2024.03.21

【コラム】これからは〇〇倒産が爆増します。物価高より、人手不足より多くやってくる倒産を知って対策してください。

2023年は倒産件数が驚くほど多く、多くの経営者がこの厳しい状況に直面しました。そんな中で、2024年における倒産件数の動向が大きな関心事となっています。残念ながら、2024年も引き続き厳しい状況が続くと予想されます。

これらの倒産の要因や傾向を理解することは、中小企業経営者にとって非常に重要です。今日は、これらの倒産を引き起こす原因に焦点を当て、2024年にどのような倒産が増える可能性があるのか、そしてそれらの危険を避けるために私たちがどのような対策を講じるべきかについて詳しく話していきたいと思います。
どうぞ最後までご覧になり、倒産の危機から事業を守り、安定した経営を続けるためのヒントとしてください。

2023年の倒産件数と倒産原因

2023年、倒産件数は前年比35%増の869件に上りました。2024年もこの傾向が続き、さらに倒産件数が増える可能性が高いとされています。
まずは、2023年にどのような倒産が多かったのかを見ていきましょう。

人手不足による倒産

日本全国で、特に中小企業を中心に人手不足が経営の大きな障害となっています。例えば、ある老舗の料理店は、長年培ってきた伝統的な技術を継承する職人を見つけることができず、結果として閉店に追い込まれました。
この店のように、技術継承の難しさから仕事を続けることができない企業は少なくありません。人材不足は、単に数の問題だけでなく、技術や知識の継承、そして文化の保持という点でも大きな影響を及ぼしています。

物価高による倒産

原材料の高騰は、多くの製造業や飲食業を直撃しています。パン屋では小麦粉やバターなどの価格が上昇し、それを製品価格に転嫁することが難しくなりました。顧客には価格を維持するために努力してきましたが、最終的には利益が圧迫され、経営維持が困難になるケースが後を絶ちません。このように、物価高は企業の利益を直接的に侵食し、経営の持続可能性に大きな影響を及ぼしています。

後継者不足による倒産

日本のある地方都市では、50年以上にわたり地域社会に貢献してきた建設会社が、後継者不足のために事業を閉じざるを得ない状況になりました。創業者は技術と情熱をもって会社を大きくしましたが、後継ぎを見つけることができず、多くの従業員と共にその歴史に幕を下ろすことになりました。後継者不足は、企業のみならず地域社会にも大きな損失をもたらし、経済全体の活力を低下させる一因となっています。

ゼロゼロ融資依存の倒産

新型コロナウイルスの流行により、多くの企業が経済的な打撃を受けました。政府の支援策として行われたゼロゼロ融資は、一時的な経済的な支えとなりましたが、それに依存した経営を続けてきた企業が多く見られます。特に、観光業界では、国内外からの旅行者が激減し、ゼロゼロ融資による資金で何とかしのいできたものの、持続可能な経営戦略を構築できずに倒産に至った事例があります。

連鎖倒産

取引先の倒産により、自社も資金繰りに影響が出て倒産するケースです。取引先の一つが倒産したことで予定していた売上が大幅に減少し、自社の材料費や人件費、さらには銀行への返済など、基本的な経営コストの支払いが困難になります。
特定の取引先からの入金を当てにしていると、その計画が崩れると直ちに資金繰りに問題が生じるという脆弱な経営構造になります。

2024年 倒産件数が爆増する原因とは

次に、2024年は何倒産が爆増するのか、ランキング形式で見ていきます。

第5位:連鎖倒産

連鎖倒産は、他の多くの倒産要因が引き金となって起こります。特に、一企業が倒産することで、その取引先もまた倒産に追い込まれるという現象です。このタイプの倒産は、一つの企業だけでなく、業界全体や経済全体に影響を与える可能性があります。

例えば、過去には大手運送会社の倒産が、その取引先の連鎖倒産を引き起こした事例があります。このように、売上の大部分を特定の取引先に依存している企業は、その取引先が倒産した場合、大きな打撃を受けるリスクがあります。そのため、依存度を下げること、つまり取引先を多様化することが、連鎖倒産を避けるための鍵となります。

第4位:後継者不足倒産

後継者不足による倒産は、特に中小企業において深刻な問題です。経営者の高齢化が進む中で、後継者を見つけられずに事業を継続できなくなる企業が増加しています。

事業承継の計画の難しさは、企業の存続だけでなく、地域経済にも大きな影響を及ぼすため、解決策を模索する必要があります。

第3位:人手不足倒産

給料を上げても応募が来ないという状況は、多くの業種で共通の悩みとなっており、給料の増加だけが解決策ではないことが明らかになっています。

2024年問題も関係しており、建設業界の事例を見ると、労働時間の制限や休日の増加が、仕事の量と質の両方に影響を及ぼしています。営業担当者からは、土曜日の稼働が当たり前であった業界が、労働規制の厳格化によって人が集まらず、結果としてプロジェクトが遅れ、利益が減少しているとの声が聞かれます。人を確保できない状況では、どんなに需要があっても、それを満たすことができないというジレンマに直面しています。

このような背景から、企業は人手不足に対する多角的な戦略を考える必要があります。条件面の改善、福利厚生の充実、時給の上昇だけでなく、自動化や効率化の推進、働き方の多様性の導入などが求められます。また、高い給料を支払っても、高付加価値を提供するビジネスモデルを構築し、利益を出せる体制を作ることが重要です。

第2位:物価高倒産

物価高が引き続き企業経営に暗い影を落としています。全般的な物価の上昇は、企業のコスト構造に大きな負担をもたらしており、特に価格転嫁が難しい中小企業では、その影響が致命的です。商品やサービスの価格を適切に上げることができない企業は、利益率の低下を避けられず、経営の持続が困難になっています。生活必需品から趣味の品まで、あらゆるものの価格が上昇する中で、企業は売上とコストのバランスを取ることに苦心しています。

インフレーション下で、売上をコスト増加以上に伸ばし、利益を維持、あるいは拡大させることは、経営者にとって最大のチャレンジとなっています。この状況に対応できない企業は、避けられない運命として淘汰されることになります。

第1位:ゼロゼロ融資後の倒産

ゼロゼロ融資後の倒産が2024年の最も大きな倒産原因となるでしょう。コロナ禍で国が主導する形でゾンビ企業が量産された結果、これらの企業は返済の現実に直面しています。融資を受けながらも本質的な経営改善を行わず、無駄遣いに終始した企業が多く、これらは今や倒産の危機に瀕しています。金融機関もこれ以上の救済は望めず、実質的な経営改善を行わない企業に対しては、市場からの退場が促されています。

このような状況下で、企業は融資依存から脱却し、実利益を生み出す経営にシフトすることが求められています。返済負担の重さに直面しても、経営者は現実を受け止め、具体的な改善策を実行に移さなければなりません。結局、企業の生死を分けるのは、経営者の決断と行動力です。

倒産防止策

2024年に企業が生き残りをかけて取り組むべき防止策は、根本的かつ本質的な対応が求められます。企業経営においては、正確な自社の財務状況の把握から始めることが不可欠です。資金繰りの予定表を作成し、将来の資金の動きを予測することで、いつ、どのくらいの資金が不足するのかを明確に把握することが重要です。例えば、6月に100万円の資金が不足することが予測された場合、その不足を防ぐためにはどのような対策を講じるべきかを考える必要があります。

このように、経営者は自社の現状を正確に理解し、必要な売上、利益、キャッシュフローを確保するための計画を立てることが、倒産を避けるための最前線に立つ戦略です。必要な数値を明確にした上で、それを達成するための具体的な行動計画を実行に移すことが、企業の存続と発展のためには不可欠です。

このプロセスを通じて、目標を達成できれば、企業は倒産の危機を乗り越え、さらには成長への道を切り開くことができます。経営者にとっては、数字を把握し、現実を直視し、必要な対策を講じることが、生き残りをかけた戦いの中で最も基本的でありながらも最も重要なタスクとなります。結局のところ、倒産を避け、持続可能な成長を達成するためには、企業の本質的な価値を高め、効率的な経営を行うことが最も重要です。

まとめ

2024年に多くの企業が直面するであろう倒産の危機とその防止策について深堀りしてきました。一般的に、倒産というのは単一の原因ではなく、複合的な要因が絡み合って発生します。しかし、多くのケースで共通しているのは、「資金不足」です。儲かっている企業、つまり潤沢な資金を持っている企業は基本的に倒産しません。つまり、稼げていないことが倒産の最も大きな理由となっています。

稼げていない状況を打破するためには、必要な利益をしっかりと出していく戦略が求められます。たとえ後継者がいないとしても、企業が十分な収益を上げていれば、M&Aを含めたさまざまな存続手段が見出せるはずです。利益が出ている企業には、外部からの関心も高まります。逆に、収益が上がっていない企業は誰も引き継ぎたがらない、というのが現実です。

このことから、企業が生き残るためには、稼ぎ続けることが絶対的に必要です。企業経営においては、「数字は嘘をつかない」ということを念頭に置き、現実を直視し、必要な売上と利益を確保することが肝要です。自社の財務状況を正確に把握し、どれだけの売上・利益が必要なのかを見極め、それを達成するための具体的なアクションプランを立てることが、倒産を避けるための最も確実な戦略と言えるでしょう。

最終的に、企業の未来は経営者の決断と行動にかかっています。経営者自らが前線に立ち、数字に基づいた戦略的なアプローチを実行に移していくこと。それが、企業を倒産の危機から救い、さらなる成長へと導く道です。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。