2023.06.22

【個人事業主必見】むしろ税金が増える!節税目的の法人化が100%失敗する理由とは?

今回は会社を二つ作るとお得なのかどうかについて解説します。
会社は二つあった方が交際費などの枠も増えるしリスクも分散できるし得なんじゃないかと言われていますね。

私の考えを先に言うと、作る必要はありません。
連続起業家などの例外を除いてではありますが、一般的な中小企業の経営をされていく方にとって必要ないと思います。
なぜなら、二社作ることで逆に税金が上がってしまったり、維持管理のコストが多くかかるというデメリットがあるからです。

ですがメリットがあることも事実です。

その為、今回は会社を二つ作ることのメリット・デメリットを解説します。このコラムを見ていただいて自分だったらどっちにした方がいいかを判断していただけたらと思います。

1. 二つの会社を設立する前に理解すべきこと

会社設立の判断基準とその必要性

二つの会社を設立するかどうかは、個々の事情によります。一つの会社で事業を全て行うのではなく、事業を分けてそれぞれの会社で運営することにはメリットもあります。しかしその一方で、二つの会社を設立し、それぞれを管理することは、手間もコストも増えます。経営者としては、これらの要素を評価し、自身の事情に合わせて適切な選択をする必要があります。

会社の種類とその特性

会社といっても、その形態はさまざまです。子会社とは、親会社が株の50%以上を保有している会社のことを指します。一方、関連会社とは、基本的に株を20%以上持っている会社のことをいいます。そして、グループ会社とは、親会社、子会社、関連会社を一体とした全ての会社を指します。これらの会社の種類とそれぞれの特性を理解することは、二つの会社を設立するメリットとデメリットを判断する上で重要です。

2. 二つの会社設立のメリット

メリット1:法人税事業税の軽減税率

中小企業の法人税は、所得金額によって税率が変動します。利益が800万円までの部分では税率が低く、二つの会社があると、この低税率が適用される枠が2社分となり、トータルで1600万円まで低い税率が適用される可能性があります。

メリット2:消費税の軽減

売上金額により消費税の計算方法が変わります。特に、2年前の売上が5000万円以下の場合、簡易課税が適用され、納税額が減ることがあります。2つの会社を設立すると、この簡易課税の適用枠も2社分となります。その結果、消費税の負担が軽減される可能性があります。

メリット3:交際費などの枠が増える

交際費や接待費は、税法上一定の制限がありますが、2つの会社がある場合、それぞれの会社で接待費の上限が設定されるため、合計でみると多くの接待費を経費として計上できます。

メリット4:リスクの分散

会社を二つ設立すると、経営リスクが分散します。一つの会社が苦境に立たされても、もう一つの会社が安定していれば、全体の安定に寄与します。

メリット5:事業の売却の容易性

会社の売却は、一つの事業だけを売却するのが容易です。2つの会社がある場合、売却したい事業だけを含む会社を売却すれば、その他の事業は影響を受けません。

3. メリットに対する注意点

税務調査に関するリスクと対策

上記のメリットを享受する一方で、税務調査のリスクも無視できません。税制上の恩恵を受けるために2つの会社を設立した場合、税務当局からの調査を受けやすくなる可能性があります。適切な税務処理と、必要な文書の適切な保存が重要です。

4. 二つの会社設立のデメリット

維持管理コストの増加

二つの会社を設立すると、それぞれの会社の維持管理にかかるコストが増えます。税務申告、各種手続き、決算書の作成など、運営する上での手間も二倍になります。

税金や登記費用等の増加

さらに、二つの会社設立には登記費用や刻印代などの初期費用が発生します。また、それぞれの会社で必要となる税金も増えます。

5. 二つの会社設立に関する総合的な判断

二つの会社運営の利益とコストのバランス

以上の点を踏まえ、二つの会社設立のメリットとデメリットを総合的に考え、それぞれのコストと利益のバランスを評価することが大切です。利益がコストを上回る場合、または戦略的な利点がある場合、2つの会社設立は有効な選択と言えるでしょう。

経営者にとって最適な運営方法の探求

結局のところ、適切な運営方法は事業主の個々の事情や目標による部分が大きいです。一律に2つの会社設立が全ての経営者にとって最適とは限りません。自身の事業を見つめ直し、現状と将来を考慮に入れた上で、適切な経営形態を選択することが必要です。

6. 結論:二つの会社設立が適切かどうかの再評価

二つの会社設立の必要性の再評価

結局、二つの会社設立が必要かどうかは、経営者自身が決めるべき事項です。経済環境や事業の性質、経営者の経営理念などを踏まえて、再度評価を行うことが大切です。

中小企業経営者にとっての最良の戦略

今日のビジネス環境では、多様な経営戦略が必要とされています。二つの会社設立は、その一つの手段です。それが中小企業経営者にとって最良の戦略となるかは、具体的な事業内容、状況、目指す方向性によるところが大きいです。最適な戦略を模索することで、企業の持続的な成長を目指しましょう。

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この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。