなります。サービス業は数が多いため、競争も激しく、淘汰される企業も増えていくことが予想されます。

サービス業界においては、人材不足に効果的に対応し、高い付加価値を提供できるサービスを開発することが生き残りの鍵です。また、固定費の管理を徹底し、柔軟に事業モデルを調整できる経営戦略が求められます。

まとめ

2024年、様々な業種で倒産が増加する傾向が見られますが、その背後には物価高やコロナ融資の影響など、多岐にわたる原因が存在しています。特に中小企業経営者は、自社が直面する可能性のあるリスクを正確に把握し、どのように差別化を図り、生き残りをかける努力をするかが重要です。

倒産への道を進まないためには、生産性の向上が鍵となります。

時代の変化に合わせた経営戦略の転換と、数字をしっかりと管理することが重要です。例えば、サービス業ではサービスの質を高めることで単価を上げ、利益を確保する必要があります。また、建設業では、適正なコスト計算と効率的なプロジェクト管理が不可欠です。

結局のところ、倒産を避け、持続可能な経営を実現するためには、業界の動向を正確に把握し、自社の強みを生かした戦略を立て、生産性の向上に努めることが必要です。数字に基づいた経営と積極的な改善策の実行が、中小企業が生き残るための鍵となるでしょう。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。