2026.02.15
【コラム】プロパー融資の5つのポイント|概要やメリット・デメリットも解説
企業の資金調達では、プロパー融資と信用保証付き融資のどちらかを検討する必要があります。金利や審査など制度の概要の違いを正しく理解したほうが、手続きもスムーズです。
そこで今回は、そんなプロパー融資の制度概要に加え、信用保証付き融資との違いや活用のポイント、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
1:プロパー融資とは
プロパー融資とは、企業が都市銀行や地方銀行・信用金庫・信用組合から直接融資を受ける資金調達法です。英語の「proper(適切な・本来の)」から、「銀行から正規に受ける融資」を意味します。
一般的に、既に取引のある金融機関やメインバンクから融資を受けるケースが多く、審査に通過した場合は、金融機関から「保証がなくても返済できる」と判断されたと思ってよいでしょう。
プロパー融資を受けやすい企業の共通点は、資金繰りや営業キャッシュフローが安定していて自己資本比率も一定の水準を維持でき、複数期にわたって黒字を出していることです。信用保証協会付き融資の返済実績があれば、金融機関の評価はさらに高まるでしょう。
1-1:金利相場
プロパー融資の金利相場は一律ではなく、各企業の財務内容・取引実績・返済能力に応じて個別に設定されます。金融機関の判断にもよりますが、金利は概ね年1.0〜3.0%程度です。
ただし、業績が不安定な企業は、高めの金利が設定されるケースもあります。また、信用力の低い企業は、一般的に低いとされる保証付き融資の金利より条件が悪くなる可能性もあるため、注意が必要です。
2:信用保証協会の融資との違い
この章では、プロパー融資と信用保証協会の融資の違いについて、5つの観点から説明します。
2-1:仕組み
プロパー融資の特徴的な仕組みは、金融機関が直接リスクを負うことです。一方、信用保証協会付き融資は、協会が保証人となる制度型融資で、意思決定の構造が異なります。
プロパー融資が単独審査で、各金融機関の独自の判断基準があるのに対し、信用保証協会付き融資の審査は、銀行の審査後に協会が最終的に決定するため、手続きに時間がかかる傾向です。
企業評価や担当者の見立てが審査に反映されやすいため、プロパー融資を検討する際は、メインバンクや返済実績のある金融機関を選ぶとよいでしょう。
2-2:対象
プロパー融資の対象は、信用力・返済能力の高い企業です。従って、創業期や赤字続きの企業が融資を受けるのは簡単ではありません。
一方、信用保証協会付き融資の場合は、幅広い中小企業が対象となります。創業3年未満の企業や売上の低迷している企業が、比較的審査に通りやすいのも特徴です。
2-3:審査
プロパー融資の審査は、各金融機関が単独でおこないますが、財務上の定量評価と事業内容や経営者の定性評価が重視される点は、信用保証協会付き融資と共通しています。
具体的には、決算書の内容や借入の理由に説得力があるか、経営者の感覚的な判断ではなく、具体的な数値による根拠があるかどうかなどです。
プロパー融資の審査にあたって、企業は決算書・資金繰り表・事業計画書などを提出する必要があります。市場調査や将来的な見通しも考慮し、金融機関が納得できるよう入念に準備しましょう。
2-4:限度額
プロパー融資には、制度上の上限枠が設定されていないため、事業規模や返済能力が高ければ、柔軟に応じてもらえる可能性があります。
たとえば、大幅な設備投資や店舗・事業所の拡大などで多額の資金が必要な場合も、事業計画書の内容に説得力があれば、多額の融資を期待できるでしょう。
一方、信用保証協会付き融資の限度額は、5千万円です。起業間もない企業が大幅に事業を拡大する場合は、信用保証協会の限度額まで融資を受け、返済実績を作ってから申請するとよいでしょう。
2-5:金利
プロパー融資の金利は、信用力の度合いによって各企業で個別に設定されます。一般的な目安は、年1.0〜3.0%程度です。ただし、金融機関との関係性によって幅があり、融資を受ける金融機関の裁量に一任されます。
信用保証協会付き融資の金利もプロパー融資と同程度ですが、別途0.2〜2.2%程度の保証料が必要です。この保証料率の相場も、条件によって上下します。自社の実績や経営状況から、プロパー融資を受けるタイミングとして適切かどうかの判断が重要です。
3:プロパー融資のメリット
この章では、プロパー融資を受ける5つのメリットについて説明します。
3-1:低金利で受けられる可能性
1つ目のメリットは、低金利で受けられることです。プロパー融資では、金融機関が直接、金利などの条件を決定するため、財務内容や業績が良好であるほど低金利になる可能性が高くなります。
取引の実績が出てくれば、さらに低い金利の設定につながるでしょう。資金繰りや売上の安定などに取り組み、その成果として金利を抑制できれば、金融機関からの信用だけでなく、自社の資金繰りの改善や利益の確保も期待できます。
3-2:融資額に限度がない
融資額に限度がないのも、メリットのひとつです。設備投資・新規出店・M&A資金など、一時的にまとまった資金が必要な場面でも融資の限度枠に左右されません。
ただし、事業計画書の内容の充実度が、審査に大きく影響します。特に、金額が大きい場合は、融資担当者の共感を得られるよう綿密な計画を立案しましょう。
3-3:審査期間が短い
審査期間が短い点も、メリットといえます。というのは、金融機関内の完結型審査で、手続き工程が少ないからです。実際、プロパー融資の審査期間は約2〜3週間程度ですが、信用保証協会付き融資の場合は、およそ1ヶ月以上の時間がかかります。
早く融資を受けようとして事前準備が不足していれば、「具体的な数値の根拠が乏しい」「事業計画書の内容がずさん」などの理由で審査が長期化するため、注意しましょう。
3-4:保証料がかからない
保証料がかからないのも、プロパー融資のメリットのひとつです。借入期間が長いほど、信用保証協会付き融資とのコストの差も大きくなります。ちなみに、信用保証料の計算式は次の通りです。
「借入金額 × 保証料率 × 保証期間(月数)/12 × 分割係数」
たとえば、5千万円の借入を5年間で均等分割返済する場合は、分割係数に「0.55」が適用されます。保証料率が年1.15%の企業の場合、保証料は約158万円です。
この保証料は、各企業の業績や借入年数・金額によって変動します。日頃から、資金繰りやキャッシュフローの安定に努めましょう。
3-5:信用力が高まる
プロパー融資を受けると、信用力が高まります。金融機関の直接評価による実績を積めば、追加融資や金利の引き下げも期待できるでしょう。
また、既存借入の返済実績が金融機関に評価された場合は、金融機関内での自社の格付けや取引ランクの引き上げなど、借入枠の増額や融資条件の見直しにつながることもあります。資金繰りの安定で返済実績をつくり、金融機関との信頼関係を強化していきましょう。
4:プロパー融資のデメリット
この章では、プロパー融資の2つのデメリットについて詳しく説明します。
4-1:審査に通りにくい
プロパー融資には、審査に通りにくい傾向があります。理由は、融資を受ける際に金融機関が貸し倒れのリスクをすべて背負うことになるからです。
実際、創業間もないスタートアップ企業や赤字続きの企業が、希望どおりの条件でプロパー融資の審査を通過するのは簡単ではありません。
このような場合は、信用保証協会付き融資で段階的に実績をつくったうえで、プロパー融資への切り替えを検討するという流れが、現実的な選択肢になるでしょう。
4-2:返済期間の設定が短い
返済期間の設定が短いのも、プロパー融資のデメリットのひとつです。一般的なプロパー融資の返済期間の目安は1〜3年程度ですが、状況次第で3〜5年程度になるケースも多いといわれています。
返済期間が3〜10年程度の信用保証協会付き融資と比較すると、かなり短い傾向です。返済期間が短ければ、毎月の返済額も大きくなります。資金繰りやキャッシュフローに影響を及ぼすケースもあるでしょう。
融資を受ける際は、返済期間だけでなく、金利や毎月の返済額なども勘案したうえで最終的に判断することが重要です。
5:プロパー融資を受ける際の5つのポイント
この章では、プロパー融資を受ける際の5つのポイントについて解説します。
5-1:売上と利益の向上を図る
まず、売上と利益の向上を図りましょう。プロパー融資で金融機関が最重視するのは、融資した資金を確実に回収できるかどうかです。
一時的に黒字でも評価されにくいため、売上の拡大だけでは十分とはいえません。原価管理や経費削減など、利益体質の改善にも取り組み、継続的に黒字を維持できる体制を整えましょう。
5-2:決算書・事業計画書の内容を改善する
決算書・事業計画書の内容を改善するのも、大事なポイントです。金融機関は、決算書や事業計画書の内容をもとに企業の実態を審査します。記載された数値に整合性がなく、理解しづらい資料では、十分な評価を得られません。
過去の実績を正確に記載するだけでなく、今後の経営の見通しや売上が伸びていく根拠を示す必要があります。希望的観測に満ちた売上計画にならないよう注意し、融資の成果が伝わるような説得力ある資料に仕上げましょう。
5-3:資金繰り予定表を作成する
精度の高い資金繰り予定表を作成しましょう。キャッシュフローの予定を可視化することで資金の流れを事前に把握でき、経営戦略の分析や改善にも役立ちます。
また、資金繰りの管理を容易にするため、口座を一本化するのも一案です。メインバンクやプロパー融資を受ける金融機関の口座に売上入金を集約すれば、金融機関もキャッシュフローを把握しやすいでしょう。
5-4:保証付き融資で返済実績を作る
信用保証協会付き融資を活用し、返済実績を作っておくのも一案です。起業して実績のない企業や、経営状態や売上状況が安定していない企業が、いきなりプロパー融資を目指しても審査に通過しない可能性があります。
毎月、信用保証協会付き融資の返済を期日どおりに継続すれば、「約束を守る企業」として金融機関にアピールできるでしょう。
5-5:融資に強い専門家に相談する
融資に強い専門家に相談するのもポイントです。相談内容にもよりますが、資金調達の専門家には、税理士や中小企業診断士、弁護士などが考えられます。
第三者の視点から全体を俯瞰した専門的な意見を取り入れることで、資料の完成度も高まるでしょう。資金繰りが安定せず、売上で伸び悩んでいる企業は、資金調達の前に経営改善や経営戦略の策定を相談するのも有効です。
プロパー融資を視野に入れた専門家のアドバイスを受けながら、自社の実態に適した進め方を整理してみましょう。
6:まとめ
プロパー融資は、借入額に上限がないぶん、金融機関の審査も厳しくなります。企業の経営状況によっては、信用保証協会付き融資で実績を積み上げてからのほうが、審査の通過率も高まるでしょう。
今回紹介した5つのポイントも参考にしながら、メリット・デメリットを踏まえ、プロパー融資と信用保証協会付き融資のどちらが自社に適切なのかを検討しましょう。



