この記事では、コロナ後に倒産してしまう会社とそれを防ぐための対策について詳しく解説します。コロナ収束後には業績回復が期待されており、「コロナ前に戻れば大丈夫!」と考えている経営者の方も多いと思います。
しかし、その考え方はとても危険です。実際にはコロナ前以上の努力をしなければ生き残っていけません。
多くの会社がコロナ融資やコロナ関係の補助金を利用してきましたが、それらの資金を使い切ってしまったため売上を上げて返済しなければならない状況にあるからです。
今回はコロナ後の経営方法について、具体的な事例をもとに売上を増やすために必要な利益や顧客獲得の方法について説明します。

コロナ前より大変な理由

コロナ融資や補助金を利用した会社は多いですが、その資金を足りないお金を補うために使った会社が非常に多いです。つまり融資を受けて消費してしまったのです。
通常は銀行から融資を受けると、そのお金を使って利益を生み出して、利益の中から返済していきます。

コロナ融資は足りないお金に使い切ってしまった…
利益を生み出していない…
この場合返済が始まったらどうなるでしょうか?

返済猶予期間も終わりつつあります。利益から税金を差し引いた後に返済に充てるお金が必要であり、利益を増やすことが求められています。

ラーメン屋さんの例

ラーメン屋さんを例に使って、コロナ前の業績から倒産を回避するための具体的な手法を説明します。

売上3億円 粗利60% 固定費1億8千万円
客単価 1,000円
コロナ融資:1億円借金10年返済
必要利益: 約1,430万円
必要売上: 約2,383万円
必要人数: 約23,830人
      月1,985人
1日(25日稼働)  79人
1時間(8時間営業)10人

前提条件として、コロナ前の売上が3億円であり、粗利が1億8000万円であるとします。固定費は1億8万円です。これによると、売上と粗利がトントンであり、最終的な利益は0となります。客単価は1,000円です。

コロナ融資として1億円を借りた場合、返済には年間で1,000万円の元本返済額が必要です。コロナが終息して売上が元の3億円に戻ったらどうなるでしょうか。元に戻っても、売上と粗利はトントンなので利益は0です。
その状態で、返済に充てる利益が必要となってくるのです。

返済に充てるために必要な利益は、税金を差し引いた後に1,000万円残る必要があります。したがって、税引き前で約1,430万円の利益を出さなければなりません。

利益を増やすためには売上を増やす必要があります。売上を増やすためには、現在の売上から約2,383万円増やさなければなりません。具体的には、年間で約2万3830人の新規顧客を獲得する必要があります。1日あたり約80人の新規顧客を獲得する必要があるんです。

これをやってようやくキャッシュがプラマイゼロになるという状態です。

これが出来なかったら赤字になりキャッシュがマイナスになっていきます。つまり、出来るか出来ないかではなくやるしかありません。
会社が返済をしていくためにいくら利益を出す必要があるのか、いくら売上を上げなきゃいけないのか、この点をしっかり把握していかないと生き残ることは難しいと思います。

倒産前の対策

いくら利益が必要か把握する


生き残るためには、資金繰りのマイナスを避けるために必要な利益を把握することが重要です。多くの会社が資金繰りに不安を抱えていますが、それは数字をしっかり把握していない(先がどうなるかわからない)からです。
利益がいくら不足しているのか把握すれば、売上を増やすための対策を考えることができます。

不安を解消するためには、利益の確保が必要です。そのためには、売上を増やすための具体的なアクションを考える必要があります。多くの会社がこのポイントを理解しておらず、本当にもったいない状況です。ですので、生き残るためには利益の確保を最優先に考え、売上増加のための戦略を立てる必要があります。

収益構造の理解の重要性

収益構造の理解は、会社の成功において重要な要素です。多くの企業が収益構造を理解していない現状があります。

ここで社長に質問です。
「100円の売上が上がったら粗利はいくら残りますか?」

すぐに答えが出ましたか?これが分かっていない会社が非常に多いです。

収益構造の理解とは、売上に対してどれだけの粗利が残るのか、
また固定費(売上に関係なく発生する費用)がどれだけあるのかを把握することです。

これがわかれば粗利で固定費をまかない、それ以上出た利益は会社に残ることがわかります。自社の粗利率や固定費を把握して初めて、正しい目標を立てることが出来るんです。

PDCAサイクルの活用

粗利率や固定費、そして売上目標を把握した後にやることはPDCAを回すことです。PDCAサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の4つのステップからなる管理手法です。

PDCAサイクルを活用する際には以下の注意点があります。

コロナ後の成功事例

コロナ禍で打撃を受けた企業でも、PDCAサイクルを活用し改善を続けることで成功を収めた例があります。

あるポケットWiFiの会社は、海外旅行需要の減少により売上がゼロに近い状態になりました。このまま売上ゼロが続くと、会社は長くは持ちません。
しかし、会社は新たな事業としてPCR検査事業に参入し、結果的に利益を上げることに成功しました。
新規事業なので最初から成功したわけではありません。失敗と改善を繰り返し最終的に上手くいかせました。
この成功例からわかるように、PDCAサイクルを回し、継続的に改善を行う姿勢が重要だということがわかります。

まとめ

コロナが終われば何とかなると思って、ただ耐えているだけでは生き残れない可能性があります。自社の数字、現状を正確に把握することが重要です。
そして生き残るためには、PDCAサイクルを回して経営を改善し続けることが必要です。

会社の生存と成長は経営者次第であり、自らの責任にかかっています。突然の売上の減少に対しても、自ら改善策を見つけて行動するか、国が何とかしてくれるだろうと動かないでいるかで、会社の未来が決まると言えます。経営者は明確な行動を選び、着実に経営改善を進めるてください。

この記事では、会社経営において借金をしてでも現預金を持っておくことの重要性について解説します。会社の倒産を避けるためには、現預金を多く持つことが必要です。また、現預金を持っていると銀行からの追加融資も容易になるなど、さまざまなメリットがあります。

借金をしてでも現預金を持っておいた方がいい理由

1. 倒産を避けるため

2. 銀行からの追加融資が容易になる

3. 急な経営上の悪化に備える

オリエンタルランドの事例

オリエンタルランドはディズニーランドを運営している会社です。コロナの際、ディズニーランドは完全に閉園し、営業を停止しました。長い間営業ができなかったにもかかわらず、オリエンタルランドは倒産せずに継続することができました。その理由は、オリエンタルランドが現金を豊富に持っていたからです。オリエンタルランドは固定費も高額ですが、豊富な資金があったために耐えることができました。このように、経営上の不足にも耐える強い会社を目指すためにも、現金を手元になるべく持っておくことを意識していただきたいと思います。

4. 心のゆとり

5. 事業に使える

まとめ

日本では借金に対する否定的なイメージが強いですが、借金には「良い借金」と「悪い借金」が存在します。「悪い借金」、つまり、消費や日常生活維持のための借金はできるだけ避けるべきです。

一方で、「良い借金」、すなわち、事業成長のために使われる借金は推奨されます。このような借金は、投資として事業に投じられ、その結果、会社の成長と社長の夢や目標の実現につながる可能性があります。

さらに、財務体質を強くするためには、手元の現預金を一定レベルに保つことが重要です。具体的には、固定費の6ヶ月分と人件費の10ヶ月分を最低限の目安として保有していることが望ましいです。これにより、会社は強い財務体質を形成し、さらなる成長のための基盤を確立することができると思います。

経営者や事業主の皆さんには、現預金の重要性を意識し、借金してでも現預金を持つことをおすすめします。これにより企業の安定性と成長を実現し、事業の持続的な発展を目指しましょう。

今回は、 コロナ融資を使っている経営者の方や、財務担当者の方に、注意喚起の意味も込めて、解説していきます。もう銀行も国も助けてくれないという話です。

中小企業は銀行から折り返し融資が受けられない!?

ちょっとゾッとするお話です。2020年にコロナが始まり、政府主導で、活動自粛や経済を止める施策を行ってきました。約2年の間、中小企業は国から各種支援がありました。

持続化給付金や家賃支援給付金、 雇用調整助成金、事業再構築補助金などです。このような施策であったり、コロナ融資として手厚い支援を受けてきました。

ただ、もう気づいてる方も多いと思いますが、潮目は変わってきています。もうこれまでのように簡単に融資が出ることはありません。 貸し剥がしまではまだ起こってないですが、貸し渋りというのは起こっています。

困っていても貸してくれないという事態が、すでに起こり始めているのです。 この方針は緩まるかというと、どんどん加速していくことになります。儲かっていて資金も潤沢である会社は借りることができます。しかし、お金に困ってるような会社はもう貸してもらえない可能性が高いという話です。

皆さんどう思われますか。これ以上銀行から1円も借金できなかったとしても、事業継続ができますか。 銀行から新規融資を引っ張ってこれなくてもお金は足りるでしょうか。以前は、不足したら銀行の折り返し融資と言って新しいお金を出してくれていたので、回っていました。

そうやって回っている会社も多いのではないかと思うのですが、もう折り返し融資が出ないと体感してる会社もあるでしょう。そもそも、融資の必要なお金とは何なのかという話です。

融資に必要なお金は「投資」か「運転資金」

基本的に融資は、「投資」か「運転資金」のどちらかです。


「投資」は、新規事業や新規設備、新規の機械や車両など。新規の投資が必要な場面は、事業投資であれば当然銀行がその事業の計画を見て、大丈夫そうなら融資をしてくれる。これは、事業資金や設備などの投資に対してお金を貸してくれるものです。

もう一つは「運転資金」です。運転資金の定義はここではお話しませんが、要は会社が一時的に立て替えるようなお金です。

日々の経費の支払いや人件費の支払いではありません。いわゆる正常運転資金と呼ばれるものです。これに関しては、銀行から借りて調達するというのは問題ないのですが、実際には足りないから借りてるという会社は本当に多いのではないでしょうか。

足りないお金を借りてしまうと、返すのが大変です。 投資であれば、借りてきたお金を使ってそれ以上に稼いで、稼いだ分で返すということが可能です。

しかし、足りないから借りるということは、不足資金に補填されているので、「その借りてきたお金はどうやって返すのか」という話になります。

基本的に、不足資金を借りるということ自体が間違っているのですが、コロナ前はそういう会社が非常に多くありました。コロナ期間中も、コロナ融資で不足資金を借りていた会社が非常に多くありました。

 例えば、コンビニで考えていただくとわかりやすいと思いますが、コンビニは常に店いっぱいに在庫を抱えてます。雑誌や、食料品、お酒、タバコなどが、仮に1店舗に1,000万円分の在庫があるとします。

実際には、もっと少ないと思いますが、1店舗に1,000万円の在庫があり、この商品があることによって、お客さんが来てそれを買っていきます。

その1,000万円の在庫は、全部売れて終わりではなく、売れたらまた仕入れます。1,000万円分ぐらい必要なのであれば、常に同じぐらいの在庫を抱えているわけです。そうしないと、お客さんが来ませんから、5年、10年経とうが、コンビニは多くの在庫を抱えているわけです。

その1,000万という金額は、常に出してる状態で、先にお金を払ってものを仕入れています。 つまり、常に先にお金が出ていっている状態です。常に一定額、ずっと必要で立て替えることになるお金、これを運転資金と呼びます。

元本返済のないタイプの借入で調達しないと、返済が進んでいくにつれ、運転資金は足りなくなります。折り返し融資でまた借金をして返して、また借金をして返す。

このようなギザギザの状態で、借りている会社が多くありました。本来、一定の返済がないタイプの借入で賄うのが正しい借り方です。

設備投資は、普通に返済のあるタイプで借ります。例えば機械装置を使って、10年間使えるとします。10年間の返済を組んで借金し、機械の価値が落ちていくのと同じように、借金の額も返済して減っていきます。投資した資産と、借入金が、同じように価値が出ているという状況です。

しかし、運転資金も同じように、返済のあるタイプの借入で賄ってる会社が実際には多いです。返済が進んできて、お金が足りなくなったら、折り返し融資という形で、新しい借金をする。こんな形で成り立ってた会社が、これまで多かったのです。

定期的に借金してる会社は財務構造の見直しが必要

今後に関しては、会社が儲かっていてお金に余裕がある場合と、財務状態や財政状態が悪くない場合以外は、この折り返し融資は出なくなる可能性があります。

足りないから借りるというのは、正直難しいという状態になっています。そもそもこういう形で運転資金を調達してたとしても、状況が良ければ不足しません。要は良い状態の会社であれば、不足して折り返し融資を受ける必要性がないわけです。 

足りなくなってるという時点で、あまり良い状態とは言えない。相当運転資金の数が多額に必要ということであれば、最初は必要かもしれません。ある程度内部留保をたくさん積んできて、現預金を集めていけば、運転資金は自己資金で賄えたりするようになってるはずです。

実際には、そうなってる場合は少ないのですが、正しく成長していけば、無借金でいけるような状態になっていくはずです。しかし実際には銀行からの融資でなんとか成り立っているという状態の会社、中小企業は特に多いわけです。

定期的に借金してる会社は結構多いです。毎年毎年、新規融資を受けていたり、2年おきに新規で融資を受けていたり。運転資金が足りなくなったら借りるということが、同じようなスパンであれば、まだ問題ないかなと思います。

このスパンがどんどん短くなっているという場合は注意が必要です。 これは、うまく回っておらず、そもそも資金が回ってない可能性が非常に高いということです。

元々2年おきだったのが、1年おきになり、10ヶ月おきになり、8ヶ月おきになり、気がついたら半年しか経っていないのに、またお金を借りるという状態になります。

こういう状態になると、危険信号です。そもそも投資をしないのにお金を借りるということ自体が、あまりいい状態とは言えません。このように、運転資金を間違った形で借りてしまっているのがお金が足りない原因です。

単純に、お金がもう回っていないという可能性も結構ありますので、自社の財務構造がどうなってるのかを見直しておきましょう。売り上げが10億円あろうが20億円であろうが、回ってない会社はたくさんあります。

数字を見ていないと、見た目の売上が10億になっていると、資金が実際には全然回っていなくても回ってないということに気づかないケースもあります。これは本当に注意が必要です。

売り上げの額は重要じゃありません。キャッシュ、資金繰りが回っているかどうかを見る必要があるのです。もしも社長ご自身で見られるのであれば、必ず確認してください。

「決算書は見たことがない」という状態であれば、1度本当に見直しておいた方がいいと思いますので、お問い合わせください。

コロナ融資を満額使っている会社は要注意!

「コロナ融資借りていると、なぜもう借りられないの?」という話についてです。これは、銀行の融資をざっくり分けると、プロパーと保証協会付きという2種類があります。

何が違うかというと、プロパーは銀行がリスクを負っています。そのため、会社が倒産して返済できなくなると、銀行が損をします。銀行が貸し倒れを負担することになるのです。1億円貸して返ってこない場合、銀行が1億円損するという形です。

保証協会付き融資は、もしも貸した会社が倒産しても、保証協会が代わりに代理弁済して銀行に返してくれるというものです。銀行はリスクを負ってないということです。

銀行がリスクを取らない保証協会付き融資が出るのであれば、銀行は会社が倒産しても別に構わない。仮に倒産したとしても銀行としては損しないので、保証協会付きの融資の方が当然受けやすいでしょう。

どちらの借金がハードルが高いかというのを考えていただくと、プロパーの方が銀行がリスクを負うことになるため、ハードルが高くなります。

コロナ融資はというと、保証協会付きの融資になります。コロナ融資を満額使うなどして保証協会の枠を使い切ってる場合、追加で融資を受けるためには、プロパーで受けるしかありません。

ハードルの低い保証協会付きの融資をもう借りられない会社が、プロパーで借りられるかというと無理でしょう。 つまり、コロナ融資を満額使っているような会社は、もう借りられない可能性が非常に高いということです。

今後、今年来年と倒産する会社がどんどん増えていくでしょう。先にご説明したとおり、保証協会付きの融資であれば、保証協会に代理弁済してもらえますので、銀行はあまりダメージを負いません。

プロパーの融資を出してる会社が倒産してしまうと、銀行はダメージを受けます。すると、銀行の業績は当然悪化するわけです。銀行も営利企業なので、当然業績が悪化するのはよろしくありません。

現在、銀行がどういう動きをしてるかというと、保証協会付きのコロナ融資を出せる会社にどんどん出しています。そして、貸していたプロパーの融資を回収するということを行っているのです。 

本来は、保証協会付きの融資を引っ張りプロパーの融資を返済するということは、救済振り替えと言って禁止されています。

しかし、例えばコロナ融資で3年間据え置き、元本返済が3年間ないような融資を引っ張ってきて、 プロパーの約定ベースで毎月毎月の返済が進んでいけば、結果的に救済振替えと同じことが行われているわけです。

コロナ融資で借りてきたお金を使って返済してるような形になります。つまり、プロパーをコロナ融資で返済してるという状態が実際には起こっている。銀行からすると、ずっと回収してるという状態が起こっているわけです。

これにはいろいろ事情もあります。銀行には、BIS規制というものがあり、銀行の自己資本比率が8%以下になると、国際的に活動することができなくなるような規制です。

お金を貸してる会社がどんどん倒産して貸し倒れが起こり、万が一自己資本比率8%に引っかかってしまうと、銀行が倒産してしまう話になります。あまりにも業績が悪い会社には、お金は貸せないという事情もあるわけです。

実際には倒産しなかったとしても、状況が悪い会社にお金を貸すと、引当金というものを積まなければなりません。要は決算書の内容が悪い赤字の会社にお金を貸した瞬間に、将来この貸したお金が貸し倒れる見込みで、銀行は引当金を経費に入れておかなければなりません。

貸した瞬間に銀行の業績が悪化してしまうので、そういう会社には貸せないということになります。そういう意味もあって、悪い状態にある会社というのは、本当に今後どんどん借りられなくなっていくわけです。

おそらく現時点では、決算書の数字、 PL(損益計算書)の数字や自己資本比率が悪い状態であっても、コロナ融資で借金して手元のキャッシュが潤沢にある状態の会社はまだ多いかもしれません。

しかし、今潤沢にある手元のキャッシュが、毎月減っていくような状態だとすると、その資金が尽きた時点で終了になってしまいます。

 財務体質、経営体質の改善を行いましょう

今は余裕だとしても、余裕があるうちにどうやって生き残っていくのか、 財務体質、経営体質の改善に早急に着手することが必要です。

多分大丈夫だろうという曖昧な状態であれば、本当に大丈夫なのかを確認してください。資金繰り予定表を作れば、キャッシュがプラスかマイナスかは一目瞭然に分かります。

どこでマイナスになってるかがこれを見ればすぐわかりますから、資金繰表だけは作ってください。作り方がわからないという方は、ホームページからご相談いただければと思います。

まずは自社の状況を皆さんが確認してみてください。

事業撤退とは

事業撤退とは「市場において優位性を失った事業から手を引くこと(※)」を言います。採算が取れない事業を停止して損失を防ぐことが目的です。会社経営をするうえで、思いもよらない事態は付きものですから、平時からリスクヘッジの方法を学んでおきましょう。事業撤退の判断基準や注意点などの理解を、本コラムで深めていただければと思います。
(※引用:グロービス経営大学院

撤退の判断基準

もしも明らかな赤字事業であれば、事業撤退をすぐに決断できるでしょう。一方、判断に迷うような業績の場合に明確な根拠なく判断すると、失敗する可能性があります。自社の現実・事実に基づいた事業撤退の明確な判断基準を持ちましょう。

代表的な判断指標を三つご紹介します。

1.貢献利益
ある商品・サービスをひとつ売ったときに生じた利益のことを言います。算出方法は「売上高-変動費-直接固定費(直接経費)」。各事業が会社全体の利益にどの程度貢献しているのかを導きだす数値です。

この場合の変動費とは、売上により数値が変動する費用です。売上原価の中から労務費・間接製造費を省いた仕入原価や外注費、消耗品費などが変動費に該当します。そして、直接固定費とは、固定費用のうち事業に紐づけられる経費です。販売費および一般管理費の中から事業に直結する広告宣伝費やリース料などの費用のみを抽出するため、直接固定費と販管費の数値は異なります。

これらの数値を用いて算出する貢献利益から、事業の状態を見極めることができます。もしも営業利益も貢献利益も赤字であれば、事業撤退を検討する必要があると判断して良いでしょう。

2.SWOT分析
自社の内部要因と外部要因を見直して状況を明確にすることで、事業に合った市場や事業課題を導き出すフレームワークです。内部要因の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、外部要因の「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」、これら4つのアルファベットの頭文字をとって「SWOT分析」と呼びます。

分析結果のパターン

ポジティブネガティブ
内部環境活かせる強みはあるか弱みはあるか
外部環境強みを活かせる機会はあるか回避すべき脅威はあるか

SWOT分析を活用すると、その事業を取り巻く環境が浮かび上がってきます。内的要因において何らかの弱みを抱える事業が外的要因にも弱みを持つ場合、撤退を検討する必要が生まれます。しかし、弱みを強みに変えられるような方法が見つかれば、撤退という選択をしないで済むこともあります。

3.PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
市場の成長性と自社の市場シェアの観点から事業戦略を検討するフレームワークです。自社事業の市場成長性と市場シェアのそれぞれを、高い/低いで評価して組み合わせます。

評価結果は以下の四つの言葉で表します。

・花形(市場シェア:高い、成長性:高い)
成長市場で十分なシェアを持っている事業。ただし将来的に市場競争が激しくなる事態も予想されます。シェアを維持できるような戦略を立てることと積極的な投資を継続することが望ましいでしょう。

・問題児(市場シェア:低い、成長性:高い)
十分な市場シェアは獲得できていないものの、戦略次第では収益源となり得る可能性を持つ事業。赤字になる可能性も孕んでいるので、有望であれば投資をおこなうが、動向次第では撤退を検討する可能性もあります。

・金のなる木(市場シェア:高い、成長性:低い)
すでに十分な市場シェアを獲得しており、成長が鈍化している事業です。現時点では重要な収益源だと言える一方、これ以上の投資は必要ないと判断して良いでしょう。この事業で生み出した収益をどの事業に投資するか、が戦略として重要になってきます。

・負け犬(市場シェア:低い、成長性:低い)
市場の成長性が期待できないうえにシェアも低い事業です。収益アップは見込めませんが、追加で大きな投資をする必要がないという利点もあり、いい活用方法さえ見つかれば収益源に変わる可能性を持っています。しかし、すでに投資した分のリソースを回収したのちに撤退を検討することが、一般的です。

撤退の注意点

事業撤退には、当然リスクも伴います。とくに問題となりやすいリスクの一つとして、自社が手掛ける他の事業とのシナジー効果が薄れるリスクがあります。複数事業を手掛けている会社では、社内の事業同士に何らかのシナジーが起きていることが多いです。コスト面など経営数値に直結するシナジーもあれば、従業員のモチベーションアップのような数値で測れないシナジーもあることでしょう。不採算部門の事業撤退をおこなうことで別事業における製品・サービスなどに何らかの不都合が発生する可能性が高いです。他事業とのシナジーの有無も考慮し、最終判断をしましょう。数値化できていない影響を見逃さないように注意してください。

もう一つは、顧客・市場からの信頼を失うリスクです。たとえ赤字事業だったとしても、その商品・サービスの顧客は存在しています。一部の顧客から撤退への不満の声があがることは、容易に想像できます。

最近の例ですが、家族向けSNSサービスを提供する企業がサービス終了の決定を告知しました。その際、利用者からは不満の声が続出。サービス終了自体は仕方のないことですが、告知から終了まで約一か月しかなく、投稿写真の一括ダウンロードはできず、そのうえ写真と一緒に投稿されていた日記やメッセージは個別ダウンロードすらできない、というような、大切な思い出を投稿していた利用者の気持ちを考慮したと思えない終わり方だったためです。その会社の世間からの評価は、以前と大きく変わってしまったように思います。事業撤退時は、顧客の心情への配慮を決して忘れないようにしましょう。

さらに、株主に対する説明責任を果たすことや社員に対するフォローも忘れないでください。事業撤退の経緯や判断理由、そして決断に至ったのは誰のせいでもないことを可能な範囲で説明するなどの丁寧なフォローをすることによって、社員のモチベーション維持につながります。

撤退方法

一般的なケースで考えられる事業撤退の方法は、大きく分けると二つです。

1.事業譲渡(売却)
ある特定の事業に関する権利や資産を、そのまま第三者に包括的に譲渡(売却)する手法です。買い手側は買い取る資産を個別に指定できるので、設備などの資産だけでなく、従業員の雇用契約を引き継いでもらえるケースもあります。そのため、労務上のリスクも低いと言えるでしょう。マイナス面として、交渉に時間がかかることが多いことが挙げられます。

2.解散・清算
法律上の諸手続きをとって、法人格を消滅させる方法です。法的な手続きということもあって煩雑なため、完全撤退するまでには期間を要する場合が多いようですが、事業の規模によって異なります。従業員の解雇をする必要が生じるため、労務上のリスクが高い点もデメリットだと言えるでしょう。

撤退費用

撤退時のコストは、経営者にとって悩ましい問題です。たとえば、不要になった設備や在庫の処分費用。不要になった固定資産を売却するとき、固定資産売却損と呼ばれる費用が発生することもあります。

また、事業用資産をリースしている場合には解約手続きが必要になります。契約内容によっては途中解約時に解約金・違約金の支払いが発生します。契約内容を事前に確認し、資金繰りに組み込んでおきましょう。更新時期が近づいてきたタイミングで、事業を継続するか否か検討するのも良いかもしれません。

さらに、解体・撤去費用も忘れてはいけません。撤退事業に関連する資産の買い手がみつからなかった場合、店舗や設備を解体・撤去してもらう必要があり、解体・撤去費用が発生します。入居前の状態に戻すための原状回復工事が発生することもあります。

他にも、専門家に撤退に関する相談をした場合の相談費用や登記や法的手続き費用など、あらゆる想定外の費用が発生する可能性があります。くれぐれも資金繰りにご注意ください。

まとめ

事業撤退の妥当性は、他の事業へのシナジーなど全社的な視点・将来的な黒字が見込まれる可能性があるかどうかの長期的視点・市場や顧客の視点などから鑑みて、慎重に検討するべきです。単一的・短期的な数値や環境で判断するのではなく、多面的に見て検討しましょう。

本コラムで紹介した貢献利益・SWOT分析・PPMなどの方法を参考にしてください。そして、新規事業を始める際は事業撤退をおこなう基準をあらかじめ定めておくことと、撤退時こそ顧客に心情に寄り添うことが大事だということも、ぜひ頭に留めていただければ幸いです。

YouTubeショート動画】 
お金にまつわる情報やトリビアを発信中!
https://youtube.com/playlist?list=PLxXnJwi3Fej_IdpJXB2wvfvB_hyNjzPxR

今回の話は受け入れがたいかもしれませんが、これが事実です。ぜひ理解してお金が残る会社にしてほしいと思います。

うまくいってる会社とそうではない会社は見ている数字が違います。

■うまくいってる会社は何を見ているか→【利益】
社長が営業マンに言います「ここの粗利の数字が増えたら歩合給としてインセンティブ払うよ!」 
従業員も売上を増やそうとするのではなく、粗利をどうやって増やすかを考えるので会社にお金が残り業績が良くなっていきます。

■うまくいってない会社は何を見てるか→【売上】 
社長が営業マンに言います「売上がトップの営業マンは表彰してインセンティブ払うよ!」
従業員はどうやって売上を増やすか、そればっかり考えます。 
値下げして売上増やそう→結果、売上は増えても利益は減り業績は悪化します。

あなたは売上、利益どちらを見ていますか?

また、お金がある会社は納税し、貧乏な会社は節税するという事実があります。
売上アップと納税を重視していると貧乏一直線です。

詳しくは動画で解説しますのでご覧ください!


⏩もくじ
00:00 オープニング
01:13 売上UPがダメな理由
08:17 建設業は売上の金額にフォーカスしがち
09:54 節税してはいけない理由

⭐️公式LINE  https://line.me/R/ti/p/@854agwjl

🌈経営者のための「合法的」節税セミナー https://setsuzei.hp.peraichi.com

社長「もうこれ以上削減できないよ。従業員の給料減らすわけにもいかないし・・・」

本当にやれること全部やってますか?

多くの会社がコスト削減方法を間違えています。

固定費を減らすよりも、まずこれをやってください!

⏩もくじ
1️⃣オープニング
2️⃣固定費削減よりもっと重要な削減項目とは?
3️⃣そもそも固定費・変動費って何?
4️⃣具体例で分かりやすく見てみましょう!
5️⃣変動費を下げるのと同じくらい効果が大きいものとは?
6️⃣うまくいってる会社とそうでない会社の差はここにある!

ぜひご覧ください!

社長からよく聞くセリフ
「税理士に任せてあるから大丈夫!」

何が大丈夫なんでしょう!?

税理士が勝手に会社を良くしてくれることはありません。

会社を変えるのは社長さん自身です。

なぜ決算書を見る必要があるのか?公認会計士・税理士市ノ澤が解説します!

2021年最後の動画、ぜひご覧ください!→https://youtu.be/dm8FLTpRTcs

それではみなさま良いお年を!

「銀行は晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」

とよく言われますが、銀行がお金を貸さない理由って何でしょうか?

「そりゃ赤字の会社には貸さないよね」

確かにそうですが、それ以外に大きな理由があったんです。

その本当の理由を公認会計士税理士市ノ澤翔がお伝えします!

市ノ澤YouTubeでご覧ください!https://youtu.be/5QiTnYtoRBU

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自社の決算書を用いて現状の銀行格付を算出します。

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好条件で融資が引っ張れる

資金繰り計画表マニュアル
銀行が融資をするかどうかの判断で一番重視するのが貸したお金が返ってくるのか?です。この資金繰りの計画表を使って返済計画を示せば、好条件での融資も引っ張れるようになります。

参加特典2

ChatWork によるフォローアップ

あなたのビジネス構築を助ける特別なWork Bookをプレゼント!このWorkBookは事前配布され、あなたはそれに書き込みながら、このWorkBookは課題の完成を確実にサポートしオンラインコース構築を後押しするでしょう!2週間

参加特典3

特別節税マニュアル

税金のことが難しくてわからなくても大丈夫!税金の知識があれば、もっと節税可能です。手元に残すお金を最大化し、お金に困らなくなるためのマニュアルをプレゼント!

Secret#1 そもそも税金とは?税金についてすべてがわかる!

Secret#2 節税の極意を知ろう!
Secret#3 必要経費について「経費にすべきものを把握し」しっかり節税!
Secret#4 税務調査について「税務調査が来たらどうなるのか?」「税務調査に入られやすい会社や」防ぐ方法を教えます!

さあ!利益の出る会社をつくる3日間チャレンジに

参加すると得られる全てをご覧ください!
  • Day #1 – 数字が苦手な方でも理解できる世界一簡単なキャッシュフロー把握術(¥35,000 Value)
  • ​​Day #1_2 – 「今のまま行くとどうなる?」会社の5年後の数字がわかるスペシャルワーク(¥15,000 Value)
  • Day #2 -銀行が会社をどう評価しているのかを理解し、資金調達の極意を学ぶ(¥25,000 Value)
  • ​Day #3 – あなたの会社の現状の正確な立ち位置、キャッシュリッチ経営の為の打ち手を理解する(¥55,000 Value)
  • 特典1-好条件で融資が引っ張れる資金繰り計画表マニュアル(¥50,000 Value)
  • 特典2-ChatWork によるフォローアップ(¥50,000 Value)
  • 特典3-特別節税マニュアル(¥29,800 Value)

Total Value : ¥259,800

参加費はたったの ¥3000

財務を学ぶことが経営が上手くいく最短・最速の方法です!
12月13日から3回のレッスンがあります…

Lesson #1:12月13日(月曜)21:00〜21:55

Lesson #2:12月14日(火曜)21:00〜21:55
Lesson #3:12月15日(水曜)21:00〜21:55

*Lesson#1〜#3はZOOMでのweb講義です!

お申し込みはこちら

講師紹介

税理士、公認会計士でありながら複数社を経営する

会社のお金にまつわるプロ
市ノ澤 翔(いちのさわしょう)
株式会社リーベルタッド 代表取締役
Monolith Partners 代表
一般社団法人IAM 代表理事
世界No.1会計ファーム(監査法人)である、
あらた監査法人( PwC Japan)に入社し世界有数の超一流企業の監査業務に従事
依頼される業務は全て「紹介」でキャンセル待ち状態になることも
数千万単位の赤字で債務超過(倒産寸前)の会社を1年で黒字化
関わった会社は「売上」ではなく「利益」ベースで数千万単位の
改善をしキャッシュが残る経営に転換させている

よくある質問

 数字が苦手なのですが大丈夫ですか?
もちろん!ご参加ください!このチャレンジトレーニングに参加することで数字が苦手な状態から、しっかりと会社をよくすることが出来るようになります!会社の数字を理解することは売上を上げる以上に会社を良くします、是非ご参加ください。
 講義の録画はありますか?
もちろんございます。しかし、実際の講義にご参加された方がより成果がしっかり出ます!可能な限りリアルタイムでの講義レッスンへの参加をお勧めします!
 Facebookグループはいつまで参加できますか?
このチャレンジトレーニング専用Facebookグループは閉鎖予定はございません。録画等もグループに残りますのでご活用いただけます。