2023.03.15

【コラム】経営コンサルタントを切り替える時の注意点!

切り替えって必要?

経営者として、自社に合った経営コンサルタントと一緒に仕事をしたいと思うのは当然のことだと思います。

「コンサルティング会社選びを失敗したかも……」

「あんまり成果が出ていないような………」

そう感じてしまったときは、経営コンサルタントの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。 わざわざコストをかけてまで外部に課題解決を依頼するに至るまでには、それなりの背景があったはずです。コンサルタントを変えることによって経営改善までの経路が短くなる可能性がありますから、なにかしら違和感を感じた際には切り替えを検討することもやむを得ないでしょう。

切り替え検討理由

切り替えを検討されている方から実際にご相談いただいた理由を大別すると、おおむね下記の三つが多い傾向が見られます。

・信頼関係ができてない
ビジネスの場において信頼関係が大事であるというのは言うまでもないことです。「契約内容どおりに進んでいないのでは」「相手と自分の関係が、対等ではない気がする」ふと、これらの考えが頭をよぎるとしたら、良い関係は構築できていないといえるでしょう。経営コンサルタント側へ伝えたいことがあるのにためらってしまう場合や「確認したいことがあるのだが、的外れな質問だと思われてしまうのでは」と感じてしまうような場合は、信頼関係ができていないどころか不信感すら発生している、非常に良くない状況です。

・認識のすれ違い
課題解決を進めるにあたっての優先事項の認識相違は、よく起こるすれ違いのひとつです。たとえばクライアント側は「細かい課題は気にせずにまずはスピード感を持って進めたい」という考えを持っており、一方で、経営コンサルタント側は「慎重に進めていくべきだ」という考えのもとプロジェクトを進めていたとします。そんな認識違いがあるまま進めていけば、クライアント側が不満を抱いてしまうのはもっともなことです。

また、どうやらコンサルタントの中には「ノウハウ・プロセスを教えてしまうと、自分に価値がなくなってしまうのでは」と恐れ、業務プロセスをクライアント側に公開しない方が一部いらっしゃるようです。しかし、クライアントの知識・経験が豊かになれば、今度はさらに新しい課題が出てきます。会社経営を続けていくなかで、“課題がまったく無い状態”などほとんどないと言えます。経営コンサルタントとクライアント企業が一緒にノウハウを蓄えながら、次々現れる新しい課題解決に向かっていく、それは、とてもいい関係性だと思いませんか。損得勘定で仕事をしないほうが、結果的に両社Win-Winの関係を長く続けられるのです。

・クライアント側の要求が多すぎる
経営コンサルタントとは、クライアントの経営課題を明確にし、経営計画・経営改革などの計画を策定し、問題解決の支援をおこなう役目を担います。つまり多くのコンサルタントは「経営課題解決の主体はクライアント側の経営者・従業員である」と認識しています。コンサルタント側は、あくまでも専門知識や豊富な経験をもって伴走してくれる存在であり、もしクライアント側のみなさんが「自分たちは何もしなくてもなんでもやってくれるだろう」という考えをもしお持ちだとしたら、何もかも求めすぎではないでしょうか。

また、企業がコンサルタントに求める成果と支払い報酬が釣り合っていないというケースがしばしば見られます。優秀なコンサルタントは、優秀であるがゆえに期待を超えたアウトプットを出します。するとクライアントは追加でさらに高い要求をすることもあるでしょう。その際、成果に見合う高額な報酬も必要になってくるのは自然なことです。適正な報酬を支払い、適宜連携をはかり、経営改善を進めていこうという意思を感じられるクライアントのためには「成果を出すぞ」という気持ちがより強くなるものです。スピーディーに課題が解決すれば、契約期間も短くて済むので、結果的にコストパフォーマンスも良いです。

ただ、クライアント側からはコンサルタントの具体的な仕事内容が見えにくく評価しづらいことも事実だと思います。経営コンサルティングは、デスクリサーチと呼ばれるWebや文献からの情報収集に始まって、現場にも足を運び、得た情報を分析した資料をつくり、やっとクライアントに提供ができます。そこから議論をおこない、いくつもの具体的なタスクに落とし込んで、各タスクを粛々と進めていく…そしてまたレビューを受けて実施して…そんなプロセスの繰り返しです。愚直で地味な、時間と労力を要する仕事をしているのです。

切り替え前にすべきこと

上記でご紹介した理由の大半は、つまるところコミュニケーション不足が原因だと言えます。

基本的なことですが、まずはコミュニケーションの量を増やす、あるいは、質を上げてみてください。まず簡単に取り組めることとして、話し合いの時間を従来より少し増やしてみるのはいかがでしょうか。短時間で業務上必要な話だけをするのは確かに効率がいいですが、業務以外のカジュアルな話をすると心理的な距離が縮まります。そこから一気に仕事が進めやすくなることもありますよ。

それから、コンサルティングの成果とは目に見えないモノであるため、彼らの仕事のモチベーションは、クライアントからの評価や感謝のことばであることが多いようです。継続してお付き合いのあるコンサルタントに対して感謝を伝えることは、よい関係の構築につながります。

また、コンサルタントに聞きたいことや確認したいことがあれば、遠慮なく尋ねてみましょう。質問に対して的確でわかりやすい説明をしてくれるはずです。そこでちょっとした認識違いに気づき、双方で方向性の修正ができる可能性があります。コンサルティングをお願いした目的や、コンサルタントに期待したいことなどは明確にするべきです。とくに課題解決時の優先事項や方針は、しっかりとすり合わせをおこないましょう。そしてスタートしたあとでも進め方に違和感を感じた場合は、なるべく早い段階でそのことを伝えるべきです。相手側の、プロのヒアリング力に期待したいところですが、依頼している側からも積極的に情報を伝えて連携していく姿勢があると、尚いいと思います。

あらためて上記を意識しながらコミュニケーションをとってみると、そのまま継続していて問題ないか、切り替えたほうが良さそうかがはっきり浮かび上がってくるのではないでしょうか。

もうひとつ、経営課題解決に対して自社の社員のみで取り組む場合と経営コンサルタントに任せる場合で、費用と成果がどのくらいになるのかを試算することもおすすめです。外注費として決して少なくない報酬を払う以上、投資に対する効果・利益を見極めることは、経営者として重要です。試算した結果によっては、自社での内製化や他社への切り替えが必要だと気づくかもしれません。課題と依頼内容と成果を、今一度見つめ直してみましょう。

まとめ

経営コンサルタントを依頼する理由として「より良い解決策を、早く見出したい」「深い知見や経験からの俯瞰的なアドバイスがほしい」「本業が忙しい社員たちでは課題に取り組む人員が足りない」など、会社によってさまざま理由があるはずです。そして、一口にコンサルティング会社といっても各社それぞれに専門性があり、属するコンサルタントにも課題解決のスペシャリストが数多くいらっしゃいます。自社の課題にあったコンサルタントを選べばスピーディーに効果が出ることにつながり、経営課題改善の近道になるのです。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。