2024.02.28

【コラム】コロナ融資の1兆円未回収の影響が一気にきます。中小企業は超危険なので絶対対策してください。

コロナ融資の返済が始まり、ニュースで取り上げられている回収困難の問題について、中小企業経営者の皆さんも耳を傾けていることでしょう。事実、約1兆円が回収困難と言われています。この巨額の貸し倒れは、コロナ融資が開始された時点で、一部は回収不可能であることが予見されていました。主に返済能力がないにも関わらず、多くの企業に資金が貸し出された結果です。

今後、国はこの問題に対処するためにさまざまな措置を講じることが予想されます。これらの措置は、中小企業にも大きな影響を与える可能性があります。

中小企業は政治的な影響力も弱く、このような状況の影響を大きく受けやすいのです。今回は、コロナ融資の返済問題がどのように中小企業に影響を及ぼすのか、そして中小企業経営者がどのように対応すべきかについて解説していきます。

約1兆円が回収困難

約20兆円貸出

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業が経済的な困難に直面しました。政府はこれに対応するため、総額約20兆円の融資を提供し、事業の継続を支援しました。しかし残念ながら、そのうち約1兆円(5%程度)が回収困難となっていることが報告されています。

この回収困難な融資の内訳を詳しく見てみると、既に倒産などにより回収不可能となった金額が約1,943億円、今後回収が困難と見込まれるリスク管理債権が約8,785億円となっており、合計で約1兆円の融資が回収の見込みが薄いという状況です。

特に注目すべき点は、リスク管理債権の額が圧倒的に多いことです。これは、今後倒産が見込まれる企業が多く、回収不可能な融資が増える可能性が高いことを示唆しています。実際に、2023年に入ってからは倒産件数が大幅に増加しており、この傾向は今後も続くと予測されています。

今後の国の動きに注目する

増税

国はこの巨額の損失をどう補填するのでしょうか。まず、増税の可能性が高まっています。専門家の間では、特に消費税の増税が検討されることが予想されています。消費税は国の財政を安定させる重要な手段の一つであり、増税は避けられない選択とされています。しかし、これは国民にとっては直接的な負担増となり、消費の冷え込みを招く可能性もあります。

融資の引き締め

また、融資の基準が厳格化されることも予想されます。これまで比較的容易だった融資の受け入れが、今後はより厳しい条件で行われることが予想されます。これは資金繰りに苦しむ中小企業にとっては大きな打撃です。資金調達が難しくなることで、事業の持続性に影響を及ぼす可能性があります。企業はこの新しい融資環境にどのように対応していくべきか、戦略の見直しが求められます。

金融機関による中小企業の買収

金融機関による中小企業の買収が増加することも予測されています。経済状況の悪化により経営が厳しくなった企業を支援する形での買収は、一見するとポジティブな救済措置に見えますが、企業の自立性が損なわれるリスクも伴います。この動きは、中小企業が直面する経営環境の変化を象徴しており、将来的には企業文化や業界の構造そのものに影響を及ぼす可能性があります。

回収困難な約1兆円が中小企業に与える影響

消費税増税

中小企業経営者の皆さまにとって、今後どのような影響が及ぶかは大きな関心事でしょう。特に、コロナ融資の回収困難による影響として、増税の可能性が浮上しています。その中で最も考えられるのが消費税の増税です。多くの方が法人税の増税を想定するかもしれませんが、実際には法人税の増税はそう簡単には行われないと考えられています。理由としては、大企業が集まる経団連が政治献金を通じて法人税の増税に反対し、消費税の増税を支持しているからです。

この背景には、自民党が政治献金を受けている以上、法人税を増税することが難しいという実情があります。結果として、消費税の増税が現実的な選択肢として前に出てきています。
消費税は事実上、企業が負担する税金として位置づけられており、その増税は中小企業にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。なぜなら、法人税は中小企業の多くが赤字のため、実際には支払っていないケースが多いのです。しかし、消費税はすべての企業が負担するため、その増税は中小企業にとって直接的な打撃となります。

さらに、大企業にとっては、消費税の増税が輸出還付金を通じて逆に利益をもたらすこともあるため、経団連は消費税の増税を支持しています。これにより、中小企業は増税による影響を直接受ける一方で、大企業は影響を受けにくい、あるいは恩恵を受ける可能性があります。

岸田総理は現在、消費税の増税を検討していないと述べていますが、状況によっては増税が現実のものとなる可能性もあります。中小企業経営者としては、このような政策の動向に注意を払い、準備をしておくことが重要です。

融資の厳格化

コロナ融資の回収に関する困難に直面している中、中小企業が抱えるもう一つの重要な問題は、融資の厳格化です。政府や金融機関は、コロナ禍における緊急融資措置の終了に伴い、融資基準を引き締めています。この変化は、中小企業経営者にとって、資金調達の更なる難題を意味します。

具体的には、金融機関は今後、事業の将来性や事業性を重視した融資判断を強化していく方針です。過去の決算書や実績だけではなく、企業がどのように将来性を持って成長していくのか、その計画性を評価するようになります。つまり、経営計画書や将来の事業計画を具体的に示し、それに基づいた資金需要を証明できる企業にのみ、融資が行われるようになるのです。

この厳格化は、短期的には中小企業にとって負担となるかもしれませんが、長期的には企業経営の健全性を促し、より計画的な資金管理を促すものと考えられます。経営計画書の作成は、一見煩わしい作業に思えるかもしれませんが、企業の将来像を明確にすることで、資金調達のみならず、事業自体の成功にも繋がります。

中小企業経営者の皆様には、この融資の厳格化をチャンスと捉え、経営計画の策定により一層の努力を払うことをお勧めします。経営計画書の作成は決して楽な作業ではありませんが、それを通じて自社の強みを再確認し、将来戦略を練る良い機会となり得ます。資金調達の面だけでなく、企業経営全般にわたる視野を広げることができるはずです。

景気の悪化

景気の悪化というのは、実質的には日本経済にとって長期にわたる課題です。過去30年間、日本は景気の低迷に苦しんできました。多くの場合、政策の誤りが指摘されており、特に増税は経済にさらなる負担を加えることになります。

消費税が増税されると、物価の上昇につながり、結果として消費が抑制されます。現在、多くの日本人の給与は停滞しており、場合によっては減少している状況です。消費税が増税されれば、消費者は以前と同じ額でより少ない商品を購入することになり、消費の減少に直結します。これは過去の消費税増税の際にも見られたパターンであり、消費減少の明確な結果が出ています。

消費が減少すると、企業の売上も下がり、利益が減少します。企業が利益を減らすと、従業員への給与の増加は難しくなり、場合によっては給与の削減を余儀なくされるかもしれません。これにより、さらに消費が落ち込むという負のスパイラルに陥ります。このような状況は、日本経済全体の悪化を引き起こし、中小企業だけでなく大企業にも影響を与えます。

このような状況は、コロナ融資の回収困難な約1兆円が中小企業に与える悪影響の一端を表しています。経営者としては、このような経済の動向に注意を払いながら、企業の存続と成長のための戦略を考えることが重要です。景気が悪いからと諦めるのではなく、どんな状況でも収益を上げるための方法を模索し、実践することが求められます。

中小企業経営者がするべき対策

新型コロナウイルスによる経済危機は、国や企業に多大な影響を与えました。特に、約1兆円の貸し倒れは、今後の経済政策や中小企業の経営に大きな課題を投げかけています。

中小企業経営に与える影響とその対策について、私たちは深刻に考えなければなりません。この巨額の融資が経営にどのような悪影響をもたらすかを理解し、賢明に対処することが今後の経営戦略において重要です。

まず、国の今後の動向に注意を払いながら、景気の悪化や資金繰りの問題に直面しても、決して諦めることなく前進する必要があります。経営者一人ひとりが、「自分の会社は稼ぐ」という強い意志を持ち、全力で事業を推進することで、日本経済全体の向上にも寄与できるでしょう。「景気が悪いから仕方がない」という消極的な姿勢ではなく、どんな状況でも利益を出し続ける企業の側に立つことが、経営者としての重要な使命です。

コロナ融資を利用している企業は非常に多く、返済が始まると資金繰りに窮する企業が増えています。このような状況では、倒産する企業も出てくることが予想されますが、ここで大切なのは、どうにかして返済を続け、さらに企業を成長させるための戦略を練ることです。国からの支援を期待するだけでなく、自力で経営を立て直し、黒字化を目指すことが求められます。

返済の義務がある以上、文句を言っても状況は変わりません。借りたお金は返さなければならないという現実を受け入れ、どうすれば返済をしつつも会社に利益を残すことができるか、この視点で経営戦略を考え直す必要があります。覚悟を決め、どんな状況でも生き残る強い会社に成長するためには、経営者の決断と行動が不可欠です。

経営者としての覚悟と、前に進むための行動力が求められます。やるべきことに対して積極的に取り組み、常に前向きな姿勢を保つことで、どんな困難な状況でも乗り越えていけることでしょう。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。