2023.07.21

【コロナ融資返済開始】全経営者は注意!コロナ後の経営はココに注意して下さい。

この記事では、コロナ後に倒産してしまう会社とそれを防ぐための対策について詳しく解説します。コロナ収束後には業績回復が期待されており、「コロナ前に戻れば大丈夫!」と考えている経営者の方も多いと思います。
しかし、その考え方はとても危険です。実際にはコロナ前以上の努力をしなければ生き残っていけません。
多くの会社がコロナ融資やコロナ関係の補助金を利用してきましたが、それらの資金を使い切ってしまったため売上を上げて返済しなければならない状況にあるからです。
今回はコロナ後の経営方法について、具体的な事例をもとに売上を増やすために必要な利益や顧客獲得の方法について説明します。

コロナ前より大変な理由

コロナ融資や補助金を利用した会社は多いですが、その資金を足りないお金を補うために使った会社が非常に多いです。つまり融資を受けて消費してしまったのです。
通常は銀行から融資を受けると、そのお金を使って利益を生み出して、利益の中から返済していきます。

コロナ融資は足りないお金に使い切ってしまった…
利益を生み出していない…
この場合返済が始まったらどうなるでしょうか?

返済猶予期間も終わりつつあります。利益から税金を差し引いた後に返済に充てるお金が必要であり、利益を増やすことが求められています。

ラーメン屋さんの例

ラーメン屋さんを例に使って、コロナ前の業績から倒産を回避するための具体的な手法を説明します。

売上3億円 粗利60% 固定費1億8千万円
客単価 1,000円
コロナ融資:1億円借金10年返済
必要利益: 約1,430万円
必要売上: 約2,383万円
必要人数: 約23,830人
      月1,985人
1日(25日稼働)  79人
1時間(8時間営業)10人

前提条件として、コロナ前の売上が3億円であり、粗利が1億8000万円であるとします。固定費は1億8万円です。これによると、売上と粗利がトントンであり、最終的な利益は0となります。客単価は1,000円です。

コロナ融資として1億円を借りた場合、返済には年間で1,000万円の元本返済額が必要です。コロナが終息して売上が元の3億円に戻ったらどうなるでしょうか。元に戻っても、売上と粗利はトントンなので利益は0です。
その状態で、返済に充てる利益が必要となってくるのです。

返済に充てるために必要な利益は、税金を差し引いた後に1,000万円残る必要があります。したがって、税引き前で約1,430万円の利益を出さなければなりません。

利益を増やすためには売上を増やす必要があります。売上を増やすためには、現在の売上から約2,383万円増やさなければなりません。具体的には、年間で約2万3830人の新規顧客を獲得する必要があります。1日あたり約80人の新規顧客を獲得する必要があるんです。

これをやってようやくキャッシュがプラマイゼロになるという状態です。

これが出来なかったら赤字になりキャッシュがマイナスになっていきます。つまり、出来るか出来ないかではなくやるしかありません。
会社が返済をしていくためにいくら利益を出す必要があるのか、いくら売上を上げなきゃいけないのか、この点をしっかり把握していかないと生き残ることは難しいと思います。

倒産前の対策

いくら利益が必要か把握する


生き残るためには、資金繰りのマイナスを避けるために必要な利益を把握することが重要です。多くの会社が資金繰りに不安を抱えていますが、それは数字をしっかり把握していない(先がどうなるかわからない)からです。
利益がいくら不足しているのか把握すれば、売上を増やすための対策を考えることができます。

不安を解消するためには、利益の確保が必要です。そのためには、売上を増やすための具体的なアクションを考える必要があります。多くの会社がこのポイントを理解しておらず、本当にもったいない状況です。ですので、生き残るためには利益の確保を最優先に考え、売上増加のための戦略を立てる必要があります。

収益構造の理解の重要性

収益構造の理解は、会社の成功において重要な要素です。多くの企業が収益構造を理解していない現状があります。

ここで社長に質問です。
「100円の売上が上がったら粗利はいくら残りますか?」

すぐに答えが出ましたか?これが分かっていない会社が非常に多いです。

収益構造の理解とは、売上に対してどれだけの粗利が残るのか、
また固定費(売上に関係なく発生する費用)がどれだけあるのかを把握することです。

これがわかれば粗利で固定費をまかない、それ以上出た利益は会社に残ることがわかります。自社の粗利率や固定費を把握して初めて、正しい目標を立てることが出来るんです。

PDCAサイクルの活用

粗利率や固定費、そして売上目標を把握した後にやることはPDCAを回すことです。PDCAサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の4つのステップからなる管理手法です。

PDCAサイクルを活用する際には以下の注意点があります。

  • 売上増加と経費削減: PDCAサイクルを回す際には、売上増加だけでなく、経費削減にも注力することがあると思います。ただし、将来の利益を生むために必要な経費は削減しないように注意しましょう。削るべき経費と削らない経費を明確に分けて理解する必要があります。

  • 補助金の活用: 補助金は無条件でお金がもらえるわけではありません。通常、補助金はいくらか使って、使った額の何割かが補助金として貰えるという立て付けになっています。
  • 特に事業再構築補助金は注意が必要です。この事業再構築補助金は使った額の2/3を補助金として出します。最高6000万円という枠がありましたが、この6000万円をもらうために9000万円を先に使わなくてはいけません。さらに今やってる事業に関しては使えません。そのため新規事業に使うことになりますが、新規事業はほぼ失敗するのでかなりリスクが高くなります。

コロナ後の成功事例

コロナ禍で打撃を受けた企業でも、PDCAサイクルを活用し改善を続けることで成功を収めた例があります。

あるポケットWiFiの会社は、海外旅行需要の減少により売上がゼロに近い状態になりました。このまま売上ゼロが続くと、会社は長くは持ちません。
しかし、会社は新たな事業としてPCR検査事業に参入し、結果的に利益を上げることに成功しました。
新規事業なので最初から成功したわけではありません。失敗と改善を繰り返し最終的に上手くいかせました。
この成功例からわかるように、PDCAサイクルを回し、継続的に改善を行う姿勢が重要だということがわかります。

まとめ

コロナが終われば何とかなると思って、ただ耐えているだけでは生き残れない可能性があります。自社の数字、現状を正確に把握することが重要です。
そして生き残るためには、PDCAサイクルを回して経営を改善し続けることが必要です。

会社の生存と成長は経営者次第であり、自らの責任にかかっています。突然の売上の減少に対しても、自ら改善策を見つけて行動するか、国が何とかしてくれるだろうと動かないでいるかで、会社の未来が決まると言えます。経営者は明確な行動を選び、着実に経営改善を進めるてください。

この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。