2023.04.13

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今回は、会社に残るお金を最大化していくためにどうすればいいのかを改めて話したいと思います。

会社にお金を残すためには納税をしなければなりません。これは成長段階のベンチャー企業のことではなく、いわゆる一般的な中小企業の話です。もし、お金の苦労をしたくない、資金繰りをよくしたいというのであれば絶対に納税してください。

会社の税金はどうやって計算するのか?~税金をゼロにする方法~

法人の税金は、「課税所得×税率」で決まります。課税所得、つまり税金を支払う前の利益です。これに税率をかけて計算をすると「利益×税率」、この2つの要素で決まるわけです。

税率は法律があるため、会社が自由に操作できるようなものではありません。では、税金を減らすためにはどうすればいいのでしょうか。

利益と税率のうち、税率は固定のため、利益以外で税金を減らす方法はありません。税制上の優遇制度を別として、利益を増やせば税金が増えますし、利益が減れば税金は減ります。しかし、利益を減らすことは会社にとって良いことでしょうか。

利益を減らして、どうやって会社にお金を残すのでしょう。「節税したい」「税金を払いたくない」といった理由は、会社に残るお金を増やしたいからだと思いますが、目的を見失ってはいませんか。税額を減らすことを目的にしてませんか。利益を減らしてしまうと、確実に会社に残るお金が減ります。

社長はお金持ちになりたいのでしょうか、税金を払わない人になりたいのでしょうか。
税金をゼロにしたい、そしてお金持ちになりたいというのは両立しないということです。

「会社を金が残る財務的に強い会社にするために、納税してください」と本気で言ってるわけです。実際、裏技も何もありません。無駄なことを考える時間を使うのであれば、稼ぐ方法を考えましょう。

例えば世界的な大企業は、数千億単位で税金を払っており、大企業の節税スキームは、中小企業には当てはまりません。ちょっとした節税対策だけを切り取って比較をしても、意味がありません。

それぐらいの規模になった際に、考えればいいのではないでしょうか。それであれば、自分の手元に残るお金を今できる範囲で最大化することを考える必要があるのではないかと思います。

それが、税金を払わないとお金が残らない理由、税金を必ず払ってほしいと言っている理由です。

税金を払わないとお金が残らない理由

会社の決算書である、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)があります。BSは、一定時点の財政状態を表すものです。会社が保有している資産、負債を全て載せています。

そして、PLは一定期間の経営。会社がいくら売り上げて、いくら経費を使って、いくら最終的に利益が出たのかを表しているものです。

私は、特にBSが重要だと思っているのですが、経営者の方は「PLでいくら売上が上がったのか、利益が出たのか」を重要視しています。

BSは、左と右に分かれており、左側は会社の資産、会社が今持っている資産の全てを表しています。

右側は、2つに分かれていますが、上の部分は負債。借入金であったり、買掛金であったり、会社の借金、負債です。ここに計上されている項目は、いずれ払うお金、返すお金です。

BSの右側の下は、純資産です。これがいわゆる自己資本と呼ばれる会社に残るお金です。

ここに計上されてるものは、中小企業の場合、資本金と利益余剰金になります。利益余剰金は、過去の利益の積み上げです。

BSの左側と右側、さまざまな項目がありますが、左右の金額は常に同じになる仕組みです。右側は、会社がどんな形でお金を集めてきているのかを表した調達方法、左側は集めてきたお金をどうやって運用しているかの資金使途を表していると思ってください。

一方、他人資本はいずれ出ていくお金です。会社の資産全体のうち、自己資本が何パーセントあるかを表した指標が自己資本比率です。中小企業は10パーセント以下の会社が多いかもしれません。

自己資本比率10パーセントといわれても、多分ピンとこないかもしれませんが、残り90パーセントは他人資本です。つまり、会社が1億円の資産を持っていても、9,000万円は他人のもの、他人資本比率90パーセントです。

このような状態の資金繰りでは、楽なはずがありません。しかし、そのような状態の会社が非常に多いというのが現状です。

自己資本を増やさなければ、一生資金繰りが楽になることがないわけです。「どうすれば自己資本で増えるのか?」に対する答えは、「資本金と利益」です。利益を積み上げるしかないということです。

BSとPLの繋がりは、税金を支払った後の利益。これが自己資本に入ってくるわけです。つまり、税金ゼロにしようと頑張っている会社も多いですが、税金がゼロということは利益もゼロです。

つまり、自己資本に入ってくるものもゼロになります。これではいつまで経っても自己資本は増えないでしょう。

いくら頑張って売り上げを増やしても、最終的に、お金を使って利益を消していたら、残るお金は全く増えないわけです。

なんとなく経営が回っているのは、「手持ちの資産を減らして返している」「新しい借金で古い借金を返している」のいずれかなのです。本当の意味での借金返済は、「税金を払った後に残った利益」ここの部分でしかできません。

残るお金を増やす方法

コロナ前までは、借金で借金を返済をしていた会社も多いわけですが、状況は変わってきていますから、注意が必要です。特にコロナ融資を使ってる会社は、保証協会の枠を使い切ってる会社がほとんどでしょう。

今の業績が5年間続いた際、新規の借金をせずに資金繰りがどうなるのかを、ぜひシミュレーションしてください。残念ながらほとんどの会社は、資金調達をして倒産する可能性が高いでしょう。

節税など余計なことを考えず、利益を出して積み上げて、会社に残るお金を増やす。そして、自己資本比率をアップしていけば、他人資本比率は減っていきますから、残るお金が増えていきます。

自己資本が50パーセント〜60パーセントになると、実質無借金と言えるような状態です。そうすると、「借金を返してもやっていけます」という状態になるでしょう。実質無借金の状態までいけば、財務的に安定して強い会社と言えると思います。

きちんと向き合って、利益を出して税金を払ってお金を積み上げていく、5年後、50年後どっちがいいのかはもう明白です。ぜひ、それを一緒にやりましょう。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。