2023.09.25
【コラム】悲報…倒産する会社は共通してコレが原因だった!当てはまる経営者は倒産予備軍の可能性!?
皆さんは事業計画書をしっかり作成していますか?実は、事業計画書を作らなかったり、作り方が間違っていたり、数字だけを書いてその後放置するというケースは意外と多いものです。それは何故でしょうか。多くの人が事業計画書を「面倒くさい」と感じ、その重要性を見過ごしているからだと思います。
しかし、実際には事業計画書は非常に大切な行動基準となるツールです。経営において、計画通りに物事が進むことは稀です。そういった状況で目標をしっかりと達成し、会社を成長させるためには、ゴールを明確にし、それに向かって具体的な数字での進捗を見る必要があります。
目標が不明瞭な状態で経営を行っていると、どの方向に進むべきか、何を優先すべきかがわかりません。そのような不確かな状態で良い結果が出ることは稀です。逆に言えば、事業計画をしっかりと作成していれば、その力で会社はしっかりと成長していくでしょう。
この記事では黒字経営を実現するための事業計画書の作り方を解説します。経営者や個人事業主の方は是非ともこの機会に、正しい事業計画書の作成方法をマスターしてください。
売上から作らない
経営計画書を作る際、多くの方が最初に「売上」に着目することがよくあります。売上目標を設定して、それを達成することに全力を注ぐケースです。
しかし、売上が増えたからといって会社が順調とは限りません。売上を稼ぐために値引きを多用した結果、利益が減って赤字になってしまうこともあります。
売上目標だけでは、従業員の給料を増やしたり、未来の事業に投資したり、設立当初の目標を叶えることはできません。この目標を達成するためにいくら利益が必要なのか、いくら売上げが必要なのか、ということを考えていく必要があるのです。売上げが最初に決まるなんていうことはありえません。
年商1億円達成するんですという目標を立てて頑張っている方がいますが、これは計画を作っていると言いません。その売上げを達成した結果どうなるんですかというところまでがセットで計画なんです。
ゴールを明確にする
まずはゴールを明確にします。これが事業計画書作成の第一歩です。経営者は、何を実現したいのか、会社をどの方向に進めたいのかを明確にしましょう。これは「ロケット理論」として語られることがよくあります。
■ロケット理論とは
アメリカのケネディ大統領時代に、アポロ計画で月にロケットを送り込むという大きな目標がありました。この成功の背景には、「月に行く」という明確なゴール設定がありました。単にロケットの開発だけに集中していたのでは、月に行けなかったでしょう。ゴールを先に定めて、それを達成するための手段やアプローチを逆算して考え、行動していくことが重要です。
ゴールを設定する際には、5年後の会社のバランスシート(B/S)を基に考える方法が効果的です。具体的には、5年後にどのような会社にしたいのか、たとえば「自己資本比率を60%にする」などの明確な目標を最初に設定します。
逆算で数値目標を設定する
ゴールを決めたら、それを実現するために毎年どれくらいの利益が必要なのかを逆算して計算します。この逆算するプロセスが非常に重要で、それがないと具体的なアクションプランが明確にならず、結果として目的のない「成り行き経営」に陥ってしまう可能性が高くなります。
たとえば、5年後の自己資本比率を60%に上げるためには、毎年どれだけの利益が必要かを計算します。
■現在のB/S
資産1億円
(負債9,000万円、純資産1,000万円) 自己資本比率10%
↓ ↓ ↓
■5年後のB/S目標
資産1億円
(負債4,000万円、純資産6,000万円) 自己資本比率60%
5年後に自己資本比率60%(純資産6,000万円)を達成するためには、現在から5,000万円自己資本を増やす必要があります。1年あたりにすると1,000万円です。年間1,000万円ずつ利益を積み上げていけば、5年で6,000万円(自己資本率60%)を達成できるということです。
P/L損益計算書を活用する
さて、この目標をどう実現するかですが、次に損益計算書(P/L)を使って考えます。逆算で目標を決めていくというのは、どういうことかと言うとPL損益計算書の一番上の売上を最初に決めるのではなく、下から順番に決めていくということです。5年後のBS目標を決めたら必要な利益が決まってくるので、この必要な利益から逆算して順番に売り上げ目標を作っていきましょうということです。
損益計算書(青い文字は既に決まっている数字とします)
売上 | 1億円 |
原価 | 3,000万円 |
粗利(率) | 7,000万円(70%) |
販管費(固定費) | 5,270万円 |
営業利益 | 1,730万円 |
営業外収益(支払利息) | ▲300万円 |
経常利益(税引前利益) | 1,430万円 |
法人税等(30%) | ▲430万円 |
当期純利益 | 1,000万円 |
【重要ポイント!】下から上へと逆算して見ていきます。
- 当期純利益は1,000万円と決まりました。
- 法人税率は約30%と仮定します。
- 税引き前の利益を計算するため、1,000万円を70%(100% – 30%の法人税率)で割ります。
- その結果、年間において約1,430万円の税引前利益が必要だとわかります。
- 営業外損益(支払利息)=営業活動以外で生じた費用は借入による利息300万円のみと仮定。営業利益は1,730万円になります。
- 販管費(固定費)は毎年固定で払っている金額です。商品の販売・管理にかかる費用、人件費、家賃、水道光熱費などです。この会社は5,270万円でした。
- 営業利益に固定費を足すと必要な粗利が出て来ます。1,730万円+5,270万円=7,000万円ですね。(粗利率は固定であると仮定)
- 粗利と粗利率から売上が決まります。粗利率が70%ということは原価率30%で3,000万円かかります。
- この会社の場合、1億円の売上が必要です。
このように逆算することで、実際に必要な数字を明確にすることができます。
これを毎年継続すると、5年後には自己資本率60%の目標を達成できます。一番初めに1,000万円の利益目標が決まり、そこから必要な売上を逆算していきました。これは根拠を持った売上目標の設定方法です。この流れに沿って、経営計画を策定し、目標を達成する取り組みが推奨されます。
右肩上がりの計画はダメ
経営計画を作る際に「右肩上がりの計画」、つまり毎年売上が大幅に増加するという楽観的な計画を作る方がいますが、実はそれはあまり意味がないと思います。確かに、会社経営をしている以上、成長を目指すのは当然です。しかし、売上が毎年何十パーセントも増えるというような計画は、実際にはほとんど実現しないのです。
例えば、5年後の目標を設定して右肩上がりの計画を作ると、最初の年は目標達成が楽かもしれません。でも、後半になるとどんどん厳しくなっていくのが現実です。特に、10年や20年以上経営を続けているような会社であれば、毎年毎年売上が伸びるわけではありません。多くの場合、ある程度の段階に達すると、業績は横ばいになることが多く、経営成績は安定する傾向があります。
だからこそ、5年間での成長を均等に計画する方が、実現可能性は高いと考えられます。極端な成長を前提とした計画よりも、現実的な見通しで計画を立てることが大切です。
ポイントアクションプラン
ポイントアクションプランは経営計画を実現するための肝になってくる部分です。これが一番重要であると言っても過言ではありません。単に数字の目標を立てるだけでは意味がなく、具体的な行動計画が必要ということです。
- 目標の逆算
- 例えば、1億円の売上目標がある場合、どのようにしてこの売上を達成するかを考える必要があります。
- 飲食店経営の例をとると、1日に何人のお客さんを増やすかがその具体的なアクションとなります。
- 具体的なアクションの設定
- 1日に2人のお客さんを増やすためには、どのようなアクションを取るか。
- 例として、お店の前での呼び込み活動を増やすという行動計画を設定します。
- アクションの実施と振り返り
- アクションプランを実際に実施して、その結果をタイムリーに振り返ります。
- 例:1時間の呼び込みでお客さんが増えなかったら、1時間半に増やす、声のかけ方を変更するなどの改善を考えます。
- PDCAサイクルの回転
- PDCA(Plan, Do, Check, Act)を高速で回し、アクションプランの結果を常に検証して改善していきます。
- ほとんどの場合、初めから全てがうまくいくことは少ないので、高速での改善活動が鍵となります。
- 結論
- 単に数字の目標を設定するだけでなく、具体的な行動計画を立て、それを実践して結果を振り返ることが重要です。
- この繰り返しを速やかに行いながら、長期の目標に近づいていくことが、黒字化や成功への道となります。
まとめ
事業計画書の作り方についてご紹介しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。現在、中小企業の中で経営計画書を持つ企業は実際には少ないです。しかし、会社を起業する際には、達成したい目標や理想の状態についてのビジョンがありますよね。単に成り行きに任せてその目標に到達することは、大半の場合難しいものです。
経営計画書はその目標に到達するための設計図としての役割を持っています。ですので、起業当初の熱い思いや闘志を持続させるためにも、経営計画書の作成を強くお勧めします。
事業計画書を作成する際のアドバイスとして、「事業計画は下から作る!売上が決まるのは最後」ということを心に留めておくと良いでしょう。
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