2023.07.01

【警告】その役員報酬額、大損してます!知らなきゃ損するベストな設定金額を徹底解説!

役員報酬の設定金額は、経営者にとって重要な検討事項です。どのくらいの報酬を受け取るべきかを決めることは容易ではありませんが、自身の欲望や目標を達成するために必要な金額を考慮することが重要です。本記事では、役員報酬の設定金額について詳しく解説します。

役員報酬の設定に影響を与えるポイント

1. 税率

役員報酬は個人の所得として扱われるため、所得税率に注意する必要があります。所得税率は累進課税であり、収入が増えるほど税率も上がります。最高税率になると所得税と住民税を合わせて55%にもなります。このため、報酬が2000万円を超えると税率が50%近くになるため、個人で報酬を取るよりも法人として利益を出す方が税率が低くなります。税率を考慮しながら報酬を決めることは重要です。

2. 銀行評価

役員報酬が高額になると会社の評価が下がる可能性があります。特に赤字の会社では、銀行からの融資が難しくなる場合があります。しかし、銀行は社長の個人資産や生活実態も評価します。例えば、報酬が1億円でも実際に使用するのは1000万円であれば、個人の資産として残りの9000万円を持っていることになります。銀行は個人資産を考慮して会社の評価を行うため、個人の資産背景や生活実態を開示することが重要です。このような評価がプラスになると、銀行からの融資が受けやすくなります。

3. 社会保険料

社会保険料は収入の金額に比例して増加し、報酬の抑制によって負担を軽減できます。例えば、個人がほとんどお金を使わずに生活できる場合、報酬を限りなく低く抑えることで社会保険料を大幅に減らすことができます。
報酬を毎月同額200万円×12ヶ月で2400万円受け取るよりも、月額5万円や10万円にして、残りを役員賞与という形で一括で受け取り、合計で2400万円の金額をもらった場合でも、社会保険料は大幅に削減されます。このような報酬支払い方法を選ぶことで、社会保険料をコントロールし、手元に残る金額を増やすことができます。

4. 退職金

また、退職金も税金の計算上で優遇されています。退職後の生活保障を考慮するため、所得税の計算では退職金が特別な取り扱いを受けます。したがって、退職金を含めた報酬設定を検討することで、税金負担を軽減し、手元に残る金額を増やすことができます。例えば、月額200万円の報酬を12ヶ月で2400万円受け取る場合よりも、報酬を少なく設定し、退職金として一括で3000万円受け取る場合の方が、税金負担が少なくなります。このように報酬と退職金を組み合わせることで、トータルでの手元に残る金額を増やすことができます。

5. M&AやIPOの可能性

将来的にIPOやM&Aでバイアウトを考えている場合、役員報酬をたくさんもらうよりも、会社の利益を増やして企業価値を上げる方がバイアウト時の売却価格を高めることができます。その結果、手元に残る金額も増やすことができます。

例えば、給料をもらう場合や退職金も同様ですが、所得税の対象になります。所得税は累進課税制度であり、収入が増えるほど税率も上がっていく仕組みです。しかし、M&Aで自社株を売却する場合、株の売却益は税率20%で固定されるため、給与をもらうよりも株の売却益として報酬を得る方が税金負担が少なくなります。このように税金の負担を極端に減らすことで、手元に残る金額が増える可能性があります。

将来のバイアウトを目指している場合、報酬をたくさんもらうよりも、企業価値を上げるために報酬を少なくする方向にフォーカスすることが重要です。報酬を抑えることで会社に利益が残り、利益が残れば企業価値も上昇します。これによって最終的に自身の入ってくるお金を増やすことができます。

ベストな設定金額の決め方

では、どうやって役員報酬を決めていけばいいのか。ここまでの話を覆すようですが、正直好きな額で決めてくださいというところに尽きるかと思います。

例えば、3000万円や1億円といった具体的な金額を希望する場合、その額を設定することが一番良い方法です。ただし、1億円の報酬を受け取ると所得税の最大税率55%になるなど、税金の負担が増えることも考慮しなければなりません。

しかし、社長が事業経営を行う目的は税金で得するためではなく、自身の夢や目標を実現するためです。そのため、自身が1億円必要だと感じるのであれば、1億円の報酬を受け取ることが重要です。税金で得するからといって2000万円に抑えることをすると、自身のやりたいことができず、本末転倒になります。

ただし、好きな額で報酬を受け取ると言っても、会社の利益状況を把握していることが重要です。例えば、1億円の報酬を受け取るためには、会社が売り上げからいくらの粗利を作り出す必要があるのかを逆算する必要があります。売上を上げるためにはどれだけの努力が必要なのか、その数字を正確に算出し、目標の報酬を設定することが重要です。

以上のように、自身が望む報酬を設定するためには、会社の数字を把握し、必要な利益や売上を逆算することが必要です。基本的には社長の望む金額を取っていただくことがベストな設定金額です。しかし、この数字を抑えるためには会社の基本的な経営基盤を整える必要があります。この基礎ができていないと夢や目標を実現することができず、社長の欲望も叶わない結果となってしまいます。ですから、基本的な要素を押さえた上で、社長の望む報酬を設定することがベストな方法と言えます。

以下の手順を参考にしてください。

  1. 自身の欲望や目標を明確化する。
  2. 会社の収益状況や将来の計画を把握する。
  3. 所得税率や銀行評価などの要素を考慮しながら、報酬額を決定する。
  4. 社会保険料のコントロールや退職金の検討を行う。
  5. M&AやIPOの可能性がある場合は、会社の利益を重視する。

まとめ

ベストな設定金額は、自身の欲望や目標に応じて決めるべきです。その為には、自身の欲望や目標を明確にし、会社の収益状況や将来の計画を把握することが重要です。
また役員報酬の設定金額は、税率や銀行評価、社会保険料などの要素に影響を受けることも覚えておきましょう。
M&AやIPOの可能性がある場合は、企業価値の向上に注力することも重要です。自身の欲望を満たしつつも、会社の繁栄を考えた設定金額を選択することで、経営者としての成功を目指しましょう。

この記事を監修した人
市ノ澤 翔

市ノ澤 翔

財務コンサルタント 経営者向けセミナー講師 YouTuber

Monolith Partners代表、株式会社リーベルタッド 代表取締役、一般社団法人IAM 代表理事。
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。